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香港ショウにて比較試聴&インタビューを実施

足元こそオーディオの要。「見通しが良くなる」IsoAcousticsのインシュレーターの効果を体験&技術詳細を訊く

公開日 2026/09/23 07:50 栗原祥光
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8月に取材に訪問した香港のオーディオショウでのこと。2組のFOCAL「Scala Utopia Evo」が並べて配置されているブースがあった。よく見ると脚部が異なる。片方にはIsoAcoustics(アイソアコースティクス)のインシュレーターが取り付けられており、それに伴って高さも少しだけこちらの方が高い。

香港オーディオショウにおけるIsoAcousticsのブース。2台の同じFOCALスピーカーを設置、IsoAcousticsのインシュレーターの有無の比較試聴ができる 

音の輪郭がまるで違い、スッキリと見通しも良い

インシュレーターの有り無し、「その違いをぜひ体験してほしい」と青い瞳をもつIsoAcousticsのグローバルセールスマネージャー、ポール・モリソン氏が言ってきた。

IsoAcousticsグローバルセールスマネージャーのポール・モリソン氏

アクセサリーの比較試聴はあまり経験がなく、一抹の不安がよぎった。だが覚悟を決め、試聴曲であるイーグルス「ホテル・カリフォルニア」のライブ盤を聴くことにした。最初はホワイト・キャビネットのノーマルから。実に良い音で文句はない。

続いてIsoAcousticsのインシュレーターを装着したブラックモデルの「Scala Utopia Evo」にチェンジした。音が出た瞬間、スグに違いが分かった。

黒いスピーカーにのみIsoAcousticsのインシュレーターを設置

だが、この違いは何なんだ? まるで別物ではないか。イントロのギターは途方もなく美しく、コンガの音に滲みがない。端的に言えば、音色は同じだが音の輪郭がまるで違う。特に低域方向に大きな差があり、スッキリとして見通しがよい、この音を聴いたら最後、1分前まで「文句はない」と思っていた音に戻ることはできない。

脚部だけでここまで変わるものなのか? 「ケーブルか何かを変えているだろ」とポール氏に疑惑の目を向けたが、彼はニコニコと笑顔。本当に脚部以外、変えていないという。

こうなるとIsoAcousticsに興味を抱かない方がオカシイというものだ。こうして、ポール氏に色々と質問攻めをするインタビューが始まった。

カナダの放送局での経験からブランドを設立

IsoAcousticsはカナダ最大の都市トロントから、自動車で30分離れた郊外に拠点を構えているという。誕生は2012年と若い。

ブランドは、ポール氏の父親であるデイブ・モリソン氏が立ち上げたブランドだそうだ。「父は長年、カナダの放送局でスタジオ設計や建設などに従事していました。あるときスピーカーの駆動が設置面に伝わり、それが反射して戻ると音の透明感や定位(音の輪郭)が著しく歪むという問題が見つかったのです。研究の結果、アイソレーション方法を発見し、2012年にインシュレーターのビジネスを始めました」

そうした経緯から、当初はプロ向けのマーケットでビジネスをスタート。後に民生分野にも販路とラインアップを拡充させたという。

ポール・モリソン氏にインタビューを実施

「現在は父と兄弟、そして私というファミリーを中心に14名のスタッフで活動し、世界70か国に輸出しています」とのこと。ちなみに大きな取引先はアメリカ、イギリス、ドイツ、そして台湾だそうだ。

研究の結果、言い換えるならIsoAcousticsのコア技術について話題を移そう。「音を出すとスピーカーは前後に動きます。そこでスピーカーが接するトッププレートと、接地面に接するボトムプレートを、弾性のあるエラストマー(高分子)で連結させ、振動をアイソレーションさせています。ですが、移動の方向性を持たせているのです。具体的には前後には移動するものの、左右は移動しづらくしています」。

後ろに移動しようとする力が働くと、エラストマーが前に戻そうする。結果、フロントバッフルは常に同じ位置にある、というイメージだ。それゆえIsoAcousticsのインシュレーターには方向性がある。具体的にはロゴがある面を正面または背面に向けなければ、その効果は発揮しないという。

ロゴを正面に向ける使い方を推奨 

だが、本当にフロントバッフルの前後移動は少なくなるのか? 「研究機関で計測したところ、フロントバッフルの移動距離は、スパイク脚と比較して低減していることが確認できています」。科学的なエビデンスをベースに、インシュレーターの開発を行っているのだ。

従来、スピーカーの純正脚部といえばスパイクが通例であった。だが、近年ハイエンドオーディオメーカーに、IsoAcousticsの脚の採用事例は増えている。具体的にはJBLの「Summitシリーズ」、MARTENの「Coltrane Supreme Extreme」、またEMM labsのエレクトロニクスにも採用されている。

これはポール氏が積極的に各メーカーに対して行った営業活動の賜物なのか? 答えはNOだ。

「IsoAcousticsは、今回のようにオーディオショウで有無の比較デモンストレーションを行なっています。そこで各メーカーの方々が実際に体験されて、後日サンプルを送ってほしいという話を頂くことが多いのです。そこから専用品の制作(OEM)の話へと繋がる場合がほとんどです」

香港ショウでも多くの来場者が詰めかけ、IsoAcousticsのインシュレーターの効果を確かめていた

私と同様に、メーカーのエンジニアも、このデモンストレーションを体験し、その効果を実感してから採用を決めているというのだ。百聞は一聴にしかず、とはよく言ったものだ。OEMの開発期間は様々で、メーカーによっては何年もかけて試作を繰り返す場合もあるそうだ。

インシュレーターの効果的な使い方は?

