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【特別企画】待望のオーディオ用ハイエンドNASがついに登場

バッファローのオーディオ用NAS“DELA”「N1Z/N1A」開発者インタビュー

聞き手:山之内正 構成:ファイル・ウェブ編集部

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2014年03月20日
ネットワークオーディオは、既存のオーディオの在り方を一変させた。しかしそこには少なからず課題もあり、そのひとつがPC周辺機器であるNASの存在だった。しかし、ついに真の「オーディオ対応NAS」と呼べる製品がバッファローの新ブランド「DELA」から登場した。その名は「N1」(関連ニュース)。今回は開発の中心メンバーである荒木甲和氏にお話を伺う機会を得た。聞き手は、黎明期からネットワーク再生に取り組み、ユーザーとしてもNASと向き合い続けてきた山之内正氏である。

DELA「N1Z」(手前)と「N1A」(奥)

INDEX
<Part1 使い勝手>
約20秒の高速起動を実現。プレーヤー直結再生も可能
本体ディスプレイから全ての設定が操作できる
アートワークの高解像度表示はNASがカギを握る
ユーザーの要望を徹底的に反映させたオーディオ的使い勝手とは?
<Part2 品質>
コンデンサーを大量投入した異例のスイッチング電源に迫る
自社開発SSDがオーディオグレードである理由
LAN端子のLEDからネジのトルクにまでこだわった「オーディオ機器」としてのNAS
<Part3 開発ストーリー>
新ブランドネーム「DELA」に込められた想い
オーディオファンからの要望に真摯に答えた結果が「N1」である
<Part4 N1シリーズ試聴レポート>
「N1Z」と「N1A」の音質のちがいは? 山之内正がレビュー


<Part1 究極の使い勝手に迫る>
高速起動からディスプレイ搭載までを実現
ネットワークオーディオに特化した使い勝手を追求


■NASの常識を覆す「約20秒で起動」と「約5秒でシャットダウン」

ーー まず確認しておきたいのですが、今回登場したN1シリーズ(製品の詳細情報と発表会レポートはこちら)の2モデル、SSD搭載モデル「N1Z」とHDD搭載モデル「N1A」について、機能面では基本的に同等と考えてよろしいのでしょうか。

荒木氏 はい。筐体構造や電源、細部の音質的な追い込みなどでは様々な違いがありますが、機能的には同じと考えていただいて問題ありません。

N1シリーズについてお話を伺った(株)バッファロー BBSビジネスユニット BSS事業課 オーディオ係 シニアプロダクトプロデューサー オーディオ関連機器担当 荒木甲和氏

ーー では、その前提で話を進めさせていただきましょう。N1シリーズは、使い勝手という点から見ても非常にオーディオライクな製品に仕上がっていると感じました。

荒木氏 使い勝手の面で当初から実現したかったものが3つありました。それは「起動/シャットダウンの早さ」「NASへのネットワークプレーヤー直結」、そして「ディスプレイ搭載」です。

SSD搭載モデル「N1Z」 ¥OPEN(予想実売価格75〜80万円前後)

HDD搭載モデル「N1A」 ¥OPEN(予想実売価格15〜20万円前後)

ーー それではまず、高速起動のお話から伺いましょう。N1シリーズは電源のオン/オフが非常にシンプルです。前面に電源スイッチの操作で、起動やシャットダウンを待つことなく、通常のオーディオ機器のように電源のオン/オフできますね。

荒木氏 「N1Z」と「N1A」のそれぞれが、約20秒で起動し、約5秒でシャットダウンできます。

ーー 一般的なNASと比較すると、非常に高速ですね。

荒木氏 オーディオ用NASを開発する上で一番最初に取り組んだのが、起動とシャットダウンの時間短縮です。NASが故障したケースを検証していくと、試聴するときにNASの電源を入れ、聴き終わると電源を落とすという行為が原因となることが非常に多かったのです。そもそもNASは常時稼働が前提に作られていて、頻繁な電源のオン/オフは何かとトラブルの原因になります。そこで、オーディオ機器のように電源をオン/オフできる仕様を実現したのですが、そのためには、ソフトウェアを全て変えなければなりませんでした。

ーー 具体的にはどのような変更が必要だったのでしょうか。

荒木氏 まず、様々なHDDに対応することをやめました。通常のNASは部材の調達の関係で異なるHDDが搭載される可能性があり、設定などで多めにマージンをとっています。搭載するHDDを絞ることで、このマージン部分を省略できるのです。次にオーディオ再生には不要なソフトの搭載をやめて、ファイル共有機能とメディアサーバー機能に絞り込みました。搭載するソフトが多いと、その分、起動に時間がかかります。さらに、起動するためのソフトは音楽ファイルを保存するHDDやSSDとは別の、読み出し専用フラッシュメモリーに収めています。これにより、すばやくソフトウェアを起動できるのです。

ーー シャットダウンはどのようにして高速化できたのでしょうか。

荒木 通常のNASはシャットダウンする際に次回の正常な起動に備えて整合性を取るので、終了に時間がかかっていました。N1シリーズではこのプロセスを省略し、常に正しい状態を保つという方法に変更しました。こうしておくと、たとえ急に電源を抜かれたとしても、次回も問題なく起動できるのです。ネットワーク転送中に電源を切ってしまっても、次回の起動が遅くなったりしません。電源を入れると、転送の続きが問題なく行えるのです。

山之内正氏はネットワークオーディオ黎明期からのユーザーとしての視点で、使い勝手について具体的な質問を投げかけた

■ネットワークプレーヤーの直結に対応
 ルーターレスでの運用も可能とした


荒木氏 2番目の特徴が、通常のLAN端子に加えてプレーヤー専用LAN端子を搭載し、ネットワークプレーヤーを直結しての再生を可能としたことです。

ーー 確かにオーディオファンの中には、プレーヤーとNASを直結して、ルーターやハブなど音質に影響し得る要素を排除したいと考えるかたも多いでしょう。

荒木氏 一般的なNASやルーターを手がけているスタッフには、ハブやルーターで分岐して便利に使えるようにしているのに、なぜあえてプレーヤーを孤立させてしまうのかと反対もされました。NASの電源が入っていないと、プレーヤーが使えないではないかと。しかし、それでも直結させたいのが、オーディオファンの心理ではないでしょうか。直結できれば、その間にだけ高級なオーディオ向けLANケーブルを使えるというメリットはあります。

背面端子には通常のLANポートに加えて、プレーヤー直結用のLANポートが用意されている

NASとプレーヤーを直結する場合は、もう片方のLANポートをルーターやハブに接続することになります。ネットワークプレーヤーとNASを直結するだけで、ルーターを介することなく再生することも可能です。ルーターレス運用ですね。

ーー ネットワークオーディオの本来の姿から考えると正直使いにくいですが、オーディオ的には最もシンプルな形ですね。

荒木氏 DLNA準拠のネットワークプレーヤーであれば通常のNASでも直結できます。しかし、IPアドレスが来ないと何も挙動しないプレーヤーもあって、その場合はルーターなしでのNAS直結はできません。N1シリーズはプレーヤー専用LANポートからIPアドレスを送り出すことで、プレーヤーを選ばずにNAS直結での運用ができます。もちろん、相手がレンダラーの場合はコントローラーが必要なので、ルーターを介する必要があります。

本体前面のディスプレイですべての動作が確認できる

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