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<CEDIA2008>ソニー、新SXRDプロジェクター「VPL-VW70」など公開

2008/09/04
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デンバーで現地時間の3日に開幕した「CEDIA EXPO 2008」。初日は各社のプレスカンファレンスが相次いで開催された。本項では、コンベンションセンター隣のハイアットホテルで行われた、ソニーのプレス向けイベントの模様をお伝えする。

ソニーのプレスカンファレンスは、各カテゴリーのマネージャーがめまぐるしく入れ替わり、それぞれの出展内容や最新のトピックスを紹介するというスタイルが採られていた。このため、各製品のスペックなどについてはくわしく紹介されなかったが、そのほとんどは国内で発表済みのものか、IFA2008で展示された製品であるため、詳細はIFAのレポート記事をご覧いただきたい。


Sony Electoronics ホームプロダクトディビジョン シニアバイスプレジデント Randy Waynick氏
まず登壇したのは、Sony Electoronics ホームプロダクトディビジョンのシニアバイスプレジデントを務めるRandy Waynick氏。同氏はまず、「我々はCEDIAに真剣に取り組んでいる」と、ホームシアターマーケットの重要性を強調。その上で、「HDは我々のDNAに組み込まれているという意味のHDNAキャンペーンを北米で展開してきたが、今後は新たなHDマーケットの創設に取り組みたい」と意欲を示した。その後、各マネージャーがそれぞれの製品群を手短に紹介した。

BRAVIAについては、先日、日本でも発表されたLEDバックライト搭載機や240Hz駆動モデル、9.9mmの超薄型モデルなど、最新モデルの北米版を紹介する一方、北米を中心に展開する外付けアダプターによるIPTVサービス「BRAVIA Internet Video Link」の利便性を強調。Youtubeの視聴が可能なことや、amazon.comが展開する4万本以上の映画やテレビ番組が見られることをアピールした。さらに、ヒット映画「ハンコック」を、SPHE(ソニー・ピクチャーズ・ホーム・エンタテインメント)が、BRAVIA Internet Video Link向けに独占供給することなども明らかにした。

北米では、HDMI CECによるBRAVIA LinkやInternet Video Linkのほか、5GHz帯を用いるワイヤレスHD無線送信技術「BRAVIA Wireless Link」、BRAVIAに装着する「BRAVIA DVD Link」など、日本のBRAVIAよりはるかに“〜Link"の数が多い。中でも同社イチ押しのソリューションが「BRAVIA Internet Video Link」であり、それはパワーポイントで示された図の真ん中に配置されていることからも明らかだ。

北米では「BRAVIA○○○LINK」が非常に多い。中でも同社が最も注力しているのがBRAVIA Internet Video Linkだ

余談になるが、BRAVIAの説明の中でBlu-rayに関する話題が出て、「言うまでもなく、Blu-rayはフルHD。アップスケーリングではない」と述べたら、会場中が爆笑の渦に包まれた。東芝のXDE技術を揶揄したものと思われるが、直前に別のホテルで東芝のプレスカンファレンスが開催されていたので、それを意識したジョークだろう。

プロジェクターについては、SXRDプロジェクターの新モデル2機種を発表。1つはIFA2008でも公開されたエントリーモデル「VPL-HW10」で、コントラスト比3万対1を実現している。価格は3,500ドル。国内でも発売する予定というから楽しみだ。

SXRDプロジェクターのエントリーモデル「VPL-HW10」

VPL-HW10の端子部

もう1つの新機種は「VPL-VW70」という型番で、国内で発売されているVPL-VW60とVW100の間に位置するモデル。オートアイリス機構を搭載したことで、コントラスト比は60,000対1に達する。価格は8,000ドル。説明員に国内での発売について尋ねたところ、残念ながら「北米専用モデルで、日本での販売予定はない」とのこと。

VPL-VW70。コントラスト比60,000対1を実現している

VPL-VW70の接続端子部。プッシュボタンで開閉できる

BDプレーヤーは、国内でも正式に発表された「BDP-S5000ES」や北米専用モデル「BDP-S550」、そしてIFA2008で出展されたBDシアターシステム「BDV-IS1000ES」(欧州モデルは末尾にESが付かない)の紹介が中心だったが、前段でBlu-rayの直近の状況がアナウンスされたので紹介しよう。なお、数値はCEAやニールセン、NPD、ソニー独自調査などのデータによるもの。

