いつものテレビが“ひとつ上の次元”になる。ソニー「BRAVIA Theatre Bar 6」は今の時代にマッチするサウンドバーだ
やはりサブウーファーの効果はすごい。大迫力の低音で満足感が段違い
それではいよいよ、Bar 6の聴きごたえをレビューしていこう。まずはストレートにUHD-BDでDolby Atmos音声の映画を視聴し、サウンドバーとしての地力を確認。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『トップガン マーヴェリック』といったお馴染みのハリウッド・アクションをひと通り視聴したが、“リビングに馴染みやすいエンタメ性のある重低音サウンド” といった印象で、臨場感が抜群だ。
映画を観る上では、やはり別体サブウーファーの効果はすごい。特に爆発音やエンジン音がリアルで、床を鳴らすような低音の量感とスピード感を両立している。今どき、ワンバータイプのサウンドバーなら3万円前後でも質の高いモデルが選べるが、もう少し予算を足して別体サブウーファー付きを選ぶと、満足感が段違いになることを実感する。
加えて印象的なのは、イネーブルドスピーカーで上方向の音が再現されることの効果か、サウンドに奥行き感が生まれていること。上述の音声処理技術の賜物でもあるだろう。音全体に奥行きがある中、BGMや環境音がリッチになることで、映画への没入感が一気に高まる。
車やバイクのタイヤが地面と擦れる音の質感も生々しく、車体が駆け抜けていく軌道も伝わってくる。また、ダイアログが豊かな低音に埋もれず明瞭で、セリフが聴きやすいのも良い。単にサブウーファーが追加されただけではない、トータルでのサウンド再現能力も踏まえて考えると、本機の約6万円という価格はコスパが高いと思う。
もちろん、配信のDolby Atmosコンテンツも満喫できる。『イカゲーム2』ではヨンヒ人形がギギギと動く機械音がリアルで、銃声にもズキュン! とスピード感がある(なお元の配信音声が抑えめなのか、ボリュームを少々上げ気味にする必要はあった)。
ちなみに本機は、2020年に発売された同社のヒットモデル「HT-G700」の後継にあたる。G700も疑似立体音響には対応していたが、Bar 6ではイネーブルドスピーカーの追加と音場処理の進化により、より立体的かつ自然な広がりを実現。低音の再現性を担保しつつ馴染みが良くなったのも好印象だ。
いつものテレビコンテンツが立体音響で“ひとつ上の次元”に
では、いよいよ2ch音源を含む “いつものコンテンツ” を視聴してみよう。自宅で普段観ている放送番組やYouTubeコンテンツをBar 6で再生すると、セリフの定位は明瞭なままサウンド全体が広がって、自然とリッチな音場にアップグレードされる。2chソースでも音に奥行き感が生まれるし、サブウーファーが全体の厚みを下支えしているのも大きく、通常のステレオイメージとは異なる “ひとつ上の次元” の聴きごたえだ。

Bar 6は映画だけでなく、普通のテレビ番組や動画などでも効果を発揮
我が家で特に感動したのは、夫が毎週観ているイングランドのプロサッカー1部リーグの生配信。選手がボールを蹴った時の “ボフッ” という鈍い音がリアルに響いて、その質感まで伝わってくるようだった。ゴールが決まった時のスタジアムの歓声も、“ワァッ” とテレビの周りに濃ゆく広がっていき、臨場感が抜群。同じように、2ch音声で放送される地上波のサッカー日本代表選も楽しめそうだ。
なお、地上波の番組で印象的だったのが『絶景YOGA』。これは5.1ch音声で放送されたネイチャー系の番組なのだが、Bar 6で鳴らすと、小笠原のビーチに打ち寄せるさざ波や、ガジュマルの林の中で鳥がさえずる自然音がキレイに広がり、まさに“大自然の癒し感”があった。元が2ch音声の方がアップグレード感はわかりやすいが、質の良い5.1chソースの魅力もしっかり引き出されていることを感じた。
そしてBar 6は、YouTubeで公開されているライブ動画の視聴ともマッチする。
『YOASOBI「アイドル」(Idol) from 「YOASOBI ARENA TOUR 2023 "電光石火"」2023.6.4@さいたまスーパーアリーナ』の動画は、イントロからリズムの低域がズンズンとお腹に響いて、サブウーファーの力量を感じられる一作でオススメ。あと観客の声援が楽曲の一部になる構成なので、その声援がBar 6の表現力で立体感と広がりを持って聴こえることで、感動値が一気に上がる。
ちなみに音楽再生でいうと、本機はBluetooth音声入力にも対応しており、スマートフォンと接続すれば、Bluetoothスピーカーとして音楽再生にも活用できる。一般的な単体Bluetoothスピーカーと異なるのは、やはりサブウーファーによる厚みのある低域だ。手軽なBluetooth音楽再生でありながら、ガツンと響く存在感のある低音が味わえて、一度体験するとクセになる。
専用スマホアプリの使いやすさも特筆モノ
Bar 6は、専用アプリ「BRAVIA Connect」から、セットアップなど各種設定を簡単に行えるのも良い。UIが見やすく使いやすくて、筆者も音量調整などの操作は基本的にこのアプリから行った。サウンドフィールド機能のON/OFFや、サブウーファーの低音の量感も10段階で調整可能。2種類の音声モード(ボイスモード/ナイトモード)の切り替えもでき、コンテンツに応じてサウンドを最適化できる。


なお、ソニーのテレビ「BRAVIA」の一部対象機種との組み合わせでは、BRAVIAのクイック設定にBar 6のメニューを追加してスマートに設定を行えたり、アプリ上で一画面でテレビとサウンドバーをまとめて操作できたりもする。……と言いつつ、筆者宅では他社製テレビと組み合わせて使ったが、BRAVIA連携機能がなくとも本機の魅力は十分に堪能できたので安心されたい。BRAVIAユーザーにはプラスアルファのメリットがある、という感じだ。
みんなにオススメしたい、今の時代感覚にマッチするサウンドバー
「イネーブルドスピーカー搭載で、別体サブウーファーが付属するサウンドバー」という本機のスペックだけを見ると、これまでの感覚なら「特に映画好きにオススメ」とまとめていたところ。しかしこのBar 6に関しては、例の通り2ch音源を立体感のあるサウンドにするコンセプトもあって、「映画好きに限らず、色んな人にオススメ」と言い切りたい。
音の臨場感にこだわるのは当たり前で、いつもの2chソースにもリッチ感を求めたい、そんな今の時代の感覚にマッチするサウンドバーだ。
(協力:ソニー)
