エソテリックのネットワークプレーヤーがさらに進化。「N-05XE」最新のディスクリートDACによる鮮度高い音を聴く
エソテリックの「N-05XE」は、N-05XDの後継機となるネットワークDACプリアンプ。“最小のシステム構成で、最高の音質をお届けする”ことを目標に、フラグシップモデル「Grandioso N1」の開発成果を投入した最新のディスクリートDACを搭載。その成果を聴いてみよう。
多機能でシンプルなシステム構成の要となる
近年はIT、AI技術の進化により、オーディオシステムのシンプル化が進んでいる。その一つがセパレート型アンプシステムである。とりわけ、ハイレゾ・ストリーミングが日本でも実現したことにより、大がかりなセパレートシステムのシンプル化をもたらしている。
それを実現するのが、多機能ネットワーク対応DAC/プリアンプである。従来のCD再生やレコード再生にも対応し、ハイレゾやストリーミングも楽しめる。さらにヘッドホンも、である。こうした機能を求める愛好家は世界的にも増えている。DACとして独立できることも大切な要素である。
その傾向を早々に捉えたブランドが、エソテリックだ。その同社は、さらに技術進化を遂げたネットワークDACプリアンプ「N-05XE」を登場させた。
そのデザインは、コーナーにラウンドカーブを湛えたスタイリッシュな姿が魅力的で、右の大型ノブがプリアンプを思わせる。
機能としては、RCA入力と電流伝送のES-LINK Analog対応に対応のXLRライン入力(新装備)を各1系統、プリ出力として、RCAとXLR出力も各1系統装備。XLRのES-LINK出力も別装備する。デジタル入力としては、同軸/光、XLR、USB、Bluetoothを装備し、インターネットポートとして、LAN(RJ-45)、伝送ノイズを遮断する光ネットワーク接続などに対応するSFPポート、そしてUSBストレージ用USB端子を装備する。さらに最新の高品位ヘッドホンアンプも搭載。
こうした機能は、スタジオのデジタル・マスタリング・コンソールをコンパクトにまとめ上げた機能と言える。とりわけ、LAN、SFPポートからの信号は、大容量RAMとパワフルなCPUを採用した第4世代の最新エソテリック・ネットワーク・エンジンで高速処理され、その他のデジタル入力とともに、USB Audio I/F経由で後段に伝送される仕組みである。
注目すべきは、こうした制御のために、オーディオ回路とは分離したネットワーク専用大容量リニア電源を搭載していることである。
ここで処理された信号は、Master Sound Discrete DACでD/A変換される。このDACは、FPGAがマルチレベルΔΣ変調器となり、後段の1chあたり、16エレメントを使ったDACでアナログ変換される(1エレメントは、抵抗、コンデンサー、クロックデバイスなどで構成)。
本機は、フラグシップのGrandioso N1の技術でブラッシュアップされた第2世代DACが搭載されており、前述の抵抗エレメントをON/OFFする回路をシンプル化した。その高速動作を行うIC近傍にコンデンサーを追加し、電流供給能力を高め、ノイズも低減。音の鮮度を向上させている。
また、変換精度と音質に影響する抵抗にメルフ(MELF)抵抗を採用し、ダイナミックレンジの広い、生々しい音質やエレガントさを引き立てる弱音の再現性に大きく貢献している。
左右、正負を独立させた合計8回路の音量調整器
デジタル伝送で大切なクロック回路には、「Master Sound Discrete Clock For Digital Player」を搭載し、外部10MHzマスタークロックジェネレーターにも同期でき、さらなる高音質化を可能にした。
本機のコアとなるアナログ回路は、デュアルモノ・デュアルバランス・プリアンプである。左右、正負を独立させた合計8回路の音量調整器も、同様にデュアルモノ・デュアルバランス構成。
ライン入力の場合はデジタル回路を通過せず、ダイレクトに音量調整器に接続し、増幅される仕組みである。ヘッドホンアンプは、この回路が並列駆動するから、実に高品位でドライブ力が高い。
もちろん、アナログ出力回路は、電流強化型バッファー、Esoteric-HCLDを搭載し、電流伝送のES-LINK Analogにも対応している。これらを支える電源部も実に高品位である。
音の鮮度が高く、微小な音や空気感が鮮明
その音質は、一聴しただけでもハイエンドという感覚である。大きな特徴と魅力は、DACとアナログ増幅回路が直結されているために音の鮮度が高く、高解像度ワイドレンジ特性であることである。しかも微小な音や空気感を鮮明にし、デュアル・モノラル構成により、空間描写性も高い。音源に内包するステージを最大限に再現し、ヴォーカル曲では、歌い手を音場に浮き上がってくる。
Qobuzで愛聴するトルド・グスタフセンの『What Was Said』では、女性ヴォーカルにゾクゾクするほど、絶妙なヴォイスが聴け、ピアノやドラムスの響きの透明度にも感激した。美しい音場である。
極太のベースが登場するパトリシア・バーバーの『Clique!』では、濃厚なヴォイスが再現され、力強いベース、光沢感のあるピアノ、生々しい打音のドラムスにスピード感が加わり、アナログテイストの濃厚な音が聴ける。
パワーアンプを完全支配し、スピーカーのポテンシャルを引き出している印象も受け、システム全体の支配力も大きいことも理解できた。
多くの愛好家に、ぜひ一度、試聴して欲しいと思うところである。
(提供:ティアック)
※本記事は『季刊・オーディオアクセサリー 200号』からの転載です。
