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公開日 2017/11/07 10:45

「iPhone X」VS「Galaxy Note 8」、最新有機ELスマホの画質の違いを見比べる

<山本敦のAV進化論 第148回>
山本 敦
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動画を比較する

動画はiPhone XとGalaxy Note 8の両方でモバイルHDRコンテンツを視聴できるNetflixから、美しい自然の映像を堪能できる良作『チェイジング・コーラル ー消えゆくサンゴ礁ー』をチェックした。

まず気づくことは、画づくりの違いが大きく現れていることだ。並べて比較すると、左側のiPhoneは海の青色など、全体に色乗りはあっさり傾向。Galaxyの方は全体的に色が濃く赤味も強い。ハイライトのピーク輝度が少し高いiPhoneの方が、人物の肌など透明な抜け感が心地よく再現される。一方でGalaxyは輝度バランスをうまくコントロールしており、映像を長く鑑賞すればするほど、目が疲れにくいと感じる。

写真左がiPhone X、右がGalaxy

Galaxy Note 8、iPhone Xともに、拡大せずに通常表示で視聴する場合は、画面左右に黒い帯が表示される。LGは今年2月に開催されたMWC 2017のプレスカンファレンスで、画面のアスペクト比が18対9のスマホ「LG G6」を発表した。その際、その画面の優位性を「フルビジョンディスプレイ」と名前を付けて、今後アマゾン プライム・ビデオで配信される映画やドラマ、Google Playストアに並ぶゲームコンテンツなどに、18対9画面に最適化されたコンテンツが増えていくだろうとアピールしていた。同じくアスペクト比が約2対1のiPhone XやGalaxy Note 8などの端末が増えてくれば、今後拡大表示せずに全画面表示して視聴できるコンテンツも充実してくるのではないだろうか。

ウェブページを見比べる

ふたつの端末のディスプレイを最大輝度にし、ウェブページを見比べてみた。ふたつの端末で白の色合いが異なっており、iPhone Xの方は純白に近いスノーホワイト、Galaxy Note 8は少し黄色味がかったオフホワイトに見える。文字の精細感には差がないが、やはりしばらくの間画面を見つめていると、どちらかと言えばGalaxyの方が疲れを感じにくいように感じられた。

ふたつの端末でWebページを表示。iPhoneはTrue Toneをオフに、Galaxyは画質モードを標準にしている。写真からはわかりづらいかもしれないが、iPhoneは画面を最大輝度にしたときの明るさがやや強い

Galaxy Note 8の画質モードを標準に設定すると色合いが暖色よりになる

ただ、iPhone Xは周辺環境の明るさなどの条件に応じてディスプレイの表示を自動調整する「Ture Tone」機能をオンにすると、印象がまったく変わる。環境光によるが、テスト時の照明では白が穏やかなトーンになり、画面を見つめていても目への負担がグンと軽減される。

iPhone XのTrue Toneを切り替えた場合の違い。温かみが加わるTure Toneオンの状態の方が目が疲れない感じがする

対するGalaxy Note 8の場合、これが反対の方向になる。ディスプレイ設定の「画面モード」から「表示を最適化」を選ぶと、画面の青味が強くなるのだ。白色の色合いははっきりとブルー/シアン寄りに振られる。ウェブページや電子書籍はパリッと引き締まった感じに見えるところもあるが、今度はGalaxyの方が、長時間画面を見つめていると目の疲れを感じてきた。

モードを「表示を最適化」に変えると青味が強くなるが、カラーバランスは任意で設定可能。RGBのバランスも細かく調整できる

ただ、Galaxyの場合はこの表示最適化モードから、さらに画面のカラーバランスを「暖色」「寒色」に振って好みに合わせた調節ができるほか、拡張オプションとしてRGBのバランスまでカスタマイズできるので、ユーザーが最も心地よく感じる画面表示に整えられるのが頼もしい。ナチュラルな暖色系のバランスにプリセットした「AMOLEDシネマ」「AMOLEDフォト」も用意する。そしてiPhone、Galaxyともに、タイマー設定も可能なブルーライトフィルターモードが搭載されている。

それぞれの端末のディスプレイまわりの設定機能。Galaxyの方がユーザーに画づくり設定項目を多く開放している

Galaxy Note 8に搭載されているもう一つのユニークな機能が、SDR画質のコンテンツにHDR画質風のエフェクトを加え、より明るく鮮明な色合いに見せる「ビデオエンハンサー」だ。Galaxyシリーズの中で現在HDR表示に対応する端末は、日本国内で発売されているものではGalaxy S7 edgeとGalaxy S8/S8+にNote8ということになるが、S8シリーズから搭載が始まったビデオエンハンサーをオンにすると、明部・暗部のコントラスト感が強調され、色合いも鮮やかに立ってくる。NetflixなどのVODサービスで実写の旧作映画などを楽しむ時には効果的と感じた。

Galaxy Note 8はSDR画質の映像をHDRっぽく見せる「ビデオエンハンサー」を搭載する

有機ELディスプレイはハイエンドスマホの主流になるか

今回はほぼ同時期に発売されたiPhone XとGalaxy Note 8の直接比較を行って、それぞれの素の画質には小さくない違いがあることがよくわかった。iPhone Xの場合は基本的にTrue Tone機能をオンにして使うことが推奨されているし、Galaxy Note 8はモード選択の初期値が「表示を最適化」になっていることから、ユーザーがある程度のカスタマイズを加えることが前提になっているのかもしれない。それぞれの端末メーカーの画づくりに対する考え方が、こんなところにも透けて見えてくるのが興味深い。

最後に、液晶ディスプレイのiPhone 8とも比べてみた。最新端末ということもあってiPhone 8の画質も非常に完成度が高いのだが、細かい文字がより繊細に表示できるところなど、有機ELディスプレイを搭載するフラグシップのiPhone Xに確かなアドバンテージが感じられた。この差を実感すると、今後のハイエンドスマホには必然的に有機ELディスプレイの採用が広がっていくような気がしてくる。

一方で、iPhone Xは画面を左右方向に傾けると、正面から見た時と画面の色がシフトして見えることが気になったが、アップルのサイトにもOLED自体の特性であると説明が記載されている。さらにiPhone Xの「Super Retina HDディスプレイ」(アップルが付けた名称)は、OLEDの弱点とされている焼き付きも可能な限り低減されているというが、こちらについては長期間使い、わかったことがあればまた報告したい。

iPhone Xの画面を傾けてみると、設定をいじっていないのに色合いが変化する

iPhone X、Galaxy Note 8ともに、全画面表示やHDR対応など、画期的なチャレンジを盛り込んだスマートフォンである。ここから映像エンターテインメントの進化が加速することに期待したい。

(山本 敦)

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