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公開日 2026/09/25 06:30
静粛性の高さも良質なカーオーディオには必須

ボルボとB&W、上質への希求が紡ぐ縁。フラグシップ・クロスオーバー「ES90」のカーオーディオの音に触れる

栗原祥光

ボルボとBowers & Wilkins(以下B&W)が手を組むようになり、今年で12年が経つという。本稿で紹介する「ES90」に搭載するオーディオシステムは、両社の新たな時代を拓くのはもちろんのこと、純正オーディオシステムのひとつの目標になりうる存在だ。なぜなら、私が識るなかの、あらゆる純正カーオーディオシステムの中で最良の音を奏でているからだ。



VOLVO「ES90」。「Ultra Single Motor Extended Range」と「Ultra Twin Motor Performance」に、Bowers & Wilkins ハイフィディリティ・オーディオシステムが搭載される。価格は税込11,290,000円から


クルマにおける静寂の価値


クロスオーバーの「ES90」と、同じシャーシを使う兄弟車で3列7人乗りのSUV「EX90」は、ボルボがフラグシップBEV(バッテリーEV)と位置付けている車種だ。いずれも1000万円を超える車種であり、あらゆる面において高い性能と品質が求められる。



VOVLO「EX90」


そのひとつが「静粛性」だ。BEVは一般的に走行中の静粛性は高い傾向はあるが、ボルボの2台の静かさの質が違う。一般的に静粛性を上げるには、ドアなどに吸音材を入れたりやデッドニング処理を用いることと、貼り合わせガラスを用いる。それでは高域の静粛性は上がるものの、低域の静粛性は上がりづらい。


低域の遮音性を上げるには、車両の躯体構造そのものに手を加えなければならない。当然、重量も増える傾向につながり、コスト高になりがちだ。


それゆえ、普及価格帯の車両では静粛性を上げるのは難しい。だがフラグシップでは可能だ。


ES90とEX90は、ロードノイズもかなり抑えられ、無音で景色だけが流れるかのように滑らかに走る。静寂というのが、いかに価値があることなのかを、このクルマは教えてくれる。


静粛であるが故に、上質なオーディオが求められる。ラグジュアリーでエレガント、そして心地よい。B&Wの新システムは、その要望に見事に応えた。


B&Wの象徴、ノーチラスチューブのトゥイーター


ドアを開けると、ダッシュボードに配置されたノーチラスチューブ形状のオントップトゥイーターが出迎えてくれた。この時点で心が高鳴る。



ノーチラスチューブ形状のトゥイーター部。ダッシュボード中央に配置される


搭載するスピーカーユニットは25基。その構成は、5基のトゥイーターに、7基のコンティニュアム・コーンのミッドレンジ、4基のウーファー、1基のサブウーファー、そして天井に取り付けられた4基のサラウンドスピーカーに、4基のヘッドレストスピーカー。まるでスピーカーに囲まれているかのようだ。これらを28チャンネル総出力1,610Wのパワーアンプでドライブするという。



ドアに取り付けられたミッドレンジ。銀色の振動板はコンティニュアム・コーンであろう




前席ドアの上部にミッドレンジは装着されている


グリルはステンレス・スチール製。海外の輸入車では見慣れたアイテムだ。光を当てると、振動板がちらっと見える。


ドルビーアトモスの音の繋がりも見事


素材がよければ、今度は調理法が問われるところだ。当然、抜かりはない。まずひとつが日本向け輸入車ブランドとしてはメルセデス・ベンツに続くドルビーアトモスに対応したことだ。車両とスマホを接続し、Apple Musicにアクセスすれば、イマーシブオーディオが愉しめる。



音がぐるぐる回り、ドルビーアトモスの効果が存分に味わえるTiesto&Sevenn「BOOM」


この音のつながりが実に見事。上下左右と三次元で音源が明瞭にわかる。しかもB&Wのクオリティで。車内のどこにいても、この恩恵にあずかれるのがドルビー・アトモスのメリットだ。


一般的なステレオ録音もイマーシブに変換できるので、家族で音楽を愉しみながらの移動は、これが最適解であると思う。自動車こそ、ドルビーアトモスが活きると確信する。



天井にもスピーカーが配置されており、自然なドルビーアトモスが楽しめる


B&Wの持ち味を、シッカリと表現


しかし本当に凄いのはここからだ。一般的なステレオ音源を再生した時である。そもそもの品位がとても高く、中庸の音色と帯域バランス。様々な設定が用意されているが、何かいじる必要はない。


B&Wの本気に触れた気がした。ヘッドレストからも音が出ているが、それはあくまで定位感の補正だろう。音像がビシッと立ち揺るがない。


圧巻は「アビーロード・スタジオモード」だ。音色と音源との距離、スピーカー間隔がグラフィカルに設定できる。ヴィンテージに振れば「Matrix 801」の頃のイラストとなり、中域優勢で70年代のロックやジャズなどに向いたサウンドに。モダン方向に振ると現代の800D5シリーズのようなワイドでフラット、高解像度系のサウンドへと変化する。



サウンドモードの中に「アビーロード」というモードが用意されている

 


プロデューサーモードでは、音質を「モダン」や「ヴィンテージ」に細かく設定ができる。設定に応じてB&Wのスピーカーのイラストが変わるのもオーディオ心をくすぐる


これはクラシックや現代録音に有益だろう。こうしたグラフィカルで使いやすく、かつ効果のあるエフェクトは、他社の車載機ではみたことがない。


音触のよいニュートラルサウンド。自らの個性で聴かせる方向ではないから、楽曲の適応力も高く、いかなる音楽も愉しめる。B&Wの持ち味を、シッカリと表現しながら、新たなステージのドアを開いたES90とEX90。車そのものもさることながら、とんでもないシステムが登場したと感じた。



楽曲の「フォーカス」についても運転席やフロント、リアなどに設定できる




イコライザー機能で音質をチューニングすることも可能


ボルボは、9月26日(土)に南青山のVolvo Studio Tokyoにて、ES90とEX90の試聴会を行なう。B&Wのホーム用スピーカーも用意され、ホームとカーオーディオを両方一度に体験できる貴重な機会となる。当日は11時からトークセッションも予定されている。最新リファレンスたりえるカーサウンドをぜひ体験して欲しい。




南青山のVolvo Studio Tokyo。B&Wのホーム用スピーカーも期間限定で展示されている


ES90とEX90、この2台は、これからのボルボのクルマの方向性を示すフラグシップモデルである。そして今後、ボルボはこのシステムを下位モデルにも展開していく予定だそうだ。


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