公開日 2019/03/26 13:31

第2世代「AirPods」速攻レビュー。使い勝手は、音はどう進化したのか?

H1チップの効果は絶大
編集部:風間雄介
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H1チップの効果は予想以上

続いては「H1」チップを搭載したことによる恩恵について確認していこう。これまでのAirPodsには「W1」チップが搭載されていたが、これを刷新。これによってデバイスとのワイヤレス接続がさらに高速化し、安定したという。

またデバイスの切換は最大2倍高速、電話の通話への接続は1.5倍高速になったとのこと。上記の、声によるSiri起動を実現できたのも、このH1チップを搭載したからとアップルでは説明している。さらにはゲームのレイテンシーを最大30%低減することにも効果を発揮しているのだという。恐らくこのH1チップは、今後Beatsブランドのイヤホン・ヘッドホンにも搭載されていくはずだ。

さて、H1チップで可能になったことを、一つ一つ調べていってみよう。まずはデバイスとの接続の高速化について。これは非常に高速化した。これまでのAirPodsは、耳に入れて1-2秒後に「ポン」と音が鳴り、接続されたことがわかる状態だったが、新モデルでは耳に入れたら即座に「ポン」と音が鳴るイメージ。これまでもあまり遅いとは感じなかったが、この接続がさらに高速化し、ストレスが軽減した。

すぐにペアリングできるのはH1チップの恩恵だ

接続の安定性も強化されたということだが、AirPodsは初代モデルでもかなり安定性が高く、音切れがほとんど起きない。今回の短時間のテストでは、安定性の高さを実感できる場面はなかった。

続いてはデバイスの切り替えだ。これは非常に大きな差がついた。まずは第1世代のAirPodsからテスト。iPhone Xと接続した状態で、iPad Proにつなぎ直す。すると、8秒から10秒程度してから「ポン」という音で接続が切り替わったことがわかる。かなり待たされる印象だ。

次に第2世代の新AirPodsだ。同じようにiPhoneからiPad、iPadからiPhoneへの切り替えを行うと、それぞれ2秒から3秒程度で切り替わる。すぐにデバイスを切り替えられるので、記者のように多数のiOSデバイスやMacを使う身にはとてもありがたい。

H1チップの効果として、ほかにレイテンシーが低減したこともあるが、これは別記事で紹介したい。

音質の向上は明らか

さて、最後は音質のチェックだ。これがかなり向上していたので驚いた。なお、音源に使用したのはApple Musicからのストリーミング音声で、AACを聴いていることになる。

装着イメージ。こちらは旧モデル

こちらは新モデル。外観で「おれ、新モデル着けてるぜ」とドヤれないのは少し寂しい

まず、新AirPodsは音量が大きい。同じボリューム位置で新旧AirPodsを比べると、新AirPodsの方が明らかに音が大きく感じられる。そのパワーの上昇が、全体の音づくりにも余裕をもたらしている。

まずはクイーン「ボヘミアン・ラプソディ」を聴く。旧AirPodsも聴き慣れた音でバランスが良いのだが、新AirPodsでは冒頭のコーラスワークからして、より厚く、表現力の高さが一瞬でわかる。その後のフレディー・マーキュリーのボーカルも、発声したあとに残る息まで感じられるほど、分解能が高い。これを聴いてからだと、旧AirPodsの音が平板に聞こえてしまう。

続いてSuchmosの「WATER」。まるで後期ビートルズのように、様々な音がごった煮になった複雑な構成の楽曲だが、これも出だしの音を一瞬聴いただけで、新AirPodsのサウンドがまったく別物に進化したことがよくわかった。イントロ部、時計の秒針が動くカタカタとした音がよりクリアに聞こえるほか、低音もよりリッチになる。中低域の厚み、表現力も勝り、なおかつ高域もクリアになり、ほぐれも良好。全方位に進化した印象だ。

ほかにもいくつかの楽曲で確かめたが、印象は変わらなかった。新AirPodsの音は、非常に良くなったと言えるだろう。一方で、この記事の最初の方に書いたように、AirPodsは遮音性があまりよくないので、せっかくの音の進化も、うるさい電車の中などではあまり活きない可能性が高い。このあたりは今後、別の記事などでじっくりと検証していきたい。



個人的に、はじめは「見た目が変わらないのか」などと、発表の際にはあまりテンションが上がらなかった新AirPodsだが、いざ使ってみると、かなりの進化ぶりに驚かされた。毎日頻繁に使うものだけに、ちょっとした使い勝手の進化が、予想以上に生活を楽にしてくれる。特に音質の進化は予想以上だった。

正直、ワイヤレス充電はそれほど必要ないような気もするが、これは生活スタイルと好みによって選べば良いだろう。H1チップの恩恵は大きく、価格が1,000円上がったのも頷ける。AirPodsが欲しかったという方は、この機会に買って間違いないと断言できる。一方、すでにAirPodsを持っている人が買い換えるべきかというと、そこまでの進化ではない気がするが、このあたりは今後、じっくり使ってから、改めて別記事で感想を述べていくことにしたい。

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