公開日 2018/05/24 18:11

iFi audioも対応で盛り上がるMQA、その再生のための基礎を徹底解説

「デコーダー/レンダラー」の詳細を解説

■iFi audioのMQA再生に必要なシステム

ここまでは予備知識としてMQAの一般的な話をしてきたが、ここからは具体的にiFi audioのMQA対応を具体的にどう使いこなしていくかを説明していく。

iFi audioにおけるMQA対応は、新製品のxDSDの新機能というにとどまらず、現行製品もアップデートによってMQA対応が可能だ。

iFi audioのポータブルDAC内蔵アンプのシリーズは、全てUSB入出力制御にXMOSを採用している。iFi audioのMQA対応は、XMOS内部のソフトウェアによって行われるため、ラインナップの上下、新旧を問わずにMQA対応が可能となる。XMOSは小型のコンピューターのようなICで、ソフトウェアの書き換えによって動作を変更できる。iFi audioはいち早く高レートのDSDネイティブ再生を可能にするなど、XMOSのソフトウェア制御に長けた会社であり、それがMQA対応でも発揮されているのだ。

まずファームウェアのアップデートをする。それぞれ機種ごとに対応ページがある。
例えばmicro iDSD BLであれば、下記であり、
http://www.ifi-audio.jp/micro-idsd-ifi-xmos-firmware.html
nano iDSDならば下記ページだ。
http:// http://www.ifi-audio.jp/nano-idsd-bl-xmos-firmware.html

xDSDは当初からMQA対応ファームウェアを搭載しているので、アップデートの必要はない。なんらかの理由で再インストールしたい場合には下記のアドレスから取得する。
http://www.ifi-audio.jp/xdsd-firmware.html

今回使用したiFi audioの機器は以下の3機種だ。いずれもMQAレンダラーでMQA対応している。

xDSD

iFi audio「xDSD」(MQAレンダラー)/¥54,000(税別) ※撮影:佐々木喜洋

xDSDはiFi audioポータブルアンプの最新機種だ。その斬新なデザインが目新しく感じられるが、中身も大きく進化している。xDSDはデジタル入力のみのDAC内蔵ポータブルアンプで、コンパクトでスタイリッシュなボディの中にこれまでのiFi audio技術のほぼ全てが詰め込まれて、かつ進化しているのは驚異的ですらある。新機能も多数追加され、aptX対応のBluetoothをも搭載してポケットに入れてスマートフォンから手軽に使うことができる。多色LEDを多用して操作性も向上している点も見逃せない。

進化は隠れたところにもある。ボリュームは今回からデジタルエンコーダー方式を採用。これは左右のボリューム誤差が少なくなるだけではない。xDSDでは従来のiE matchやecoなどパワーモードがなくなったように見えるが、実のところこれらはCyberDriveとして統合されている。CyberDriveはデジタル化されたボリュームとプロセッサが連動して最適な出力と電力消費を扱う機能であり、iE matchやパワーモードを統合することができたのだ。xDSDは基本的にはいままでのecoモードにあり、ボリュームが大きくなれば必要なパワーモードに移行するわけだ。

これにより、小型化された筺体にたくさんのスイッチを付ける必要がなくなり、電池持ちの良い小型でかつ高機能なアンプが実現できたのだ。これもデジタル回路のみならず、ソフトウェアも含めたiFi audioの高い総合的な技術力の高さが可能にした驚異的なアンプがxDSDと言える。

micro iDSD Black Label

iFi audio「micro iDSD Black Label」(MQAレンダラー)/¥69,000(税別)※撮影:佐々木喜洋

Black Labelは、いままでのmicro iDSDをチューンアップしたバージョンだ。アナログアンプ回路や電源などが改良されている。またオペアンプにiFi audio特注品を採用し、コンデンサーや抵抗なども高品質パーツに変更している。ひとグレード上の高音質版と言える。

micro iDSD Black Labelは、先のアップデートで最新のファームウェアにすることでMQAレンダラーとしてMQA対応ができる。この場合、MQAを受けている時はLEDがイエローを示す。

nano iDSD LE

iFi audio「nano iDSD LE」(MQAレンダラー)/¥16,000(税別)※撮影:佐々木喜洋

DAC内蔵のポータブルアンプとしてコンパクトで低価格、かつスマートフォン対応などモバイルでの相性が良いということで人気の機種であるnano iDSDからS/PDIFデジタル出力を取ることにより、さらに低価格にしたバージョンがこのnano iDSD LEだ。2万円を切る低価格だが、これでもMQA対応を果たしている。

ちなみにこのファームウェア更新を適用すれば、nano iDSD LEでもASIOドライバーを使うことでDSD256まで再生が可能となる。


M2TECH「YOUNG MKIII」(MQAデコーダー)/¥180,000(税別)

また、MQAフルデコーダーの例としてM2TECHのDAコンバーター、YOUNG MK IIIを合わせて使用した。

次ページソフトウェアとの組み合わせで使う「レンダラー」

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