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公開日 2017/06/26 10:00
No526はデジタル入力部を搭載

【製品批評】内蔵フォノイコにも力をいれたマークレビンソンの最新プリアンプ「No526/No523」

石田善之




プリアンプ
MARK LEVINSON
No526/No523
No525:¥2,150,000/No523:¥1,750,000(税抜)



マークレビンソンと言えば、やはりプリアンプである。プリアンプでスタートし、これまでも歴代の銘機を送り出してきただけに、ファンとしても最新モデル「No526」と「No523」(関連ニュース)に注目しているところだが、なぜ、2機種が存在するのだろうか?

「No526」は、最新バージョンのUSBオーディオプロセッサー部を含む。一方で、特に日本や欧州のオーディオファンの中にはアナログ、デジタルが混在するのを嫌う方もいる。そこでDACを搭載しない「No523」も同時に発売されたのだ。両機はDACの有無以外は全て共通だ。

いずれもマークレビンソン伝統のピュアパス・ディスクリート、ダイレクト・カップリング、フルバランス設計に基づいたデュアル・モノラル回路を踏襲。ボリューム・コントロール回路はプリアンプ「No32L」以来の、高精度ラダー抵抗とローノイズ・アナログスイッチを用いたディスクリート構成のステップ・アッテネーター方式が採用されている。


アナログ回路の構成はシングルカスコードを積み上げて出力を稼ぐ「折りたたみカスコード方式」。ここにはJFETが用いられているが、それだけでは非直線性を伴うため、非常に低い入力インピーダンス、かつ非常に高い出力インピーダンス特性を持つBJTをカスコード接続回路に組み込むみ、それぞれのトランジスターの利点を活かした回路としている。また半導体回路に不可欠なNFは、特性やデータを重視するよりも聴感が優先され、結果としては必要最少量に留められているようである。

標準装備されたフォノイコライザーにも注目してほしい。使われている高精度なパーツ類は全てディスクリートのAクラスアンプ。RIAAカーブを構成する手法は低域側がアクティブ型、つまりNF型とみてよく、高域側はパッシブ型、つまりCR型とみることができる。

「No532」の方で実際の試聴を行った。モノラルパワーアンプ「No536」を組み合わせ、スピーカーシステムはJBLの「EVEREST 67000」を用いた。まずは聴き慣れたCDを使ったが、深みのなかに透明度が高く、密度の高いまさにマークレビンソンの伝統的なサウンドである。

No526の内部。左右チャンネルのオーディオ回路をシンメトリカルに配置したデュアルモノラル構成によるフルバランス設計を採用する

さらにLPでフォノイコの実力も探った。ジャズはキャノンボール・アダレイの『SomethingElse』を聴いたが、「枯葉」でのマイルス・デイビスのミュート・トランペットはじりじりと押し殺したなかにもつややかな輝きを聴かせ、アルトサックスはポッと浮かび上がるような押し出しで、ホーンシステムからなるスピーカーの特徴も手伝って、浮かぶように前にくり出している。

アナログ全盛時代にはなかなか味わうことができなかったこうしたサウンドが、今だからこそ真に味わうことができるという思いが湧いてくる。また伝統を基調としながらも、さらに解像力や透明感が追求されて、さらなる進化も併せ持ち、まさにレビンソン・サウンドは蘇ったと言っていい。

(石田善之)

Specifications
●アナログ入力:XLR×2、RCA×3、フォノ(MM/MC)×1 ●デジタル入力(No526のみ):AES/EBU×1、同軸×2、光デジタル×2、USB-B×1 ●アナログ出力:プリアウト=XLR×1、RCA×1、ヘッドフォン×1 ●歪み率(THD+N):0.003%以下(@1kHz 4Vrms=バランス/2Vrms=アンバランス出力)●S/N:115dB以上(@1kHz 4Vrms=バランス/2Vrms=アンバランス出力)●チャンネルセパレ―ション:115dB以上(@1kHz)●最大出力レベル:22Vrms以上(バランス)/11Vrms以上(アンバランス) ●消費電力:75W(電源ON時)、待機時5W(パワーセーブ) ●外形寸法:438W×102H×457D(ノブ含まず)mm ●質量:532=17.7?、526=18.6kg ●取り扱い:ハーマンインターナショナル(株)


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」164号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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