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「2500シリーズ」連続インタビュー第1回

【開発者インタビュー】デノン「DNP-2500NE」に込められた音へのこだわり

2016/04/20 構成:編集部 小澤貴信
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サウンドマネージャー山内氏と取り組んだ音作り

ーー 本機の音作りは、サウンドマネージャーである山内さんと相談しながら追い込んでいくという感じで進められていったのでしょうか。

飯原氏 試作機の完成度をある程度上げた状態で、山内のところに持っていきます。こちらからある程度の見通しを立ててプランを提案するのです。具体的には、コンデンサーや回路の変更案ですね。その案を元に、山内が音の影響度の大きいところから順番に部品や回路を追い込んでいきます。デノンブランドは電源回路の品位にこだわりが強く、開発終盤ではここのデカップリングコンデンサーを変えて音作りを行うことが多いですが、こういった部品選択も山内が判断して音を詰めていきます。

(株)ディーアンドエムホールディングス GPDエンジニアリング デノンサウンドマネージャー 山内慎一氏(昨年12月撮影)

ーー DNP-2500NEの音の追い込みにおいて、山内さんのOKがなかなかでなかったところはありましたか。

飯原氏 ヘッドホンアンプですね。リファレンスとなる同クラスのデノン製品がなかったということもあるのですが。ライン出力の音質を判断する分には、どういう方向に持っていきたいのか山内の中ではすでに答えがあったと思います。しかしヘッドホンアンプの音については、デノンとしてどのような音を求めていくのか、山内の中でも聴いているうちに少しずつ変化していったようです。そして、何度も部品や回路パターンを変更していきました。

ピュアオーディオとヘッドホン、どちらのファンにもこの音を聴いてほしい

ーー DNP-2500NEの開発には、どれくらいの時間がかけられたのでしょうか。

飯原氏 企画から含めると1年2ヶ月くらいですね。

長時間に及んだインタビューは、会場を開発試聴室から、白河工場に新設されたショールームへと移して続けられた

ーー 1番苦労されたところはどのようなところだったのでしょうか。

飯原氏 そうですね、1番苦労したところ・・・。最後の追い込みですね。音の部分も当然大変だったのですが、どちらかというと、最後は入力切り替え時のポップノイズなど製品の品位に関わる動作のところで苦労しました。本機はソフトの制御要素が非常に多くて、もはやコンピューターのようなものです。だからちょっとしたバグが残っていても音が出なくなったりノイズが入る可能性があり、そこはソフトウェアのエンジニアと協力して、徹底して取り除いていきました。

ーー デノンの製品には、音質はもちろん、品質についても徹底的に追い込まれていますよね。

飯原氏。デノンの製品として音質だけでなく、高い品質を実現できるよう設計し、それを品質管理部門がチェックします。個々の製品は、白河ワークスで熟練工により組み立てられ、全数検査を経て出荷されます。

DNP-2500NEは私だけでなく、ディーアンドエムの多くの人の手によって生み出されたものです。だからこそ、ユーザーから寄せられる特に不満に関する声は真摯に受け止め、対応していきたいと考えています。幸い、DNP-2500NEはネットワーク経由のファームウェア・アップデートが可能ですので、今後、純粋な機能改善のファームも含めリリースをしていく予定です。

ーー それでは最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

DNP-2500NEは、2つの層のユーザーを狙っています。ひとつはライン出力を使ってアンプと組み合わせて、スピーカーで音楽を楽しまれる方々です。こちらの皆様に対しては、Advanced AL32 Processingやデジタルアイソレーションをはじめ、デノンが培ってきた技術を余すことなく用いることで、価格帯を超えるサウンドを実現できたと思います。

そしてもう一方は、ヘッドホンをメインに楽しむユーザーです。本機をデジタル入力を備えたヘッドホンアンプとして見た場合、パソコンと完全にアイソレートされたUSB-B入力、Advanced AL32 Processing Plus、そしてフルデジタル処理によって音質劣化をとことん回避した点など、ここまでデジタル領域に注意を払って作られた製品はなかったと思います。DNP-2500NEならではの音の鮮度をぜひ味わっていただきたいです。

ーー 本日はありがとうございました。


(構成:編集部 小澤貴信)

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