「アナログレコードが一番音が良い」“メタルゴッド”伊藤政則さんの愛聴盤を、現代UKハイエンドシステムで聴く!
御法川裕三/筑井真奈(構成:出水 哲)1970〜80年代の音楽シーンで、UKロックやヘヴィ・メタルの魅力を伝えてくれたのは、伊藤政則さんと言って間違いないだろう。ラジオやテレビを通じて様々な海外アーティストの情報をもたらし、感度の高い若者たちをワクワクさせてくれた。
そうやって育った“セーソク・チルドレン”はオーディオ業界にも多い(はず)。今回は、ふたりのチルドレンが師匠とともに、最新のハイエンド・オーディオ機器でレコード鑑賞を実施。ヘヴィ・メタルとオーディオの深淵を探る。
“アナログレコードが一番音が良い”
御法川 今日は伊藤政則さんを試聴室にお招きし、最新オーディオ機器でアナログレコードを楽しんでいただきます。ぼくは以前、別の仕事で何度か政則さんとご一緒しましたが、オーディオについて話をするのは初めてなので、個人的にも楽しみです。
筑井 今回の企画を担当した編集部の筑井です。今日は弊社までお越しくださり、本当に光栄です。1990年代、政則さんがラジオで、“アナログレコードが一番音が良い”とおっしゃっていたのが心に残っていて、それが今の仕事に繋がっているんです。今、マジに足が震えています。
伊藤 へー、そうなんだ。それは嬉しいな。こちらこそ、よろしくお願いします。
御法川 実はぼくも最近、ファイルウェブで音楽企画を担当させてもらうことが多く、ディープ・パープル『MADE IN JAPAN』のイマーシブサラウンドを検証したり、「FUJI ROCK FESTIVAL ’25」のライヴ中継を大画面プロジェクターで視聴したりしているんです。
伊藤 フジロック?現場に行きなさいよ。得られる情報量が全く違うでしょ。
御法川 そうなんですけれど、行きたくとも行けないファンもいるわけで……。それにライヴ配信も結構頑張っているんですよ。
伊藤 まあ、そうか。
御法川 ぼくはもちろんですが、筑井さんも真正の“セーソク・チルドレン” なので、今回は“お師匠”が最新のハイエンド・オーディオ機器でアナログレコードを聴いたら、どんな風に感じられるのか伺いたいと思っています。
伊藤 それはいいけど、これだけのシステムを自宅に揃えるのはたいへんだねぇ。システム全体の金額(約900万円)を聞いて驚いたよ。
筑井 確かに今日のシステムはそれなりに頑張っています(笑)。でも、それくらいオーディオに真剣に取り組んでいる読者もいらっしゃいますので、その一端を政則さんにも体験いただきたいと思っています。音楽の楽しみ方として、ライヴは別物ですが、全身で音を浴びるオーディオの楽しさってあると思うし、自宅で最高の音で聴くという選択肢もあるわけですし。
伊藤 なるほどね。
御法川 ちなみに、政則さんは普段どのような環境で音楽を聴いているんですか? やっぱりアナログ盤が中心ですか?
伊藤 今はアナログ盤を聴く機会が少なくなっている。やっぱりアナログ盤で音楽を聴くには余裕が必要なんだ、時間的にも、精神的にもね。昔はイギリスのバンドはイギリス盤で、ドイツのバンドはドイツ盤で聴くということをやっていたんだけど、それは当時レコードしかなかったからなんだよね。
今はCDもあるし、配信でも試聴できちゃうじゃない。つまり国籍とソース(盤)の関連もなくなったわけで、ハイレゾをヘッドホンで聴くという行為は、レコードでの試聴とは別物として考えなくてはならないと思っている。
あとさ、レコードコレクターってマトリクス番号を気にする例もあるじゃない。その場合は複数のタイトルで聴き比べをするわけで、機材も大事になってくるだろうね。俺はマトリクス番号を全く気にしないけれど、実際、同じタイトルで複数枚持っているケースもあるよ。中古レコードを見つけて買っちゃったとか。
UK縛りで選定した最新オーディオシステム
伊藤 ところで、今日聴かせてくれるオーディオシステムは、どんな趣旨で集めたの?
