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ハイレゾとの両輪で臨場感を追求

<CES>ソニー提唱の「360 Reality Audio」、何がすごくてどう楽しめる? 特徴を開発者に聞いた

山本 敦

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2019年01月09日

360 Reality Audioの配信フォーマットは、その情報量と配置できるオブジェクトの数によって3段階に切り分けられている。最高品位のレベル3は24個のオブジェクトが配置でき、配信ビットレートは約1.5Mbpsとしている。これにオブジェクト16個/約1Mbpsのレベル2、オブジェクト10個/約640kbpsのレベル1と続く。

以上の決まり事がクリアできれば、音楽配信サービスのパートナーは360 Reality Audioのサービスを提供できる事になる。あとは再生環境だ。

あらゆるスマホで楽しめる。ソニーのヘッドホンなら“一段といい音”に

スマホやタブレットなどモバイル機器で楽しめる音楽配信サービスといえば、最近ではSpotifyやApple Musicなどが好調と言われている。これらのサービスが、ソニーから提供される360 Reality Audioのライブラリ、または独自にMPEG-H 3D Audioのファイル再生に必要なデコーダーやレンダラーを追加することによって、360 Reality Audioに対応できる。CESではDeezer、nugs.net、Qobuz、TIDALが今後主要音楽レーベルのコンテンツを360 Reality Audioに対応させてリリースすることが発表された。

ライブラリの中には、ストリーミング音源のデコーダーとレンダラー、そしてヘッドホン再生のためのバーチャライザーが搭載されている。

スピーカー再生については、コンセプトモデルの一体型ワンボックススピーカーのような製品を使ったり、アンプとマルチスピーカーを設置した環境で聴く方法が想定される。オブジェクトベースのファイル再生になるため、音源に含まれるオブジェクトの数に関わらず、再生するスピーカーシステムの構成に最適化したレンダリング処理が自動で行われ、ユーザーの周囲360度を取り囲む臨場感豊かなサラウンド再生が楽しめるのが特徴だ。

ソニーが当初360 Reality Audioの主戦場に位置付けている「モバイル」については、知念氏からヘッドホン/イヤホンによる再生方法をさらに詳しく聞くことができた。

まず先ほどの360 Reality Audioに対応する音楽配信サービスのアプリをインストールしたスマホを用意する。これに一般的なオーディオ用ヘッドホンを接続するだけで、再生環境の準備は完了だ。

専用のヘッドホンを必要としない理由は、一般的なヘッドホンを使って360 Reality Audioの音源を臨場感豊かに再現できるよう、ライブラリの中に標準的なHRTF(頭部伝達関数)によって導き出したバーチャライザー(疑似サラウンド再生のアルゴリズム)が組み込まれているからだ。

さらに「ソニーのヘッドホン」を使った場合、360 Reality Audioのサウンドがアップグレードされた環境で楽しめるようになるらしい。知念氏は次のように説明する。

「まずユーザーには当社が提供するアプリを使ってご自身の耳の形状を撮影していただき、クラウドサーバーに同じアプリから送っていただきます。画像を元にスピーカーから鳴っている音をシミュレートしたデータと、外耳の形状に影響を受ける音の反射を計算したデータを導き出します。そしてもう1つ必要な情報であるヘッドホン/イヤホンの情報も送っていただくと、クラウド側でそれぞれの情報を元にユーザーの聴感特性を解析して、カスタマイズされたパラメータを作成してお戻しします。このデータが音楽配信サービスのアプリと連結されて、360 Reality Audioのコンテンツが豊かな音場感を伴って楽しめるという仕組みです」

ユーザー毎の聴覚特性に合わせたキャリブレーションも駆使することで、音場感をより高める工夫も盛り込まれる(写真はCES 2019会場デモにおける計測の様子)

幅広いコンテンツ/端末で楽しめるよう考慮

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