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【特別企画】ワッツ氏&フランクス氏に聞く

<開発者インタビュー> CHORD「DAVE」が“オーディオ再生の最先端”である理由

公開日 2016/05/19 10:00 構成:編集部 小澤貴信
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ハイエンドオーディオからポータブルオーディオへ、そしてまたハイエンドへ。ロバート・ワッツ氏はどのようなモチベーションによって、このようなジャンルを横断した革新的な製品開発を続けているだろうか。フランクス氏はこんな例え話をしてくれた。

「ロブ(=ワッツ氏)は長年FPGAによるDACに取り組んできました。プログラムのコードを書き、実際に音を聴いて、パラメーターを調整して、さらに良いものを目指す。それを繰り返すなかで、ロブは絵画でいう“作風”を確立しました。しかし、ポータブルオーディオというまったく新しい世界に出会うことで、突然新しい刺激を受け、まったく異なる作風を手にしたのです。ゴッホがゴーギャンに出会うことで作風が一変した。それと同じことがロブにも起こったと言っていいでしょう」(フランクス氏)。

フランクス氏は「ゴッホがゴーギャンに影響を受けて作風を一変させたように」と独特の表現を用いて、ワッツ氏の才能を解説する

Hugoで新しく手にした“作風”を、今度はハイエンドオーディオモデルだからこそ搭載できる高性能FPGAの巨大なキャンバスで、制約なしに試してみる。ワッツ氏がDAVEで行ったのは、そのような取り組みだったのだろう。

DAVEは始まりに過ぎない。CHORDの飽くなきチャンレンジは続く

ジョン・フランク氏はインタビューの最後に、CHORDにおけるワッツ氏との二人三脚の取り組みを以下のように語った。「二人で24年間にわたってCHORDを手がけてきましたが、我々には今や“あうんの呼吸”があります。もちろん意見がぶつかることはありますが、それが限界を押し破ってきたのです。DAVEのような製品が完成したからリタイア、なんてことはまったく考えていなくて、ロブも私も常に新しい技術をどうやって製品に落とし込めるか考えています」。

どんな良い結果に対しても「まだまだだ」と言うワッツ氏に、時折フラストレーションさえ感じるとフランクス氏は笑う。「しかし、それこそが一緒にやっていることのメリットなのです。競合しているのは他のメーカーではなくて、むしろ我々同士なのです」。

ワッツ氏の飽くなき向上心が飽くなき製品開発の原動力になるとフランクス氏は語った

一方でワッツ氏は、DAVEにおける成果に改めて自信を見せる。「DAVEは技術的に世界の最先端にあり、DAC開発における測定機の性能の再定義をも促すでしょう。デジタル領域内でいかにアナログに近い波形が再現できるかを追求した結果、DAVEは“音の自然さ”にいっそう肉薄することができたのです」。

そしてワッツ氏は最後に以下のように語って、インタビューを締めくくってくれた。「それでも、DAVEは始まりに過ぎないのです」。


(特別企画 協力:タイムロード)

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