筑井 政則さんの核にはUKロックがあると思いましたので、レコードプレーヤー、プリメインアンプ、スピーカーを全て英国ブランドで揃えました。先程申し上げた通り、政則さんの “アナログ盤がベスト” という主張が私の原点なものですから。
最近はレコードが再評価されています。これは、フィジカルメディアに触って針を落とす行為とか、そうした実体感がモノとしての評価・満足度に結びついているのではないかと思っています。さらに、音楽に対してきちんと向き合って聴くという行為が大事なのではないでしょうか。
また最新のオーディオ機器は表現力も上がっていますから、これで当時のレコードを再生すれば、より深みのある聴き方ができるのではないか、新たな発見があるのではないかと考えました。それもあって、今日は政則さんに愛聴盤をご持参いただいた次第です。
伊藤 でも、イギリス人がみんな英国メイドのオーディオで聴いているとは限らないぜ(笑)。そもそも、このシステムで聴くのはどのジャンルがベストなの? ロックじゃないよね?
筑井 ロックを聴く人も多いと思います。昔はオーディオシステムによってクラシック向きとかジャズに合うといった言い方もされていましたが、今のシステムはそんなこともなく、ハード・ロックから流行曲まで、良い音で聴くというのが、オーディオの楽しみになっています。
特に40〜50歳代のオーディオファンの中にはハード・ロックを聴きたいという層が確実に存在しているんです。昔好きだったレコードを最新の機材で聴いてみると、こんな音が入っていたんだ!という驚きと感動があるんでしょうね。オーディオ趣味には時間の余裕も必要だし、お金もかかるかもしれないけれど、良い音で音楽を聴くというのは人生の豊かさにもつながりますよね。
伊藤 その通りだな。
御法川 1970年代には新宿のロック喫茶でDJされていましたよね。その時はどんなシステムで聴いていたんですか?
伊藤 スピーカーはJBLだったよ。
御法川 それを、フルボリュームで流していたんですか?
伊藤 もう強力。隣にいる人と話せないくらい。
御法川&筑井 やっぱり(笑)!!
伊藤 70年代初頭だからレコードが高い、家にステレオがない、来日コンサートも稀。それでも、当時の高校生や大学生は音楽を聴きたいわけ。そんな需要と供給のバランスの中でロック喫茶は生まれたんだよ。なので、ジャズ喫茶とは違って、どこのロック喫茶もフルボリュームだったよ。
オルガンが主体、ブリティッシュ・ロック幻のバンド
御法川 政則さんが70年代に渡英した際、ロンドンでアナログ盤を爆買いしたという逸話がありますよね。
伊藤 ぼくが住んでいたロンドン・ベイズウォーター近くに、60〜70年代頭ぐらいまでの中古レコードを綺麗に揃えて売っている店があったんだよ。で、店に行くのは無料だから毎日行くじゃない。
御法川 行きますよねぇ(笑)
伊藤 そのうちに店の人から「業者なのか?」と言われて、「いや、日本でDJとかやっているんだよ」と説明して、その店で相当買った。今ほど高くはなかったけれど、60年代のオリジナルアナログ盤とか。全てがハード・ロックじゃないんだ。その少し前の時代のレコードも、一枚持ってきたよ。
御法川 『SPIRIT OF JOHN MORGAN』!
伊藤 これ、今は無くなっちゃったCarnabyレコードから出たもので、貴重だよ。こんなレーベル見たこともない。オルガンが主体、ブリティッシュ・ロック幻のバンドだよ。
筑井 すごっ!ぜひ聴かせて下さい。
♪♪♪スピリット・オブ・ジョン・モーガン 『SPIRIT OF JOHN MORGAN』
伊藤 ヤバいね、これは。素晴らしい。オルガンの音が柔らかい。レコーディングされた時代っぽさが際立つね。
御法川 ジャケットにはロンドンのオリンピック・スタジオでレコーディングしたと記されています。エンジニアには、スモール・フェイセスやジミ・ヘンドリックスも手がけたジョージ・チキアンツが名を連ねている。当時のロンドンの空気が漂うのもわかるなぁ。
伊藤 ジョン・モーガンは案外有名なんだよ。成功したミュージシャンとは言えないけれど、好きな人は好き、という存在。
筑井 オルガンの音の厚みが感じられます。今日、用意したシステムにはマッチしているんじゃないでしょうか。
御法川 この音には大変感銘を受けました。60年代のレコードだからかえっていいのかな。
伊藤 そうだね。俺もこんな音で聴いたことはなかったな。
スコーピオンズの“お騒がせ”ジャケット
伊藤 次は、このレコードも聴いておいた方がいいだろうね。
御法川 スコーピオンズの『VIRGIN KILLER』のオリジナル盤!このカバーアートはヤバいです。
筑井 これは児童ポルノとして発禁になったものですね……(編注:当時の日本盤も同じカバーだった)。
伊藤 これね、ドイツ盤だよ。中古で買ったと思うけれど、昔はドイツ盤は音が良いと評判だった。
御法川 スコーピオンズが初めて来日した際、政則さんはバンドをサポートしていましたよね。
伊藤 78年だったな。
御法川 『VIRGIN KILLER』は76年発売ですね。(編注:日本発売は77年)。
伊藤 ぼくがスコーピオンズのライナーを手がけるようになったのは『TAKEN BY FORCE』(77年)からだった。
御法川 では、『VIRGIN KILLER』を聴いてみましょう。
♪♪♪スコーピオンズ『VIRGIN KILLER』
伊藤 『SPIRIT OF JOHN MORGAN』とも音が全然違う。これも素晴らしいな。スコーピオンズはこの時すでに、インターナショナルな標準以上のものを持っている。ディーター・ダークス(プロデューサー)が作る音って、何て言うのかな、クラウス・マイネのヴォーカル・エコーとか独特だもんな。
御法川 アルバムのカバーには「This record was recorded on 32-Tracks」と表記されています。ドイツ・ケルンにあるディーター・ダークスのスタジオに、最新機材を導入した直後なんでしょうね。各楽器のセパレートが鮮明になっています。
筑井 ステレオ感もかなり明瞭ですね。
伊藤 76年に32トラックは凄いことだよ。ディーター・ダークスはこの後、84〜85年にスタジオを新設して80年代の音作りに合致させるんだ。そのへんの嗅覚に優れていたんだろうな。
御法川 このシステムで聴くと、ハード・ロックとしては解像度が高すぎませんか?
筑井 確かに見通しがいいし、楽器の位置関係も明確になりますね。
伊藤 こういう形で聴いたことがなかったから、ソリッドな印象が強くなって、ヘヴィ・メタルっぽい気もする。
レコーディング時の音に近づける、ジューダス・プリースト
御法川 次はジューダス・プリーストの1stアルバム『ROCKA ROLLA』! 実は今日も政則さんがいらっしゃるまで、ジューダスの『RAM IT DOWN』をかけて機器を温めていたんです。
伊藤 『ROCKA ROLLA』は『VIRGIN KILLER』よりも2年前の発売だけど、ドイツのミュージシャンとイギリスのミュージシャンでは異なる部分もあるんじゃないかな。
♪♪♪ジューダス・プリースト『ROCKA ROLLA』
御法川 『ROCKA ROLLA』は、いかがでしたか?
伊藤 スコーピオンズと比べると、目指しているものが全然違うことがわかる。こっちは最初からヘヴィ・メタルだね。プロデューサーがロジャー・ベインだから、ブラック・サバスっぽいところがある(編注:ロジャー・ベインはブラック・サバスの初期3作を手がけた)。これもオリンピック・スタジオでのレコーディングで、さっきのジョン・モーガンと一緒。
御法川 本作のセッションは74年夏、政則さんが初めて渡英した時と被っているんですよね。
伊藤 その時はジューダス・プリーストのこと知らなかった。後で「Melody Maker」誌を見て分かったんだけれど、このレコーディング後に単独でライヴやっていた。ただし、ロンドンではなく、どこか遠いところでね。
御法川 このレコードはいつ購入したか憶えています?
伊藤 新宿レコードで買ったと思う。これね、何回再プレスされているか分からないけれど、カバーアートの王冠のサイズが違うものがあるんだよ。クレジット表記も間違えていて、このレコードには「Bob Halford」って書かれている。本当は「Rob Halford」なのに。
筑井 へえー。
伊藤 当時はアーティストとして全く期待されていなかったんだろうな。それでも、スコーピオンズとジューダス・プリーストは全く違うバンドだということが、このシステムで聴くと分かるね。
筑井 ギター・サウンドの厚みとか、コーラスの広がりとか、良いオーディオシステムで聴くと、よく見えるようになりますね。
伊藤 全然違うよね。アーティスト本人も、こういうオーディオシステムで聴いたことないだろうね。
御法川 スタジオでマスター音源を聴くのと、レコードで聴くのは別物でしょうからね。
伊藤 今日揃えてもらったシステムなら、レコーディングした時の雰囲気に近づけるかもしれないね。
“5億回” は聴いたアイアン・メイデンから新発見!
伊藤 次はこれを聴きましょう。
御法川 おぉ、来ましたね。アイアン・メイデン『PIECE OF MIND』。
伊藤 せっかくなのでイギリス盤を持ってきた。
♪♪♪アイアン・メイデン『PIECE OF MIND』
伊藤 やっぱり違うよ。
御法川 具体的にはどこが違いました?政則さんは、アイアン・メイデンをそれこそ“5億回”は聴いているでしょう(笑)
伊藤 ニコ・マクブレイン(ds)とブルース・ディッキンソン(vo)をセンターに置いて音を作っているのがよく分かった。あと、ドラムがこんなに前に出ていたかなと。
御法川 今日のシステムは、アイアン・メイデンを聴くには上品過ぎませんか(笑)
伊藤 これを上品というのかな?上品って、どういう意味?
御法川 もっと低音がふくよかで、ぶりぶり来てもいいような気がしたんですが。
伊藤 最初に『SPIRIT OF JOHN MORGAN』を聴いたけれど、あれは鮮明な音になったよね。ただし、はっきりしない部分があるのも60年代の音なんだという気もする。ビートルズみたいに音数が少ない作品は別だけど、音がいっぱい入っているボンヤリ感も60年代サウンドなんだよ。
それはさておき、このシステムは“ダーティ”じゃないんだろうね。ヘヴィ・メタルに向いているかどうか分からないけれど、スコーピオンズのサウンドがあんなにクリアだったのかって驚いた。あと、ジューダス・プリーストを聴くと、プロデューサーがロジャー・ベインだったというのもあるけれど、ジョン・モーガンからの流れ、UKロックの系譜がよく分かるね。
御法川 『PIECE OF MIND』は、バハマのコンパス・ポイント・スタジオでのセッションだったはずで、スタジオ内のカラっとした空気が見事に再現されていました。こうしたディテイルを描写する能力は本システムならではだと感じました。
伊藤 まあでも、アイアン・メイデンにしては “綺麗” に聴こえたね。
筑井 私が学生時代に聴いていたミニ・コンポの音はもっとザラザラ〜ガサガサしていたので、今日の音はどれもクリアな印象があります。現代的な意味での解像度の高さ、見通しの良さみたいなところが、このシステムの持ち味だと感じたんです。
伊藤 明らかに、現代的な音になっているよね。
筑井 昔のレコードも、現代的な音で再生されましたね。アメリカブランドのシステムだと、もう少しガツン、ドシンというサウンドになったのかもしれません。そんな風に、自分の好みに合わせて機器を選んでいくのもオーディオの楽しみですよね。
伊藤 面白い体験をさせてもらって、オーディオシステムによってレコードの音が変わることもよく分かった。しかしまぁ、ピュアオーディオは奥が深いな。さっきも言ったように時間的余裕が大事だよね。ワシャワシャした状態で聴くものじゃない(笑)。
筑井 オーディオファンとしては、意識的にレコードに向き合う時間を作ることも楽しみのひとつだと思います。
伊藤 忙しい中で音楽鑑賞に当てるということは、ある意味贅沢だろうね。
ロックファンとオーディオの世界を、もっと近づけたい
伊藤 そもそも、こういうオーディオ機器はどこで買えるの?
筑井 一般的には専門店になります。ただ、若い人には敷居が高いようですね。私は世界中の「Hard Rock Cafe」を巡るのが趣味なんですが、どこの店に行ってもフレンドリーです。お客さんも店員さんも “ハード・ロックが好き” という前提があるからでしょうが、それって素晴らしいと思います。オーディオ専門店もそうなったら嬉しいんだけれど。
伊藤 その通り!昔からオーディオ専門店や雑誌ってどことなく “ハイソ” じゃない。世界的にどうだか分からないけれど。
御法川 ロックを聴くファンとオーディオの世界がもっと近くならないかなとぼくらは考えていて。
伊藤 それにはやっぱり環境が大事だろうな。今日のシステムはビギナー用ではないよね。いくつかのシステムを通過しないと、ここには辿り着けない。そうすると、最初に手に入れたシステムを基本に、もっと良い音で聴きたいといって高みを目指すのか、それとももっと色々なアーティストのレコードを聴きたいという方向性に向くのか、というチョイスがあると思う。
御法川 政則さんは、圧倒的に後者でしたよね。
伊藤 その選択も人それぞれだろうね。実際さ、レコードも数限りなくあるから、毎日聴いても何百年かかるかわからない。
御法川 といっても、昔は同じレコードを繰り返し聴いていたじゃないですか。
筑井 以前は音楽が貴重で、渇望していたなと思います。毎日ラジオに張り付いていたし。
伊藤 そうだね。今は音楽の数が多すぎるというか、こんなバンドまで?というのも含めてたくさんのタイトルが出ている。昔はレーベルとかプロモーターが、選ばれたアーティストのレコードを出していたからね。
そもそも以前はレコーディングもスタジオでしかできなかったけど、今はPCさえあれば自宅でもできる。そういう意味で、数が増えすぎて良いものに出会いにくくなっているんだな。
御法川 確かに、そういった環境の変化もありますね。
伊藤 そんな状況でもあるけど、古いレコードも聴いてみることで、新たな発見に結びつくんじゃないかな。ある高校生がYouTubeでボブ・ディランを見てファンになったそうなんだ。今はそんな風にピンポイントで音楽を好きになるんだね。昔のファンのように体系的な流れの中で音楽を聴いて好きになったわけじゃない。そもそも、アルバム1枚を通して聴くということが、今はなかなか無いからね。アーティストも、今はそういうことを考えながら曲を作っている。
御法川 アルバム全体でひとつの作品という考え方じゃないんですね。
伊藤 最近は「全8曲」という作品も増えているんだよ。収録曲を多くしても、時間がないから聴いてもらえないんじゃないかと考えたんだろうね。時代と共に音楽のあり方も変わってきているということだね。
それに対して、オーディオがどのように時代に寄り添ってきたのかも重要だね。外部から見ると、オーディオ誌を含めて昔から変わっていないような気がするんだよな。
筑井 ……耳が痛いです。
伊藤 最初に手に入れたシステムをベースに、もっと良い音にしたいとアップグレードを目指すこと、それってギターなどの楽器にも言えるんじゃないかな。最初は日本のコピーモデルから始めたけれど、本物のフェンダーやギブソンでプレイしたいという気持ちになるのは当たり前。そこらへん、オーディオ趣味の感性と結びつくところがあると思う。
「伊藤政則のレコードを聴く会」も定期開催中!
御法川 ところで政則さんは昨年から渋谷のLOFT9にて、定期的に「伊藤政則のレコードを聴く会」を開催していますよね。あれはどういうきっかけで始まったんですか?
伊藤 サンプル盤は返却するけれど、それ以外にも7インチ盤とかたくさんあるんだよ。で、どうしようかなと元レコファンの店長の小野 勝さんに相談したら、「政則さんのレコードをみんなで聴きましょうよ」と提案してくれたんだ。「政則さんのレコードだからこそ面白いんですから」と言われて、始めることになった。
オリジナル盤とか7インチ盤を手にした時のエピソードも含めて音ですから、と。この前はフランス盤のメタリカ『Master Of Puppets』の7インチ盤をかけたんだ。このレコード、実は聴いたことなかったんだけれど、えらく編集されているのが分かったりして面白かった。
筑井 素敵ですね。ぜひ次回は私にも協力させてください。お薦めオーディオシステムのプランニングを考えます。
御法川 それはぜひ実現したい!今日のような超ハイエンド機器とはいいませんが、若い人にも興味を持ってもらえるシステムでレコードを聴いてもらえるといいですね。
伊藤 そうだね、機会があったらお願いしようかな。
筑井 本日はありがとうございました!
●今回の試聴機器
・アナログプレーヤー:LINN「MAJIK LP12 SE」
・フォノイコライザー:CHORD「Huei」
・プリメインアンプ:CHORD「Ultima Integrated」
・スピーカー:Bowers & Wilkins「802 D4」