ゼンハイザー、“スピード感ある編集が可能になる”クリエイター向けワイヤレスマイク「Profile Wireless 1-Channel Set」
ゼンハイザージャパンは、映像制作のプロやクリエイターに向けたワイヤレスマイクシステム「Profile Wireless 1-Channel Set」を発表した。オープン価格となるが、市場想定価格は税込35,200円前後、7月24日(木)に発売される。
今年1月に発売された「Profile Wireless」のバリエーションモデルで、小型クリップオンマイクと2チャンネル用の受信機が各1個、コールドシューマウンティングアダプター、USB-CおよびLightningコネクター、ネジ式マウントソケット、キャリングポーチが入ったパッケージになっている。
クリップオンマイクと受信機は「Profile Wireless」と同じもので、2.4GHz帯域を使った、サンプリングレート48kHzでの音声伝送が可能。さらにマイク側にはADコンバーターチップがふたつ搭載され、32bitフロート録音にも対応する(詳しくは後述)。
受信機はUSB-Cコネクターの他に、3.5mmカメラ用出力と3.5mmヘッドホン出力を搭載した。USB-Cコネクターに付属アダプターを組み合わせることで、スマホやカメラを使った動画撮影でも活躍する。
新製品説明会では、ゼンハイザージャパン コミュニケーションズマネージャーの永富輝石さんから同社の歴史についても紹介された。
ゼンハイザーは今年で創業80周年を迎えるブランドだ。同社はマイクの開発からスタートしており、1947年に初のマイク製品となる「DM2」を発売している。その後1960年には名機といわれる「MD421」を発売、1968年には初のオープン型ヘッドホン「HD414」がリリースされている。
その後も1991年の「Orpheus」や2009年の「HD800」といったヘッドホンを発売、同時にイマーシブ再生技術の「AMBEO」もローンチするなど、様々な方面での技術開発に取り組んできている。
同社の創業者であるフリッツ・ゼンハイザー氏は、「エンジニアには、クレイジーなアイデアを思いつく余裕がなければならない」と話していたそうで、それを踏まえて技術開発時には発想を変えて新しいものを追求していくというスタイルを続けていくとのことだ。実際に、同社では研究開発費に売上の10%を投入しているという。
続いてゼンハイザージャパン Profile Wireless 1-Channel Set製品担当の吉原 理さんから、製品詳細が説明された。なお今回の新製品は2023年に発売された「Profile USB」と2025年の「Profile Wireless」に続く、同社「プロファイル」シリーズの3モデル目となる。
その「Profile Wireless 1-Channel Set」は、ユーチューバーやクリエイターの間でワイヤレスマイクが人気になっていることを受け、業務用で培った技術を投入して開発されている。
それらの使い方では、収録時に録音状態が気になるケースも多いという。そこで、ノイズ、音のこもり、歪み、録音ミスといった撮影時の不安を排除する機能、複数の安全設計を備えた。稼働時間も内蔵バッテリーで最大7時間を達成している。
機能面での一番の進化が32bitフロート録音機能で、これによって広いダイナミックレンジを実現する。ただし、この機能を使った場合でもワイヤレス伝送は48kHz/24bitで行われ、32bitデータはマイクの内蔵メモリーに録音される。メモリーの容量は16GBで、最大30時間の音声データが保存できるそうだ。
なお、32bitフロート録音機能はファームウェアアップデート(バージョンV4.1.0)で対応しており、先行発売されている「Profile Wireless」も最新ファームウェアをインストールすることで本機能を実装可能という。
32bitフロート録音が必要ないユーザー(自分でピーク設定を行う人など)に向けては、この機能を無効化してセーフティチャンネルモードに切り替えるオプションも準備されている。セーフティチャンネルモードをオンにすると、オリジナルと一緒に6dB下げた音声も出力されるようになり、音割れ対策にも活用できる。
吉原さんによると、「Profile Wireless 1-Channel Set」は、音をメインにしたコンテンツ制作にも充分使える音質を実現しているとかで、「ASMRクオリティを達成しました」と胸を張っていた。システムとしてのスペックでは78.5dBのS/Nを備え、周波数特性も同ブランドのショットガンマイク「MKH416」と似たフラットな特性を備えている。
マイク背面には三脚用ネジ穴も備えており、長時間の収録でも安定した設置が可能。本体の操作ボタンは誤操作を避けるためにフラットに設計されている。
吉原さんは、「『Profile Wireless 1-Channel Set』は、どんな場所でもどんな状況でも素早くお使いいただくことができます。それによって、例えばワンオペで撮影される方がより作品に集中できる、そういった制作環境を実現できるのではないかと思います。制作者のクリエイティビティを引き上げて、ひいてはコンテンツの差別化につながる、そういった価値を提供できると考えております」と話していた。
その具体例として、スマホを使った縦型コンテンツや屋外でのVlogなどのワンオペ映像収録といった使い方が提案された。他にも受信機をPCのUSB-Cコネクターにつないで配信やリモート会議時マイクとしても使えるといった応用方法も紹介してくれた。
なおマイク部にはロック可能なラベリアコネクターも搭載され、市販(同社製品に限らず)のマイクを繋ぐこともできる。その一例としてゼンハイザーの「MKE 400-II」との組み合わせも紹介された。「Profile Wireless 1-Channel Set」のマイクは無指向性だが、こうすることで指向性を備えたワイヤレスブームマイクシステムを構築可能というわけだ。
また「Profile Wireless 1-Channel Set」の受信機は2チャンネル対応で、マイクを追加購入することでふたり分の音声も収録できる。まずは1チャンネル用からスタートし、必要に応じてグレードアップしていくという使い方ができるのも、動画制作のビギナーには嬉しいだろう。
さて、新製品説明会では、動画コンテンツの制作を手掛けるUUUM株式会社 プロダクションユニット クリエイティブグループ ディレクター 燒リ 涼平さんを招いたトークセッションも行われた。UUUMでは約200組のインフルエンサーの運営サポートを行っているそうで、燒リさんもインフルエンサーや企業の動画制作を手掛けている。
その際には、聞きやすい音を心がけているという。特に最近はYouTubeなどの動画が長尺化していることもあり、長く見ていても疲れない音質、特に声がしっかり収録されるようにしている。例えばピンマイクだけでは音がこもりがちなので、幾つかのマイクを併用してバランスのいい音になるように後処理(ミックス)をしているそうだ。
それもあり、先に「Profile Wireless」が登場した際には、「遂にゼンハイザーがこんなマイクを出してきた!」とテンションがあがったそうだ。実際に使ってみた感想としては、「編集の後処理が楽になりました。収録した音のバランスがいいから微調整で済むので、スピード感のある編集が可能になりました」と制作側としての感想を話していた。
この言葉からも、「Profile Wireless」「Profile Wireless 1-Channel Set」は、今日のクリエイターが求める製品としてぴったりの提案であることが確認できた。動画制作を手掛けている方、これから取り組みたいと思っている方は、ゼンハイザーのプロファイルシリーズをチェックしてみてはいかがだろう。













































