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高木氏、粂川氏、黒住氏にインタビュー

<IFA>ソニー幹部が語る、なぜコスト度外視のフラグシップは実現できたのか。8Kや5Gの展開も聞いた

公開日 2018/09/02 09:30 折原一也
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高木 放送局やコンテンツ制作サイドに対する8K戦略は非常に積極的に行っていまして、業界トップではないかと思います。そこがソニーの強みですし、いい放送機器、制作機器を提供することが、良質なコンテンツの登場につながります。現状では、8Kコンテンツをそのままエンドユーザーに配信などで届けるのは難しいので、その際にはダウンコンバートすることになると思います。しかし、元から情報量の多いものを作っておけることは重要です。8Kでコンテンツを製作する流れは確実に弊社が作り始めたと自負していますし、ビジネスとして軌道に乗りつつある実感もあります。

■カーオーディオ事業は? GoogleやAmazonとの関わり方は? 5G到来でソニーはどうする?

ーー カーオーディオや車載機器については、今後どのように取り組んでいきますか。また、ソニーらしさを車載機器でどう表現していくお考えでしょうか。

高木 カーオーディオには非常に真面目に取り組んでいます(※編集部注:海外ではカーオーディオ事業を展開中)。カーオディオ分野で言えば、純正はほとんどやっていませんが、アフターマーケットでしっかり商売していこうということで開発部門を持っています。

今回発表の製品で言えば、7〜8インチ程度のディスプレイをもったカーオーディオ製品において、どんな機能を持つべきかを考えた結果、アップルのCayPlay、そしてAndroid Autoに対応させました。これは必然だと思うのです。これからのカーオーディオのあり方を考えたときに、カーオーディオとスマートフォンとの親和性を高めることは、より多くのコンテンツと触れることにもなりますから。

そうなってくると、今後は車内の静粛性であるとか、車内ノイズキャンセルなどといったように、ソニーの技術が活かせるビジネスとしてさらに広がりが出てきます。カーオーディオは長年やっていて黒字もしっかり確保できている事業でもありますし、今後もやり続けたいと考えています。

ーー GoogleやAmazonといったプラットフォーマーとの協業に対する考え方を教えてください。

高木 GoogleアシスタントやAmazon Alexaなどの機能は、“ソニー製品の機能のひとつ”として重用していこうという考えです。彼らの機能を搭載して製品の奥行きを広げていくことはしていきますが、彼らに対して我々から(ソニーの技術を投入したGoogle/Amazonブランドでの)新しい製品の提案というのは考えていません。

ソニーの製品は、まず音を出し映像を見せるのが真髄です。その音や映像でお客様に感動してもらえること、「ソニーの音/画だから買いたい」と言ってもらえるものを目指します。

ーー 5Gの登場で、オーディオビジュアルの製品はどう変わっていくとお考えでしょうか。

高木 5Gによって、お客様とコンテンツとの接し方が劇的に変わると思っています。ですので、そのタッチポイントをどのようにするのか、ソニーの事業ポートフォリオにどう織り込んでいくか、内部で検討しているところです。

ーー ソニーはグループ全体として、映像、音楽、プレイステーションのネットワークビジネスも持っています。こうしたコンテンツ側と、テレビやオーディオといったハードウェアとの融和は今後どうしていこうと考えているでしょうか。

高木 前社長の平井の最大の功績は、ハード側とコンテンツの仲の良さを極めて強固に作り上げたことです。お互い気軽に「これどうする?」「これやってよ」と、10年前ではあえりえなかったほどグループ内のシナジーが進みました。

こうした体制をもとに、5Gによって“リアルタイム”がより重要になる時代に、吉田新社長の下でどれだけ新しいことに取り組めるのか。ソニーグループとして私も非常に楽しみにしています。

ーー ありがとうございました。

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