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<新春インタビュー>オーディオ協会 校條会長が語る「ハイレゾ推進」と「OTOTEN」のこれから

2018/01/05 聞き手・構成:音元出版 永井光晴・徳田ゆかり
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新生「OTOTEN」で顧客創造を実現を目指す

進化した「音展」で見えてきた課題

ーー 2017年の取り組みとして、「音展」が進化しました。

校條氏 音展は昨年、有楽町の国際フォーラムで開催することができました。東京インターナショナルオーディオショウさんが、ずっとここで開催してこられた効果もあって、やはり地の利はあり、しばらくここを会場として腰を落ち着け、顧客開発するのがいいと思っています。

昨年の音展は成功半分、課題半分というところです。まず、コンセプトは間違っていませんでした。新しい顧客開発、ハードよりもソフトコンテンツ寄りに楽しさを訴えるということ。しかし問題は、それをお客様にわかっていただくプロセスが不十分だったことです。

成功事項として、新しい顧客開発ができました。来場者アンケートによると、来場者の62%が「初めて」のお客様であり、その内女性が従来の倍の18%に達しました。さらに、30歳代-40歳代が急激に増えました。この結果から、我々のねらいは間違っていなかったと確信します。やろうとしていたことの切り口は見えたと思います。

新生OTOTENの手応えと今後の課題についても語っていただけた

展示の内容で画期的だったのは、ストリーミングコンテンツ、ダウンロードコンテンツ事業社の方々に集まっていただき、日本の展示会として初めてハードと合同の出展を行ったこと。しかし会場では説明員の数が少なく、お客様に十分に説明するところまで至りませんでした。

楽曲がたくさんあって、好きなところで聴けて、利用料は無料のお試し期間がある。そういったよさをディスプレイにも出して訴求しましたが、お客様にとっては具体的にどうやってコンテンツを入手して再生するかはわからない状態となってしまいました。

またアーティストのライブも開催し、たくさんの方にご来場いただきました。その方々にオーディオをもっとご紹介したかったのですが、ライブ会場からオーディオブースへの誘導がうまくできませんでした。会場のレギュレーションの問題でもありますが、詰めも甘かったかと反省があります。

本来は、展示会場もライブ会場もあらゆる場所を回遊して欲しい。もっと言えば、会場の外でもイベントをやりたいのです。同じ場所で「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」が5月初旬に開催されますから、その次に音展が開催され、9月の東京インターナショナルオーディオショウにつながる、そういう構想をもっていたのですが。昨年としては、音展は期待値の半分に止まってしまいました。

2018年のOTOTENは6月16日に開幕。会場は同じく有楽町・東京国際フォーラムとなる

それから、2つの実験を行いました。1つは、音楽ライブを4K、ハイレゾで収録し、中継したこと。NTT西日本(株)、他NTTグループさん、NHKエンジニアリングさん、ラディウス(株)さんが取り組みました。これは高い評価を得て、次なるステップを目指します。

NHKで今年12月に8Kの実用化放送が始まりますが、「OTOTEN」での実験によって少なくとも4Kとハイレゾで収録したものをその場で送り出せる目処が立ちました。その効果を会場の有機ELモニターとハイレゾ再生で再現し、高い評価を得ました。

もう1つの実験は、ライブをハイレゾでストリーミング再生する取り組み。スマートフォンで聴けます。そうするとライブ会場のどこにいても、音はハイクオリティで楽しむことができます。大きなスタジアムなどでスタンドの端にでも行ってしまうと、ライブの映像はスクリーンで見えても音の聴こえがよくないことはままあります。

OTOTEN2017で実施された4K&ハイレゾ ライブストリーミングの模様

しかし元の音を録って、手元のスマートフォンで聴けるようにすれば、どんな状況でもクオリティの高い音で聴けるようになる。それはそれでひとつの市場を開拓することになります。こういう実験は、オーディオ協会の「OTOTEN」でこそやらなくてはならないことだと思います。実験は成功しましたし、いずれ製品化されることと期待しています。

これからの音展については、コンセプトを変える必要はないと思いますが、プロセスは変えなくてはなりません。会場でのお客様の回遊策、そしてライブに来られたお客様にオーディオへの親和性をつくること。工夫していかなくてはなりませんね。今まさに来年の「OTOTEN2018」の内容の詰めを進めておりまして、方向性は見えてきています。

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