圧巻の描写はそのままに小型軽量化を実現! ZEISS「Otus ML 1.4/50」実写レビュー
河田一規今から11年前の2014年に発売され、卓越した描写性能が絶賛されたツァイスのOtus(オータス)シリーズ。そのミラーレス向けとなる新シリーズ「Otus MLシリーズ」が新たに登場した。
ツァイスは約180年の歴史を持ち、現存する光学機器メーカーとしては世界最古となるメーカーのひとつ。顕微鏡製造で創業されたが、今はムービーカメラ用レンズ、プラネタリウム、そして半導体製造装置や医療機器まで手がけているドイツの大企業だ。
もちろんカメラ用レンズも有名で、同社がレンズ形式を表すために名付けたプラナーやゾナー、テッサー、ビオゴン、ディスタゴン等の名称を知っている人も多いだろう。
そんなツァイスが2014年に発売した一眼レフ用Otusは、とにかく画質を優先した設計で、高い描写性能を実現するためにはいくら大きく重くなっても構わないという、当時としてはかなり振り切った思想で作られていた。
そしてツァイスの思惑通り、その超絶画質は先鋭的なユーザーに歓迎され、高性能レンズのベンチマークとしてその後の他社のレンズ開発にも影響を与えることとなった。
今回発表されたOtus MLシリーズは、一眼レフ用Otusと同じく画質最優先の思想はそのままに、ミラーレス向けに最適化した光学系に作り直されたオールニューモデルとなる。
5月に最初のモデルとなる「Otus ML 1.4/50」が、そして本年中に「Otus ML 1.4/85」が発売される予定だ。マウントはキヤノンRF、ソニーFE、ニコンZの3種類を用意。一眼レフ用Otusシリーズと同じく、Otus MLシリーズもピント合わせはマニュアルフォーカスを採用している。
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ZEISS「Otus ML 1.4/50」
SPEC ●焦点距離:50mm ●絞り値:F/1.4-F/16 ●最短撮影距離:0.5m ●フィルター径:φ67mm ●外形寸法:φ77.4mm×92.9mm ●質量:697g ●対応センサーサイズ:フルサイズ ●対応マウント:ソニーE、ニコンZ、キヤノンRF ●価格:¥308,000(税込)●発売日:2025年5月30日(ニコンZマウント用のみ7月発売予定) ※数値は全てキヤノンRFマウント用の数値
Otus ML 1.4/50を見て最初に感じたのは「ずいぶん小さくなったなぁ」ということ。一眼レフ用「Otus 1.4/55」は、前述のとおり「性能のためにはデカくて重くてもOK」という思想で作られていたため、開放F1.4の標準レンズとしてはかなりの巨体だった。
だが本レンズではグッと小型軽量化され、全長は約120mmから約93mmに、最大径はΦ92.4mmからΦ77.4mm、質量は1010gから697g(数値はいずれもキヤノンマウント同士の比較)へとダウンサイジング。フィルター径も77mmから67mmへと2ステップも小さくなった。