「バランス良いナチュラルな響きを持つイヤホン」

JVCの新イヤホン「SOLIDEGE 02 inner」レビュー。上位機“01”とどう違う?

岩井 喬
2017年12月30日
■JVCの新イヤホン「SOLIDEGE 02 inner」と上位機“01”との音質傾向の違いは?

SOLIDEGE 02 inner

JVCの新定番『SOLIDEGE』シリーズから『01 inner』とその弟分『02 inner』が誕生した。イヤホンのトップエンドシリーズである『WOOD inner』に次ぐ高級機となった『01 inner』の「HA-FD01」と今回ご紹介する『02 inner』の「HA-FD02」は音響系の基本設計が共通となっており、11mm・D3ドライバーユニットのうち、振動板のドーム部にダイヤモンドライクカーボン(以下、DLC)コーティングPEN素材、タンジェンシャルエッジにカーボンコーティングPET素材を用いたDLCデュアルカーボン振動板やアキュレートモーションエアダンパーは同一だ。違う点はドライバーケースがチタンからボディ素材と同じステンレスになっている点であり、電気的特性はHA-FD01と同じである。

またHA-FD01と同じようにハウジングもステンレス製となっており、ノズル部が360度回転し、通常掛けや耳掛けスタイルの両方に対応するファインアジャスト回転機構も継承。

MMCX端子のケーブル着脱構造も取り入れているが、Jマウントノズル交換システムは省かれている。イヤーピースは、“01”が新たな「「スパイラルドット+イヤーピース」であるのに対し、本機“02”は従来からのスパイラルドットイヤーピースとなり、ケーブルはL型プラグ仕様の溝入りグルーヴケーブルが付属。HA-FD01の持つエッセンスを凝縮したシンプルな構成が特徴だ。ある意味D3ドライバーユニットの真価を見るうえで最適なつくりを持つモデルともいえるだろう。

試聴にはHA-FD01レビュー(関連記事)と同じくソニー「NW-WM1Z」を用いた。

HA-FD01と比較したファーストインプレッションとしては、大きな優劣があるわけではなく、基本的には音質の好みの差であるような印象だ。音像を引き締めることで音場をクリアに表現する傾向についてはHA-FD01譲りである。

音調はニュートラルな方向であり、倍音の煌びやかさを抑えたバランス重視のサウンドといえるだろう。HA-FD01は高域の華やかさ、輝き感にウェイトを持たせている部分もあるため、脚色のないストレートなサウンドが好みということであれば、このHA-FD02の方が好ましいともいえる。

クラシックでは管弦楽器の爽やかなハリ感を持って表現し、低域を自然に引き締め、広がり良く伸びやかなハーモニーとして描き出す。解像度も申し分なく、ナチュラルな響きを得られる。

ジャズにおけるホーンセクションはスッキリと粒立ち良く浮き上がり、シンバルのきめ細やかなアタック感をヌケ良く丁寧に描写。ウッドベースやキックドラムの弾力感も耳あたり良く、スムーズだ。余韻の伸びやかさも見事で、空間性を的確に捉えている。

ロックについてもキレ良くスッキリとしたリズム隊によって、カラッとした軽快なサウンドが展開。ギターワークも爽快でヌケ良く、ボーカルも鮮明で質感も滑らかに描き出す。

11.2MHz音源においては肉付き感ナチュラルなボーカルの伸び良くハリ艶ある口元の描写が非常にリアル。ピアノの響きも伸びやかで落ち着きよく、低域方向の鳴り方も自然だ。アコギの響きは弦の太さも的確に描き、胴の響きもスムーズにまとめてくれる。音像の質感を丁寧にトレースし、余韻も階調細やかで生々しいサウンドを味わうことができた。

最後にケーブルをORB製「Clear force MMCX 4.4φ Ver.2」へと交換したバランス駆動でのサウンドであるが、誇張なくシームレスな傾向で、音像の芯の太さを持たせた滑らかで落ち着き良い表現となる。

重心の低い安定的な描写力を持ち、ロックサウンドもキレ良く軽快だ。ボーカルはシャープでスッキリと前へ出てくる印象であり、輪郭感も自然である。オーケストラの響きもハリ艶細やかで、低域方向も弾力良くまとめ、しなやかかつ落ち着いた旋律として表現。HA-FD01ほど制動を利かせていないので、自然なほぐれ感と耳あたり良いバランスの響きを堪能できる。

ジャズサウンドもニュートラル基調であり、ホーンセクションのしなやかな浮き立ちやシンバルワークの清々しい響きもナチュラルに描写。ハーモニクスの輝き感もほんのりと加えた感触で、ピアノのアタック感も抑揚良くまろやかな倍音感が得られる。ウッドベースは自然な弾力感を持ち、輪郭感を丁寧にトレース。音場は広がり良くバランスの整った見通しの良い傾向で、S/Nも高くナチュラルだ。

11.2MHz音源ではピアノの柔らかい余韻と、適度に硬さを持たせたアタック感が絶妙なバランスで、リヴァーブの響きも明るく爽やかに感じられる。ボーカルはハリ艶良くスムーズで、ボトム感をほんのりと持たせたシームレスな質感として描く。DSDならではの余韻の自然さも感じやすい。

アニソンではHA-FD01より若干音場を狭くした印象だが、エレキギターの太さやリズム隊の腰のある密度感もあり、全体的にナチュラルなサウンドとして捉えることができる。ボーカルのハリ感も極端に強調された印象がなく、耳あたり良い。

全体的なクオリティで言えば上位モデルであるHA-FD01に軍配が上がるとはいえ、D3ドライバーユニットの持つポテンシャルはこのHA-FD02でも十分感じ取れるはずだ。むしろ従来のJVCイヤホン群のなかで、ここまでニュートラルかつ高解像度なサウンドを得られるモデルはなかったのではないか。『WOOD inner』シリーズのように豊かな響き感を持たせているわけではないので、キャラクターとしては幾分地味ではあるものの、モニターほどきついサウンドでもなく、バランス良いナチュラルな響きを持っているため、普段使いのリファレンスとしても重宝しそうである。

■試聴音源
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(96kHz/24bit)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
・The Cars『Heartbeat City』〜You Might Think(192kHz/24bit)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源
・劇場版『ソード・アート・オンライン -オーディナル・スケール-』O.S.T.〜ユナ(神田沙也加)「Ubiquitous dB」(96kHz/24bit)

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