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ハイレゾとの両輪で臨場感を追求

<CES>ソニー提唱の「360 Reality Audio」、何がすごくてどう楽しめる? 特徴を開発者に聞いた

山本 敦

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2019年01月09日
ソニーは米ラスベガスで開催中の「CES 2019」で、「360 Reality Audio」というスマホとヘッドホン等のモバイルオーディオで楽しめる新しい音楽体験を発表した。

開発背景や展開の方針について伺った、ソニービデオ&サウンドプロダクツ(株)V&S事業部 企画ブランディング部門長 黒住吉郎氏へのインタビューに続き、今回は360 Reality Audioの技術面に関わるキーパーソンを訪ねた。

インタビューに答えてくれたのは、技術開発に携わるソニー(株)R&Dセンター 基盤技術研究開発第1部門オーディオ技術開発部 5課 統括課長 主任研究員の知念徹氏と、プロジェクト担当であるソニービデオ&サウンドプロダクツ(株)V&S事業部 事業戦略部 担当部長の岡崎真治氏、ならびに商品担当のソニービデオ&サウンドプロダクツ(株)V&S事業部 企画ブランディング部門 商品企画部 リサーチ&オペレーション課の森松孝幸氏だ。CES 2019の会場で体験できたデモンストレーションのインプレッションも報告したい。

インタビューに答えていただいた知念氏(写真左)、岡崎氏(中央)、森松氏(右)

360 Reality Audioはオブジェクトベースの新しい立体音響技術だ

今回ソニーが発表した360 Reality Audioとは、オブジェクトベースで制作された360度全天球空間に広がるサラウンド音源を、スマホなどモバイル端末で豊かな臨場感とともに楽しめる音楽再生技術だ。

読者の皆様にオブジェクトオーディオについて改めて説明する必要はないかもしれないが、ざっくりまとめると制作時に “音の位置” をメタ情報として記録しておき、AVアンプなどの対応機器で再生する際、スピーカー構成に最適化したレンダリング処理を行う事でサラウンド音場を生成する技術の概念である。ドルビーアトモスやDTS:Xなどのテクノロジーもオブジェクトオーディオの考え方をベースにしている。

そのメリットは、音響空間の中に3D効果を生み出す音像を配置してダイナミックに動かせるため、より自然で高品位なサラウンド感が得られることだ。現在は映画館のほか家庭用のホームシアター機器に採用が広がりつつある。

ソニーにとって今年のCESは、昨年春に現会長の平井一夫氏からバトンを受けた吉田憲一郎氏が掲げる「Getting Closer to People=人に近づく」というコーポレートポリシーを、米国で大々的にアピールする機会になる。高品位なコンテンツによって味わえる “感動” をいっそうリアルに、かつリアルタイムにユーザーへ届けるというソニーの開発思想は360 Reality Audioにも流れていると、プレスカンファレンスで吉田社長もコメントしていた。

ハイレゾとの両輪で音楽の “臨場感” を追求する

360 Reality Audioが目指す体験は、「演奏や録音の現場で生まれた音楽の鮮度をありのままリスナーに届けることである」と岡崎氏は語る。

また、ソニーは音楽データの解像度と分解能を高めて原音の忠実な再生を追求する「ハイレゾ」にも力を入れているが、知念氏は「音場の豊かさ」にフォーカスしている点が360 Reality Audioの違いだと説明した。

まずはモバイル環境を対象に展開

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