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【特別企画】待望のオーディオ用ハイエンドNASがついに登場

バッファローのオーディオ用NAS“DELA”「N1Z/N1A」開発者インタビュー

2014/03/20 聞き手:山之内正 構成:ファイル・ウェブ編集部
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<Part2 究極の音質に迫る>
電源から筐体、LANポートに至るまで
徹底された音質対策が施された


■「N1Z」はこだわり抜いたスイッチング電源を2基搭載

ーー それでは、音質面での工夫について伺いたいと思います。「N1Z」は大型の高速スイッチング電源を2基搭載していますね。NASではアナログ電源を搭載するというのは難しいのでしょうか。


「N1Z」の筐体内部
荒木氏 実はアナログ電源の検討も一度しているんですよ。

ーー そうなのですか。アナログ電源とスイッチング電源の差については、言われているほどメリットはなかったのですか?

荒木氏 NASという機械は特殊で、使用状況により急激な消費電力の変動があります。例えば、USB端子に大電力を使うデバイスが挿入されたり、急激な書き込みがあったり、起動時に2基のドライブを同時に立ち上げるような場合です。アナログ電源だと、必要な電源の急激な増加に追従できない場合があったのです。

ーー 消費電力の急激な変化をカバーできるアナログ電源を作るとしたら、余程巨大なものになってしまうでしょう。それでは確かに現実的でないですね。一方で、スイッチング電源をアナログ回路と同じ筺体に入れるのは、オーディオ的には不利な面があると思います。しかし、ハイエンドオーディオでも、積極的にスイッチング電源を導入しているメーカーもあります。

荒木氏 スイッチング電源を使えば、スイッチングノイズの影響は確かにあります。それに対して本機はまず、ノイズフィルターの搭載で対処しました。さらに電源自体も改善したいと考え、早い段階から今回採用したコンデンサーバンクの試作を始めました。そのコンデンサーバンクも少容量のものを多く使うのか、大容量のものを少数使うのが良いかを比較検討して、「N1Z」では最終的には小容量タイプを10個ほど並べて使うという結論に達しました。


コンデンサーが密集する「N1Z」の電源部
ーー コンデンサーをたくさん並べて使うコンデンサーバンクの概念は、オーディオ機器の電源回路ではよく使う手法ですね。非常に安定した電源を得ることができ、ノイズ対策の面でも意味があります。巨大なコンデンサーを1個使うとサイズが大きくなってしまいますが、小さいものを並列に並べれば筺体もそれほど大きくしなくて済むというメリットもありますよね。電源回路も自社設計したのでしょうか。

荒木氏 基板上の電源回路は自社開発です。電源ユニットについては、今回は二プロン製のものを採用しました。

ーー SSDモデルのN1Zは電源ユニットを2基搭載、HDDモデルのN1Aは電源ユニットを1基搭載という仕様になっていますね。

荒木氏 「N1Z」は30Wの電源ユニットを2基搭載し、一方はUSBやディスクドライブ用、もう一方はLANやCPU用に使っています。「N1A」は60Wの電源ユニットを1基搭載し、コンデンサーバンクは採用していません。電源ユニットは1個ですが、基板上の電源回路は分けてますので、なるべく影響がでないよう配慮されています。


「N1A」は大容量電源を1基搭載。基板上で電源回路をセパレートして干渉を防いでいる
ーー 意外だったのは、NASの消費電力の大きさです。中身はPCと同等の回路が入っていることを考えれば納得いきますが、様々なUSB機器に電力を提供するという理由もあるでしょう。

荒木氏 NASは特に起動時に電力を使います。N1シリーズは両モデルとも2ベイ・タイプですが、「N1A」の2TB HDDが2台立ち上がる時の消費電力はかなり大きなものです。また、起動を早くするためには2台のHDDを同時に立ち上げる必要があり、消費電力が大きくなります。NASの中には消費電力を抑えるために2基のHDDを時間差で立ち上げるものがありますが、本機は起動のスピードを優先しています。

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