HOME > インタビュー > 記事

インタビュー

戦略と開発状況を伊藤CMOや開発陣に聞く

開発メンバーは“アベンジャーズ”。ジャパンディスプレイ伊藤CMOが語る「BtoCに参入した理由」

編集部:小野佳希

前のページ 1 2 次のページ

2018年12月28日
ソニーに東芝、日立など名だたる企業のディスプレイ部門の統合によって2012年に誕生したジャパンディスプレイ(JDI)。スマートフォン等向け中小型液晶パネルでは世界トップシェアを誇る同社は、一方で赤字経営からの再建にも取り組んでいる。そんななか、今年2018年に突如としてBtoC参入を表明した同社の戦略、そして様々なBtoC製品の開発状況について、伊藤嘉明CMOや開発スタッフ陣に詳細を訊いた。

ジャパンディスプレイ 伊藤氏

■BtoC参入表明にポジティブな反響が多数

8月(関連ニュース)と12月(関連ニュース)の戦略発表会「JDI Future Trip」で多数のBtoC製品の開発を発表した同社。その旗振り役が、2017年10月からCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に就任している伊藤氏だ。

様々な企業の業績を回復させてきた経歴を持つ伊藤氏は、JDIの経営に参画してみて「日本を代表する会社から集まった素晴らしい技術、面白い技術ををたくさん持っているじゃないかとまず感じました。それを他の事業ドメインに活かせるのではないかと考えたのです」と、BtoC参入の背景にあった想いを語る。

独自技術によって奥行きの感じられる映像とともに音楽を楽しめる「MiON」などさまざまな製品で2019年度中のBtoC参入を計画している

また、「私の使命は経営再建ですから、そういう観点からすると会社全体の事業ポートフォリオをバランスのよいものにしたいという狙いもあります」ともコメント。「いま、我々のビジネスは8割がモバイル端末向けのパネル供給になっています。しかしモバイルは非常にボラティリティ(価格変動の激しさ)の高い市場ですので、そこのアップダウンに付き合わされるのはビジネスとしてリスクがありますから」と続ける。将来的には「モバイル向けと非モバイル向けでビジネスの比率を半々にしたい」という。

そんな伊藤氏によるBtoC製品開発の社内公募には70人が応募し、その中から人選した30人余りで4月よりマーケティング・イノベーション統括部が立ち上げられた。その中で形になったのが戦略発表会で披露された製品の数々だ。伊藤氏の下で主導で企業のビジョンを刷新し“観る音楽”というコンセプトでスピーカーも内蔵する「MiON」、アロマと組み合わせた「紡ぎシリーズ」など、聴覚や嗅覚といった、JDIの専門分野である視覚以外の要素が組み込まれている点が大きな特徴だ。これは伊藤氏主導で刷新された企業ビジョン「私たちの行動ひとつ一つが、未来をつくっている。思い描いていることを、見・聞き・触れ・香り・味わえる現実に変え、世界のあたり前を、はるかに超えた体験をつくりだしていく」によるところが大きい。

「ありがたいことに、産官学さまざまな企業・団体からポジティブな反応を非常に多くいただいています」と伊藤氏はコメント。8月に発表した「遅れ鏡」(※自分の姿が数秒間遅れて映ることで例えば後ろ姿などもチェックしやすい鏡)がファッション業界から注目されるなど「(BtoBのみだった)以前だったらかすりもしないような業界の方から、『こんなことはできないか?』などといった相談をたくさんもらっています」とのこと。

また、一般ユーザーからも、例えば外付けヘッドアップディスプレイユニット「XHD-02 KAIKEN」について「『いつ発売なのか』『もっと詳しいことを聞きたい』といった問い合せが毎日来ている状況です」(KAIKEN開発担当の堀氏)という。

(写真左から)KAIKEN開発チームの堀洋平氏、尾西智久氏、長尾康一氏

■開発メンバーは「アベンジャーズ」

上記のように、伊藤氏が着任してBtoC製品開発プロジェクトを起ち上げたのが今年2018年4月。それまでまったくBtoCの経験がないメンバーが各部署から集まり、外部に公開できるレベルの試作品をわずか数ヶ月でゼロから完成させたことになる。

既存のBtoB分野にも好影響が波及

前のページ 1 2 次のページ

関連記事