BS放送、なぜ大雨の日に観られなくなる? くわしく解説
夕立は風流なもので、突然の降雨に立腹するのは野暮というもの。しかし、雷雨が原因で楽しみにしていたBS放送の録画に失敗していたら...自然のことだから仕方ないとはわかっていても、なぜBSだけ?地デジは影響ないのに?いわれてみれば不思議ですよね。
雨が原因で放送波を受信できなくなる現象は「降雨減衰」といい、雲や雨粒が電波を吸収/散乱させ弱めてしまうことを指します。電波が雲や雨粒に衝突すると、水分子を振動させ熱に変換されてしまい、進行方向も乱れてしまうため、予定の範囲に届きにくくなるのです。
電波の周波数帯も大きく影響します。電波の速度は光の速度と同じだから約30万km/秒、これを放送波の周波数で割ったとき、地デジ(500MHz付近)で割ると求められる波長は約60cm。
一方のBS放送はアップリンク(放送局から送られてきた番組の信号を衛星に届けるシステム/17GHz帯を使用)が約1.8cm、ダウンリンク(衛星から地上に向け送信される信号/12GHz帯を使用)が約2.5cmと、地デジに比べ圧倒的に短くなっています。
そして電波は雨粒が多いほど、つまり雨量が大きいときほど雨粒に当たりやすくなります。
電波の波長が長い地デジは、受信レベルは低下しても映像が映らなくなるほどではありませんが、波長が雨粒に近いBS放送は20mm/h以上の強い雨になると、降雨減衰による障害が発生しやすくなるのです。
降雨減衰によるBS放送の障害は、波長が短いアップリンクのほうが発生しやすく、放送局は距離をあけて送信設備を複数設けるなどの工夫で対処しています。
一方、ダウンリンクはアップリンクに比べると降雨減衰の影響は小さいものの、雷雨や台風レベルの大雨には太刀打ちできません。これが、大雨のとき地デジは問題ないのにBSは見られなくなる理由です。






