そのIsoAcousticsのインシュレーターの民生モデルが、今年、我が国に上陸した。実際に自宅で使う際の注意点などについてポール氏に立て続けに質問した。

まずはスピーカー以外のセッティングについて。アンプ等でもロゴは正面に向けた方がよいのだろうか。「スピーカー以外のコンポーネントでは、特に向きの指定はありません」。どうやら普通に使ってよいようだ。

次に耐荷重について。同社は様々な大きさのインシュレーターを用意し、耐荷重が決められている。超過は論外としても、逆に大幅に耐荷重に満たない商品を載せて使った場合、効果はあるのだろうか。「期待されるほどの効果は得られません。耐荷重に近いインシュレーターをお使いください」。

耐荷重に応じてさまざまなサイズをラインナップしている

ブックシェルフ型の場合、スピーカースタンド側に取り付けた場合と、スピーカーとスタンドの間に置いた場合のどちらが好ましい結果が得られるか。「スピーカーとスタンドが固定できるなら、スタンド側の脚部を変更した方が望ましいです。スタンドとスピーカーが固定していない場合は、スピーカー側に置いた方がよいでしょう」。

スタンドの脚、スピーカーの下の両方にインシュレーターを使っても問題はないのだろうか?「最も良い結果が得られるでしょう。そのような使い方をされている方は世界中にいらっしゃいます」とほほ笑む。

弾性のある樹脂を使っているが、経年変化や劣化の心配は?「20年以上販売していますが、未だ誰からもクレームは来ていません。ですので20年は使えるといえるでしょうし、今後も伸びていくと思っています」。

スピーカーによって、ネジのサイズやピッチが違うが、手持ちのコンポーネントのネジ穴と合わない場合はどうすればよいか。「私たちのホームページでは、コンフィギュレーターを用意していますので、そこであらかじめ確認ができます。また最初から3種類のネジを用意していますが、別途170種類以上の変換ネジを用意しています」

ちなみに日本ではヒビノエレクトリがプロ向け、エミライがコンシューマー向けの輸入を執り行うが、エミライはコンフィギュレーターの日本語化を既に完了しており、変換ネジも全て在庫を用意するとのことだ。

エミライは、手持ちのオーディオ機器にはどのアイテムが適切かを検索できるサイトを構築

質問を続けよう。スピーカー向けインシュレーターのラインアップとして、GAIAシリーズのほか、耐荷重の高いGAIA Titanシリーズ、そしてGAIAシリーズの上位グレードといえるGAIA Neoシリーズを用意している。

GAIA Neoがあるなら、GAIAをラインアップする必要はないのでは?「性能面ではGAIA Neoシリーズの方が良いですが、GAIAは既に多くの方が利用されていますし、なにより安価でお試ししやすいと思います。また脚部の形状によってはGAIAしか取り付けできない場合がありますので、現在もラインアップに残しています」

ロングセラーとなっている「GAIA」シリーズ

一回りサイズの大きい「GAIA Titan」シリーズ

最新の「GAIA Neo」シリーズ

今後の展開についても聞いた。「zaZen」(座禅)という薄型のオーディオボードをリリースします。アナログプレーヤーはもちろんのこと、真空管アンプなどにも効果があります」。zaZenは耐荷重によって2モデルを用意するとのことだ。

アナログプレーヤーなどに使用できるオーディオボード「zaZen」 

オーディオ機器のポテンシャルを高めてくれる

最後に日本のオーディオファイルに向けて一言。「私達はスピーカーメーカーやコンポーネントのメーカーではありません。スポーツカーに例えるなら、もっとよいタイヤを履けば、もっと性能が引き出せるのに似て、オーディオ機器のポテンシャルを高めることを目指しています」。最後に握手をして、ポール氏のとのインタビューを終えた。

オーディオコンポーネントの足元といえばスパイクが定番だ。だがスパイクは接地面を傷つける恐れがあるほか、服に穴を空けたり怪我の恐れがある。何より別途スパイク受けが必要だ。IsoAcousticsのインシュレーターは平脚なので怪我の心配は少ない。その上、音質向上が見込める。いま私は、IsoAcousticsのアクセサリーを自宅で試したくて仕方ない。

この秋はIsoAcousticsの聴き比べイベントに期待!

輸入元のエミライは、イベント出展時にIsoAcousticsの有無を試す試聴も実施しているという。その反応は上々とのこと。私と同じ体験を、ぜひご自身の耳で試して欲しい。

オシャレは足元から、という言葉があるように、オーディオは足元から、という時代が来ているのだ。

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