公開日 2021/09/01 06:30

耳を塞がない、けど骨伝導じゃない。ambie完全ワイヤレスイヤホンの使い勝手は?

<山本敦のAV進化論 第204回>

軽量で防水対応。ambieの完全ワイヤレスイヤホンが活きる使い方とは

ambie TW-01はソニーの音響技術を活かした感度の高い9mm口径外磁型磁気回路搭載ダイナミック型ドライバーを搭載する。デザインも従来のambieを踏襲しつつ、左右独立型の完全ワイヤレススタイルにした。

本体はとてもコンパクト。片方のイヤホンの質量は約4.2g。ドライバーにクアルコムのSoC(QCC3040)や通話用のMEMSマイクなどを一式載せながら、見事に小型化を果たした。

外装はソフトなシリコンで覆われているので肌触りは快適だ。耳を挟み込む力も程よい。筆者は耳の皮が厚い方だが、長時間装着してみた手応えはネックバンドタイプのAM-BT01よりも疲れにくく感じる。

左側がAM-BT01の筐体。TW-01の方がわずかに大きめだが快適な装着感を実現している

本体はambieのイヤホンとして初めてIPX5防水対応とした。屋外やスポーツシーンで周囲の環境音にも注意を向けつつ安全に音楽が聴ける。

ただし耳を塞がないイヤホンなので、内蔵マイクで環境音を取り込んでモニタリングする機能を載せたイヤホン、ヘッドホンよりも環境音は多めに飛び込んでくる。だからスポーツジムやカフェのようなBGMがかかっている場所で使うと、イヤホンで再生する音楽と店内BGMが混ざり合うので違和感がある。ambieシリーズはどちらかと言えば、他の音楽がかかっていない場所で楽しむ用途に向いていると筆者は思う。

本体には通話用に感度の良いMEMSマイクを内蔵する。自宅でビデオミーティングに参加しながら使ってみたが、相手の声がとてもクリアに聞こえる。イヤーピースで耳を塞ぐ圧迫感もないので、長時間のハンズフリー通話用として真っ先に選びたくなる。ただ、やはりハンズフリー通話の場合も周囲に騒音が多い場所では会話の音声が聞き取りづらくなる場合もあった。

イヤホンに内蔵するバッテリーによる連続再生時間は約6時間。ケースによる充電を繰り返せば24時間使える。音楽再生よりもハンズフリー通話の方が消費する電力が一般的には多いため、ビデオミーティング等で連続して使う場合は合間に充電したり、またはバトンタッチできる他のワイヤレスイヤホンを用意しておけば安心だ。今回は準備が間に合わなかったため試せなかったが、イヤホンのバッテリー残量はiOS/Android対応のモバイルアプリから正確な数値が確認できるようになるという。

左側はAirPods Proの充電ケース。右側TW-01の充電ケースはイヤホンを3回までフルに充電できる

音楽再生をチェック。音漏れは大丈夫か?

ambie TW-01はambieのイヤホンとして初めて、aptXとaptX AdaptiveのコーデックによるBluetooth接続に対応している。Androidスマホに広く普及しているaptXによるリスニング環境をリファレンスにするため、Google Pixel 5a (5G)をプレーヤーにしてApple Musicで配信されている楽曲を聴いた。

aptX接続に対応するGoogle Pixel 5a (5G)で試聴した

ambieのイヤホンの中でTW-01は初めてaptX Adaptive/aptXのコーデックによるリスニングが楽しめ

ピアニストの上原ひろみによる初の弦楽四重奏との共演作、『Silver Lining Suite』から先行配信されている「リベラ・デル・ドゥエロ」では、ピアノとストリングスによる迫力あふれる掛けあいのエネルギーがしっかりと伝わってくる。“フル開放型” のイヤホンなのに、メロディやベースラインが空中に散華してしまうことなく、肉厚な音が鼓膜を心地よく刺激する。音像に立体感があり、音色も鮮やかだ。

室内でリスニングを楽しむなら、Google Pixelの音量は60%ぐらいの出力で十分に心地よく聴けた。だが屋外で使う場合は考え方を大きく変える必要がある。ボリュームをフルに上げれば音楽の概略をつかむことはできるものの、やはり耳栓タイプのカナル型イヤホンにはかなわないからだ。

しかし電車の中、カフェなど公共の場所で音量を上げすぎてしまうと “音漏れ” による迷惑をかけてしまう。屋外では自分だけがBGMに包まれる程度に音量を控えめにしつつも、本機の特徴を活かす使い方ができれば、唯一無二のイヤホンが手放せなくなるだろう。

また屋外でハンズフリー通話に使う場合も、少し勝手が変わってくる。周囲の環境音に注意を向けつつも、イヤホンを通して人の声はある程度ボリュームを上げてクリアに聞ける。耳を塞ぐカナルタイプのイヤホンよりも高い安全性が確保できそうだ。ただし通話音声もまた音漏れするので、周囲に迷惑を掛けない使い方を心がけたい。

ambieシリーズや骨伝導技術を採用するイヤホンは、ともに開放型であることに由来する独特の音楽リスニング体験を特徴としている。今後はイベントや展示の音声ガイド、または体を動かすアトラクションにも音による豊かな情報とエンターテインメント性を付与する「音のMixed Reality体験」に用途が発展しそうだ。まずはambie TW-01を体験しつつその豊かな可能性を感じてみてほしい。

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