<連載:アクティブスピーカー最前線>デスクトップからリビングまで、省スペース&高音質を狙おう
逆木 一この1月からスタートする新連載「<アクティブスピーカー最前線> 〜デスクトップからリビングまで〜」。近年、アンプ、またネットワーク再生機能も内蔵したスピーカーの進化が著しく、“音質” “機能” の双方から、新しいオーディオの楽しみ方を提供する製品が多く登場してきている。
だが、アクティブスピーカーとひとくちに言っても、その内実は驚くほどに多岐にわたる。この連載では、話題のアクティブスピーカーを毎回1モデル取り上げ、その魅力や使いこなしスタイルを詳しく詳解。“これから” のオーディオの楽しみ方のスタイルをご紹介していこう。
今回は連載前のプレ企画として、昨今市場を賑わす「アクティブスピーカー」について、大まかな位置付けを整理したい。
アンプを内蔵することで省スペースと音質を両立
「アクティブスピーカー」という製品ジャンルがある。これは端的に言えば「アンプを内蔵するスピーカー」のことだ。駆動のために別途アンプを必要とする=「パッシブ」であり、それに対してアンプを内蔵する=「アクティブ」ということになる。
なお、「アンプ内蔵のスピーカー」を指して「パワードスピーカー」と呼ぶこともあるが、このシリーズでは「アクティブスピーカー」の呼称で統一する。
オーディオ用に使われるスピーカーの多くは、様々なメーカー/ブランドのアンプとの組み合わせの自由度が大きな趣味性を生むことから、パッシブスピーカーが大半を占める。気に入ったスピーカーの実力を発揮させ、より魅力的な音を引き出すべく、組み合わせるアンプを吟味し、またアップグレードする。この営為は、趣味のオーディオにおける最大の楽しみのひとつと言っても過言ではない。
しかし、パッシブスピーカーにおける組み合わせの自由度という美点は同時に、「アンプ次第で、メーカーが意図する性能をスピーカーが発揮できるとは限らない」ということでもある。また、もっと単純な話として、特にこれから音にこだわろうという層にとっては、スピーカー以外にも機材が必要になること自体がハードルになるかもしれない。
一方でアクティブスピーカーは、アンプまで含めて最適化でき、メーカーの意図する再生音が高いレベルで担保される。別途アンプを必要としないため、導入のハードルが低く、スペースファクターにも優れる。「どちらが良いか」という話ではなく、パッシブスピーカーに必然的に生じる(美点の裏返しとしての)難点は、アクティブスピーカーであればそもそも生じないか、大きく軽減されるということだ。
オーディオ用スピーカーというとどうしても「パッシブスピーカー」が注目されてきたが、今あらためて「アクティブスピーカー」に注目してみようというのがこのシリーズである。
繰り返すが、「どちらが良いか」という話ではなく、多様化するオーディオの世界におけるひとつの可能性として、「アクティブスピーカーという選択肢」を紹介することを目的としている。
現代アクティブスピーカーの4分類
シリーズの開始に先立ち、市場にある様々なアクティブスピーカーを分類する指標として、以下の要素を提案したい。なお、これらは「この製品は(1)」「この製品は(3)」のようにピンポイントなものではなく、実際はひとつの製品に複数の要素が含まれる場合も多いと捉えていただきたい。
(1)主にPCとの組み合わせを想定した製品(creative、Logicool等)
(2)様々な機器との組み合わせを想定した製品(AIRPULES、KEF等)
(3)音楽制作用途を想定した製品(GENELEC、NEUMANN等)
(4)著名スピーカーブランドによるハイエンド製品(YG Acoustics、Sonus Faber等)
(1)は製品数で考えると最も大きな領域で、「PCアクセサリー」の文脈で扱われる製品も多い。基本的に価格帯も手頃であり、安価なものでは1,000円程度の製品も存在する。ただし、安価な製品はあくまでも「PCの音を出す」ためのスピーカーという立ち位置であり、本格的に「趣味としてのオーディオ」に使い得る製品となると、価格で1万円程度がひとつのラインになるというのが筆者のイメージだ。
(2)は一般的なアナログ入力(ステレオミニやRCAなど)だけでなく、各種デジタル入力も搭載することで様々な機器との接続を可能としている。PCと組み合わせることはもちろん、最近ではBluetoothでスマートフォンとの接続や、HDMI ARC端子を搭載してテレビとの連携が可能な製品も増えてきている。オーディオ用スピーカーブランドが製品をラインナップする場合もあり、デスクトップだけでなくリビングユースも視野に入れた製品も存在する。
(3)は音楽・映像制作といったクリエイティブ用途のための「正確な音の再現」を主眼とし、「モニタースピーカー」というジャンルを形成している。制作/モニター用と言うと、オーディオ用には不向きなのかと思われるかもしれないが、決してそんなことはない。正確な音の再現のために磨き上げられたスピーカーとしての基礎性能は、純粋な鑑賞目的でも大きな威力を発揮する。
(4)は「一線を画した」、すなわちアンプを内蔵するというアクティブスピーカーならではの強みを存分に活かし、その音質をもって、趣味性を含めたパッシブスピーカー×アンプの「絶対値」をも凌駕するような製品を想定している。必然的に高価格帯の製品となることが見込まれるため、個別の要素として設定した。
今後の各製品の記事ではUSB DACとしてPCとの組み合わせたケースと、HDMI ARCによるテレビとの連携の両方が可能なEversoloの「DMP-A6 Gen2」をリファレンスに使用。「デスクトップ」と「リビング」の2種類のユースケースを想定した紹介を行う。
例えばスピーカー本体にHDMI ARCを搭載しない、アナログ入力のみの製品でも、テレビの音声出力や、DMP-A6 Gen2のように然るべき機器を用いてテレビと連携させることは可能である。テレビと連携させるスピーカーといえば真っ先にサウンドバーが想定されるが、決してそれだけでなく、アクティブスピーカーも選択肢になり得るのだと知っていただきたい。
このシリーズの中では価格帯を問わず、様々なアクティブスピーカーを取り扱っていく予定なので、「なるほどこういうのもあるのか!」という情報をお届けできると幸いだ。