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開発陣にインタビュー

「すべてやり切った」。パナソニック渾身の最上位プレーヤー「UB9000(Japan Limited)」はこうして生まれた

インタビュー・構成:秋山 真

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2018年12月08日


−− ドルビービジョン対応のテレビで実際に比較させてもらいましたが、ドルビービジョン再生と「切」によるHDR10再生では、両者はまるで別物に見えます。ドルビービジョンは色乗りがかなり派手ですね。少なくとも私の眼には、HDR10の方が明らかにフラットな画質です。これを12bitと10bitの差、そしてダイナミックメタデータの有無だけで説明するのは難しいですね…。

甲野 ドルビービジョン再生に関しては、テレビ側も含めてドルビーさんが画作りをされていると思います。

−− もちろん意図したものなのでしょうけど、個人的には以前からドルビービジョンの画作りは派手だなという印象があったので、いろいろと合点がいく結果でした。とはいえ、対応しているのと非対応なのとでは、プレーヤーとしての価値は雲泥の差になると思います。ドルビービジョンとHDR10+に両対応という英断に感謝したいです。

甲野 我々としては、ディスクとテレビがドルビービジョンに対応していれば、ドルビービジョン「入」で見て頂くのが基本と考えています。もちろんHDR10+の場合も同様です。ただ、どのように見るかは最終的にはユーザーが決めるべきですし、特にUB9000はリファレンスとなるモデルとして、どのような見方もできるようにしておきたかったので「切」の機能も入れています。

−− そしてドルビービジョンとHDR10+の両対応よりもさらに凄いのが、ここまでやるかというくらいに練りに練られたトーンマップ処理の数々ですね。

甲野 UBZ1発売以来3年間で、UHD BDのHDR再生における問題点がいろいろと浮かび上がってきました。1つはタイトル毎にピーク輝度にかなりバラツキがあることです。なかには実際に計測してみるとHDR10のメタデータと実際の輝度が合っていないタイトルもありました。

そこで信野と二人で、巷のUHD BDを片っ端から検証してみることにしたんです。信野がメタデータの解析、私が実際の輝度の計測を担当しました。

信野  “朝活” と呼んでいましたね(笑)。毎朝出社すると1本調べるみたいな。

UHD BDや各種ソフトのデータを収集するのが日課という信野圭祐氏

甲野 信野は元々デジタル周りのハードウェア設計者です。ところが以前から映像のことについて、ちょくちょく私のところに訊きに来ていたんですよ。私も長年、画質担当の仕事をしていますが、そろそろ後継者を育てなくてはいけない年齢になりました。

でも秋山さんもよく仰ってますけど、こういう仕事ってキリが無い世界じゃないですか。本人に「やりたい」という意思がないと絶対に無理なんですよね。だから、彼ならやれるのではないかと思ったんです。「そんなに画質に興味があるならやってみないか?」と声をかけたのが一昨年くらいでした。

−− 実際にやってみてどうですか?

信野 沼でしたね(笑)。

甲野 でも彼は趣味でカメラもやっていて、いくつもレンズを買ったりして沼には慣れっこなんですよ(笑)。

−− ここには電源沼の人もいるし、素晴らしいですね(笑)。

ウデーニ (笑)。

甲野 そんなわけで、これも掲載NGで申し訳ないのですが、国内で発売されているほとんどのUHD BDを検証した結果を相関図にしてみました。

−− これは大変貴重なデータですよ!

甲野 でも、信野が作っているデータベースはもっと凄いんですよ。タイトルに関するありとあらゆる情報が記載されていて、メタデータはその一部に過ぎません。

信野 AV雑誌での採点表やコメントまで全部記載しています。

−− いやはや、素晴らしい後継者ができましたね、甲野さん!

甲野 その相関図を元に、今度は各社のHDR対応テレビが、メタデータに対してどのような振る舞いをしているのかを検証していきました。するとこちらも、随分とバラツキがあることが分かったのです。

−− プロジェクターも同様の問題を抱えていますよね。

甲野 UB9000では、自動トーンマップ処理に徹底的にこだわっています。組み合わせるテレビやプロジェクターの最高輝度に最も近い数値(目標輝度)を指定することで、SDR領域の中低輝度部分には影響の出ない、滑らかなカーブを描くように設計しています。その際に高輝度部分の色味が変わらないようにR/G/Bで連携処理しているのも特徴です。

これらの処理をきちんと行うためには、計算上27bitの精度が必要になるのですが、ユーザーがダイナミックレンジ調整やシステムガンマ調整をすることまで考慮して、結果的にUB9000の新画質エンジンではR/G/B各最大32bit処理という高精度演算を行っています。ところが、ここで1つ問題になることがあります。

「システムガンマ調整」をプラス方向に働かせたイメージ画像

「システムガンマ調整」をマイナス方向に働かせたイメージ画像

−− トーンマップの二重掛けですね?

甲野 そうです。テレビやプロジェクター側でもHDR10のメタデータに基づき、大なり小なり何かしらのトーンマップ処理をしていることが多いので、二重掛けによっておかしな画になってしまう可能性があるのです。しかも先ほどお話ししたように、受像機側のトーンマップ処理の方法は各社バラバラです。そこで考え出したのが、目標輝度に合わせてメタデータを書き換えてしまおうというアイデアでした。

−− なるほど、その手がありましたか!

4K時代の決定版ともいえる製品がUB9000 Japan Limitedという形で結実

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