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【特別企画】待望のオーディオ用ハイエンドNASがついに登場

バッファローのオーディオ用NAS“DELA”「N1Z/N1A」開発者インタビュー

公開日 2014/03/20 10:47 聞き手:山之内正 構成:ファイル・ウェブ編集部
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■自社開発のオーディオグレードSSDを採用

ーー 上位モデル「N1Z」は、グループ会社であるバッファローメモリが独自開発した「オーディオグレードSSD」を搭載しています。独自の工夫をされているとのことでしたが、オーディオグレードを実現する上でのキーポイントは何だったのでしょうか。

荒木氏 SSDで音が変わることについては様々な意見がありますが、特性がフラットであることは音質にも良い影響を与えます。SSDは動作状況による消費電力の上下が激しいので、これが読み出し性能に悪影響を与えてしまうのです。一般的なのSSDはピーク性能を重視しますが、「N1Z」のSSDでは特性をフラットにして、常に一定の性能を発揮させることが大きなテーマでした。


「N1Z」は512GBのSSDを2基搭載(写真では1基を外してある)

バッファローメモリが開発したオーディオグレードSSD
ーー 常に一定した動作を行うためにピークを下げたということは、仕事をこなしきれないということも起こり得るのでしょうか。例えば、再生中に複数人が同時にNASに曲を書き込むなんて場合もありますよね。

荒木氏 作業が集中するシチュエーションも想定してピークを設定してあるので問題ありません。通常のSSDなら、表向きの動作で平均して良い性能がでれば商品性は高いとされますし、速度もトップスピードが評価されます。しかし、オーディオでは、ボトムの処理速度が重要になりますよね。

ーー 何より音が途切れることが最大の問題になりますからね。

荒木氏 はい。ちなみにバッファローメモリは産業用のメモリーを扱う会社で、チップなどの部材は独自に入手し、ソフトも自社で書いています。今思えば偶然ですが、このプロジェクトが始まった頃、バッファローメモリのチームの机が、偶然にも我々のチームの近くにあったのです。それで「オーディオ用にこんなパフォーマンスのSSDはできないだろうか」と相談しました。オーディオ用のパフォーマンスとは、ピークを追いかけないフラットな特性を持ち、なるべく逐次処理を行うということです。


オーディオグレードSSDの内部。各パーツも厳選されている(写真のものは一部メモリーがデモ用に取り外してある)
ひとつ問題になったのは、産業用SSDのラインナップは32GBや64GBという容量が当たり前ということでした。オーディオ用途で必要な1TBとか、500GBという容量は、産業用では通常ありません。我々としてはどうしてもNASに1TBは欲しかったので、512GBのSSDを作って欲しいと頼みました。

ーー ストレージ容量の確保以外で苦労した点はありましたか?

荒木氏 開発中サンプルのSSDをNASに搭載してみたところ、耳を澄ませるとICが鳴いてしまい「チーッ」と小さな音を出していたので、すぐにパーツを替えてもらいました。このように試聴を通しての検証も重ね、仕様を追い込みました。重ね重ね申しますが、“オーディオグレード”とは、「フラットな特性」を突き詰めたという意味です。パーツも、最新ではないが特性はフラットなものを探し出して選定しています。なかなか手に入りにくい部品もありました。

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