日本での発売がアナウンスされた「BDP-S5000ES」も展示された

今年のBDプレーヤーは奥行きが55%短くなったことも特徴という

昨年のCEDIAの段階では200万台だったBDプレーヤーの台数が、今年は650万台となり、225%の伸びを示した。映画タイトルも300から770タイトルに増え、参入メーカーも18から32に急進したという。表の一番下にある「競合HDフォーマット」が、昨年の1から今年は0になり、「-100%」と記載されているのも、北米特有のジョークだろう。

興味深かったのは、Blu-rayの普及スピードがDVDを上回っているという主張。グラフで見てお分かりの通り、PS3とBD再生機器を合計した普及率は、今年中に26%に達するとのことで、これが本当なら驚くべきこと。ただしよく聞くと、26%という数値は、HDTV所有世帯を対象にした普及率を指しているようだ。DVDの発売当初はHDTVなど当然存在しないので、DVDの数値は当時のSDTV所有世帯(ほぼすべての世帯)から算出したもののはずで、単純に比較するのは無理があるだろう。ただし北米ではVISIOなど激安メーカーの躍進も手伝って、HDTVの普及が相当なペースで進んでいる。その中での26%という数値は、3年目としては決して悪くない。Blu-rayの普及が堅調に進んでいることは確かと言えそうだ。

現在のBDの状況と昨年の状況の比較

BDの普及ペースがDVDを上回っていると主張

Blu-rayのさらなる普及には、ソフトの充実が欠かせない。ソフト戦略については、SPHEのNew Business Development Vice PresidentのRich Marty氏が説明した。同氏は、第4四半期の鍵を握るBDタイトルとして、「ハンコック」や「バイオハザード・ディジェネレーション」、「カジノ・ロワイアル コレクターズ・エディション」、「ジェリー・マグワイア」などを挙げ、強力なラインナップを揃えたことをアピール。さらに、BDとは別にポータブル・デバイス向けのデジタルコピーファイルを同梱したソフトを充実させるとし、「家庭ではHD映像を、さらに外出時にはそのコピーを持ち歩ける」と、利便性を強調した。

2008年第4四半期に投入する大作BDソフト

携帯機器向けにコピーできるデータを付属したBDソフトを今後さらに充実させる

また、インターネット経由で様々なインタラクティブコンテンツが楽しめる「BD-Live」機能も紹介し、今後、SPHEのすべてのビッグタイトルについて、BD-Liveに対応させる方針を示した。

新たなVAIOのハイエンドモデルの投入についても発表された。25.5インチのディスプレイ部に主要機能を内蔵した一体型モデルで、型番は明らかにされなかったが、BD-Liveにも対応しているという。

ディスプレイ一体型の新VAIO。25.5インチのディスプレイを備える

最後に、CEDIA来場者が最も関心を抱いていると思われる、シアターソリューション関連機器を紹介。まずはESシリーズのBDチェンジャーを2009年に投入することを発表した。400枚のBDを収納できる製品で、高級モデルのみがラインナップされる「ESシリーズ」として発売されることからも、そのクオリティの高さが推し量れる。

BDシアターシステム「BDV-IT1000ES」。ESシリーズ初のBDシアターシステムとのこと

BDシアターシステム「BDV-IT1000ES」のプレーヤー部。フロントパネルの左下にドライブを装備

さらに、北米向けのAVアンプ「STR-DA6400ES」も紹介。DLNAに対応し、ホームネットワーククライアントとして使用できるほか、ファロージャのプロセッサーを2基搭載するなど、基本性能にも注力しているようだ。

圧巻は、最大16ゾーンにHD映像を配信できる「Home Share HD」システム。アメリカのスケールの大きさを実感させられる超弩級のソリューションだ。基本構成は3ゾーン対応のものと7ゾーン対応のものが用意され、オプションでゾーン数を増やすことができる。発売は今年後半を予定。さらに、機器と双方向で通信し、コントロールが可能なホームネットワーク機器も紹介。ソニー独自のGUI「クロスメディアバー」を採用したことにより、直感的に操作が行えるという。

最大16ゾーンにHD映像を配信できる「Home Share HD」。非常に巨大だ

双方向通信で機器のコントロールが可能なネットワーク機器。GUIにXMBを採用している

(Phile-web編集部・風間)

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