HOME > インタビュー > <開発者インタビュー> CHORD「DAVE」が“オーディオ再生の最先端”である理由

【特別企画】ワッツ氏&フランクス氏に聞く

<開発者インタビュー> CHORD「DAVE」が“オーディオ再生の最先端”である理由

公開日 2016/05/19 10:00 構成:編集部 小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ヘッドホンアンプとしても“フラグシップ”を狙った

ハイエンドDACとしては希なことだが、DAVEはヘッドホンアンプを搭載する。しかし、HugoやHugoTTのヘッドホンアンプがヘッドホンファンをも納得させる評価を得てきたことを考えれば、当然とも言えるだろう。そしてDAVEのヘッドホンアンプは、HugoやHugoTTから継承されたものではなく、新規開発が行われたものだとフランクス氏は言う。DACとしてはもちろん、ヘッドホンアンプとしても“フラグシップ”を目指したのである。

DAVEはヘッドホン出力においても、フラグシップクラスの音質を目指したという

Hugoはヘッドホンアンプとしても優れたクオリティを備えていたが、カスタムIEMのような低インピーダンスのヘッドホンを駆動する場合に、歪率が上がってしまうケースがあったのだという。それを改善するためにDAVEでは、Hugoでは1次構成だったアナログノイズシェイパーを、2次構成とした。

ちなみにここで言う「アナログノイズシェイパー」とは広義の意味であり、「事実上のフィードバック回路なのです」とフランクス氏。ベースとなった回路は、著名なアンプ設計者がそもそもフィードバック回路として考案したものだという。この回路は音質面での優位性を備えていたものの、実際にフィードバック回路として使うと発振してしまうという弱点があった。フランクス氏はこの回路に眼をつけ、ヘッドホンアンプに転用することに成功した。そしてDAVEでは、このアナログノイズシェイパーを2次構成にすることで、組み合わせるヘッドホンやイヤホンのインピーダンスに左右されることなく、歪みを抑えることまで可能となった。

フランクス氏はDAVEのヘッドホンアンプの詳細についても言及した

「実はライン出力もヘッドホン出力も、同じ回路構成になっています。対応する負荷インピーダンスが非常に広いために、そのままライン出力にもヘッドホン出力にも用いることができるのです」(フランクス氏)。

またDAVEのヘッドホンアンプは、一般的なヘッドホンアンプと比較すると非常にシンプルな構成になっており、その点でもよりトランスピアレントな音質を実現できるのだという。

Hugoの飛躍が新フラグシップDACをネクストステージに導いた

ここまで両氏は、DAVEについてHugo(2014年発売)からの進化を特に強調していた。しかし、フラグシップモデルという意味では、その前のモデルは「QBD76HDSD」(2012年発売)となる。DAVEははたして、Hugoの後継という位置付けなのか。あるいは「QBD76HDSD」の後継機なのか。

「どちらの後継かといったら、Hugoですね」とフランクス氏は述べる。形状的にはQBD76をはじめとする旗艦シリーズで採用されてきたコーラルデザインを採用しているが、FPGAのアルゴリズムの継承という意味でも、開発順から考えても、DAVEはHugoの血脈を直接受け継ぐモデルになるという。

ポータブルDAC「Hugo」で実現した大きな飛躍を起点に、新フラグシップ「DAVE」開発は始まったと言える

「Hugoはポータブルオーディオ製品ですが、CHORDにとってエポックメイキングな存在でした。ポータブルオーディオで、これまでのリファレンスクラスを超えるクオリティが得られたことは、ほとんど想定外だったのです。それだけHugoは大きな存在でした」(ワッツ氏)。

USB出力やBluetoothを搭載した初代「QBD76」(2008年登場)を開発した後、ワッツ氏とフランクス氏はそれぞれの立場から「ポータブルオーディオに挑戦していたい」と考えるに至った。その市場的なポテンシャルにも早くから着目していたという。そして実現したのがHugoだった。ヘッドホンブームが最初のピークを迎えようとした絶好のタイミングでHugoは投入され、ヘッドホンマニアにとどまらずオーディオ愛好家にまで大きなインパクトを与えた。

次ページ「DAVEは始まりに過ぎない」。ワッツ氏はそう言って笑った

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE