ウーファー・台座・ネットワークをさらに改良

B&W「800 D3」は11月発売で約425万円/ペア。 “802 D3をさらに進化させた”旗艦スピーカー

公開日 2016/09/09 12:00 編集部:小澤貴信
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このウーファーの変更について、トランデューサー・エンジニアのジョージ・ウィーバー氏は紹介ビデオにて「800 D3は下位モデルを踏襲する予定でした。よって中音域や高音域ユニットは変えなかったのです。しかし低音域ユニットのサイズ変更でボイスコイルとの距離が変わったため、結果的にチューニングに変化が出ました」とコメントしていた。

軽量化しつつ共振周波数を巧みにダンプしたベース部(台座)

ベース部(台座)は、802 D3と比較しても大幅に変更された。800 D3が、802 D3と比べて質量が1.5kgしか重くなっていないのは、この台座によるところが大きいという。

800 D3の台座(右)と802 D3の台座(左)

802 D3の台座は亜鉛アルミ合金製で、約18.6kgの重さがあった。しかし800 D3では通常のアルミ合金が素材に用いられており、質量も約10.6kgとなっている。しかもアルミ合金を用いて軽量になっただけでなく、台座の全面に特定の共振周波数を打ち消すダンピング材(TMD:チューンマスダンパー)が施された。

TMDはタービンヘッドやミッドレンジにも使われているもので、台座ではさらに上から鉄板を重ねている。この鉄板・TMD・アルミというサンドイッチ構造により、単なる“ダンプ材を貼って音を殺す”というのではなく、台座の共振周波数をピンポイントでキャンセルするということが可能になったという。

クロスオーバーネットワークの音質パーツをグレードアップ

クロスオーバーネットワークのさらなる強化が実施された。具体的には、ミッドレンジの低域側フィルターに、22μF×2の大型コンデンサーを採用した。ネットワークの回路構成そのものは802 D3と基本的に同様とのこと。

800 D3のネットワーク回路(手前)と802のネットワーク回路(奧)

800 D3のネットワーク回路(手前)と802のネットワーク回路に大型コンデンサーが試用されているのが確認できる

「同じ役割を担うコンデンサーですが、大きさが全然ちがうのが一目でわかります」と、800 D3と802 D3のネットワーク回路の実物を示した澤田氏。「この部分はミッドレンジの音にかなり左右する部分ですが、これを圧倒的にハイグレードなコンデンサーに変えたのです。全てムンドルフ製ですが、これほどの高価なパーツを使えるメーカーはそうそうないと思います。」

大量生産を行えることに意味がある

発表会では、800 D3シリーズがハイエンドスピーカーとしては珍しい徹底したオートメーション設備によって開発されていることも紹介された。800 D3シリーズの製造のために、生産設備への大規模な投資も行われたという。

研究開発責任者のマルシャル・ルソー氏

ニア・プロダクト・マネージャーのアンディ・カー氏

シニア・プロダクト・マネージャーのアンディ・カー氏はこの点について、紹介されたビデオの中で「我々は可能な限り多くの人に真のサウンドを提供するために尽力します。大勢の人に本物のサウンドを体験してほしいのです。ですから私たちは年に15〜20台しか作れない特注品を製作することに興味はありません」と発言していた。

同氏はビデオの中で「他社のスピーカーと比較しても安くはないが、それだけの価値はあります。高いのは、価格よりもパフォーマンスなのです」とも述べた。

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