公開日 2018/01/15 11:49

スマートスピーカーは音質で選ぶ! オーディオメーカーの本格派4モデルを聴き比べる

<山本敦のAV進化論 第151回>


ソニー「LF-S50G」

ソニー「LF-S50G」

ソニー初のスマートスピーカー「LF-S50G」はGoogleアシスタントを採用した(関連ニュース)。円柱型で丸みを帯びたデザインで、サイズもほかのモデルに比べるとやや小さめなので、置き場所を色々とアレンジしやすそうだ。

正面にデジタルクロックが常時表示されるので、「OKグーグル、いま何時?」とわざわざ聞かなくてもひと目で時間がわかる。本体はIPX3相当の生活防水対応。スピーカーグリルを取り外して丸洗いもできるので、キッチンでもためらいなく活用できる。スマホとのペアリングはNFC対応でワンタッチ。

スピーカーグリルは取り外して洗うこともできる

天面に搭載するコントローラーは、直に触れなくても指先や手のひらの動きを検知して反応するジェスチャー操作対応。円を描くようにくるくると指先を動かせばボリュームがアップダウンする。未来感いっぱいのインターフェースだ。周囲がざわついていたり、キッチンなど生活音に由来するノイズの多い場所に置くと、自動的に再生中のコンテンツの音量を聞きやすくしてくれる機能もアップデートで追加を予定している。

音質は「360度サウンド」が魅力であり、本機の個性を引き立たせている。キャビネット内部には、上から下に音の出口を向けたウーファーと、下から上に音を放つフルレンジスピーカーを対向配置させ、間にディフューザーをサンドイッチにしている。すべての帯域の音をバランス良く360度方向に広げるデザインにバスレフダクトを加えて、タイトで力強い低音再生も合わせて実現する。

360度サウンドを実現するためのユニット配置

サウンドも個性的だ。圧倒的な抜けのよさと空間の広がりが描ける。低音もクリアで切れ味に富んでいる。オーケストラの演奏を聴くとスケールの大きさに息を呑む。アリス=紗良・オットのピアノは粒立ちが鮮明で、ふんわりと広がる余韻のきめ細かな階調感は聴き応え十分。散漫になりがちな360度スピーカーの典型的な音像定位とは無縁の、精緻なフォーカス感と鮮やかな音の存在感を描き出せるところが本機の醍醐味だ。

また低域のスケールもサイズを超えた再現性だ。マーカス・ミラーの『Afrodeezia』から「Hylife」では、切れ味鋭いベースでメロディラインの立体感が際立っている。パーカッションの弾力や躍動感にも富んでいる。打楽器の打ち込みは深くて厚い。トランペットの高音も爽やかに突き抜ける。クールな音色が管楽器との相性のよさに表れた。

CHEMISTRYの楽曲は透明感あふれるボーカルが綺麗にハモる。繊細に移ろい変わる声のニュアンスに対する追従精度が高い。高音の伸びも限界を感じさせないほど突きぬける。質感もしっとりとしていて艶やかだ。ボーカルものの楽曲をよく聴く方は特に注目してほしいスピーカーだ。

JBL「LINK20」

JBL「LINK20」

JBLはGoogleアシスタントを搭載する3種類のスマートスピーカーを一気に発表した(関連ニュース)。そのうちバッテリー内蔵のポータブルスピーカー「LINK 20」と「LINK 10」から日本に導入される格好だ。ともに円柱形のキャビネットにフルレンジのスピーカーを2基積んでいる。本体を縦に置いて使うのが標準的なスタイルだ。

LINK 20とLINK 10の違いは、内蔵するデジタルアンプの出力値とバッテリーの容量。ACアダプターを常時接続しなくてもバッテリー駆動できるのが両モデルの大きな特徴だが、その駆動時間はLINK 20が約10時間、LINK 10が5時間と、LINK 20の方が約2倍となっている。本体はIPX7相当の防水仕様なので、キッチンなどでの水場に限らず、お風呂で楽しめるスマートスピーカーとしても今のところ唯一の存在だ。

バッテリー駆動によるポータブル使用、IPX7の防水性能を特徴とする

まっすぐで力強い音が本機の特徴だ。東京スカパラダイスオーケストラの楽曲を再生するとサイズを超えたエネルギッシュなサウンドがほとばしる。高さ方向へ中高域の伸びが鮮やかで切れ味も鋭い。360度スピーカーではないが、音場の広がりも豊かだ。

アリス=紗良・オットのピアノはアタックの立ち上がりが俊敏で音像をシャープに描く。メロディの鮮度の高さに自然と惹きつけられてしまった。デザインからして重低音スピーカーのようなイメージを勝手に抱いていたのだが、見かけによらず低音は量感よりも正確さとスピード感を特徴としているように感じられた。重心は低く、高さ方向へ伸びやかに広がる中高域とともに広々とした空間を描き出した。

◇ ◇ ◇


今回4機種のスマートスピーカーを集めて聴き比べてみたが、それぞれに音のキャラクターや製品を特徴付ける機能の違いが明らかに表れた。Amazon EchoシリーズとGoogle Homeを聴き比べただけでも、音の違いに気がついたという方も多くいると思う。

便利なAIアシスタントまわりの機能を一通り楽しんだあとは、ぜひスマートスピーカーの音質にも目を向けてほしい。オーディオメーカーの本格派スマートスピーカーは、どれもが驚くほどに高いコストパフォーマンスを実現していることに気がつくはずだ。

(山本 敦)

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