いつものテレビが“ひとつ上の次元”になる。ソニー「BRAVIA Theatre Bar 6」は今の時代にマッチするサウンドバーだ
昨今、Dolby Atmosなどの立体音響に対応したコンテンツが増えていて、世の中の “音に対する期待値” はぐんぐん上がっている。一方で、我々が日常的に視聴するのはテレビ放送やYouTubeなど2chステレオ音声が多いのも事実だ。
しかし配信やUHD-BDのリッチな音声に慣れてきて、普通の2chソースに対しても「もっと臨場感ある音で楽しみたい」と感じ始めているユーザーも多いのではないだろうか。
そんなニーズに真正面から応える製品として登場したのが、ソニーの「BRAVIA Theatre Bar 6」(型番:HT-B600/以下、Bar 6)。同社の “BRAVIA Theatre” シリーズに属し、別体のワイヤレスサブウーファーが付属する2ユニット構成のサウンドバーで、言うなれば「立体音響を標準にするような意欲作」なのである。その音質や使い勝手をレビューしていこう。
上位機級のユニット搭載。上向スピーカーも備えた3.1.2chサウンドバー
まずは、基本スペックをチェック。構成は上述の通り、サウンドバー部と別体サブウーファー部による2ユニット型だ。価格は税込60,500円前後で、サウンドバー市場全体で見るとミドルクラス、2ユニット型モデルとしてはエントリー〜スタンダードクラスに位置付けられるだろう。
Dolby Atmos/DTS:Xの立体音響にもばっちり対応……というだけでは今どき珍しくないが、本機はサウンドバー部に2基のイネーブルドスピーカーを搭載する。Dolby Atmosの醍醐味である上方向の音をリアルに再現するという、スタンダードクラスながらハイエンド寄りの仕様になっているのは嬉しいポイントだ。

そのスピーカーユニットは、ソニー独自の「X-Balanced Speaker Unit」。これまで「HT-A5000」など同社サウンドバーのプレミアムモデルに搭載されてきたのと同等のものが、L/Rchおよびセンターの3chとイネーブルドスピーカーの2chに採用されており、これに別体サブウーファーを加えた3.1.2ch構成となっている。最大出力は350W。HDMI出力によって同梱のHDMIケーブル1本でテレビからのARC/eARC音声を再生できるほか、光デジタル入力も備えており幅広いテレビ環境に対応する。
独自技術「サウンドフィールド機能」で2ch音声を立体化
臨場感のある音響空間を作り出すためのサウンド技術も抜かりなく、内部には独自のバーチャルサラウンド技術「S-Force PRO フロントサラウンド」と、高精度なデジタル音場処理技術「Vertical Surround Engine」を搭載している。まあ、ここまでは従来モデルでもおなじみだが、本機はこれに加えて、独自のアップミキサーによる「サウンドフィールド機能」を搭載するのが特徴だ。
これは、2chの音源をリアルタイムで立体的なサウンドに拡張する機能。付属リモコンおよび専用アプリからON/OFFできる。本機能をONにしておくと、2chや5.1chの音源も、イネーブルドスピーカーからの出力を含めた立体的な音響にアップミックスされる。
注目すべきは、このサウンドフィールド機能が標準設定でONになっていること。その上で音作りがなされている。つまり、基本サウンドがステレオイメージの製品に搭載されたオプションではなく、大前提が「すべての音声ソースをサウンドフィールド機能で立体的な音にする」というコンセプトのサウンドバーなのだ。「立体音響を標準にする挑戦的な仕様」と言っても良いかもしれない。
ちなみにこのコンセプトは、サウンドバー部のデザインにも反映されている。本機はフロント部のエッジが緩やかなカーブを描くR形状が特徴的だが、これはサウンドフィールド機能ONで「音が広がる・流れるイメージ」を視覚的に表現したものだ。
また、マットな質感の筐体は、テレビの光を反射しないメリットもあって部屋に馴染みやすい。実はスピーカーグリルの開口面もかなり計算されていて、内部のユニットが透けて見えにくいようになっている。これらの仕様により、映像視聴時にサウンドバーの存在を意識せず、映像に没入しやすいのもポイント。ただ音の臨場感を高めるだけでなく、“映像の見応え” にも配慮した作り込みに、「BRAVIA」などの映像機器も手がけるソニーならではのこだわりが見て取れる。






























