公開日 2012/11/16 10:46

Bluetoothで高音質伝送、「apt-X」をMacで使う裏ワザ

■apt-X対応製品が登場した背景

ひとくちに「ワイヤレス」といっても種類はいろいろ、「Wi-Fi」やIEEE 802.xなど下位の物理レイヤーを指すこともあれば、AirPlayやDLNAのように上位の論理レイヤーを指すこともある。しかし、近ごろポータブルオーディオで「ワイヤレス」といえば、高確率でBluetoothを指す。Bluetoothに対応したスマートフォンの急増に応じて市場は変化し、イヤフォンやヘッドセットにとどまらず、Bluetoothデバイスに必須のヒモ付け作業(ペアリング)をワンタッチで行うスピーカーが登場するなど、いまや対応製品が目白押しだ。

そのBluetoothを経由し、イヤフォンや小型スピーカーでHi-Fi音声を出力する場合には、「A2DP」という取り決め(プロファイル)に準拠した製品を使う。逆にいえば、Bluetooth/A2DPに準拠した製品であれば、オーディオ機器とPCなど、ジャンルが異なる製品同士でもワイヤレスでつなぎ、音楽を聴くことができる。

そのA2DPでは、音声は「(オーディオ)コーデック」と呼ばれるソフトウェアにより圧縮されたうえで転送される。A2DPで許される転送幅の上限は512kbpsと狭く、無圧縮のまま転送するには非効率だからだ。しかし勝手にコーデックを用意されては互換性を保てないため、業界団体のBluetooth SIGでは必須コーデックとして「SBC(SubBand Codec)」を定義、A2DP対応デバイス間であれば必ず接続できるよう配慮した。

しかし、SBCは他のコーデックに比べ圧縮効率で見劣りする。そこでA2DPには、より効率に優れるMP3やATRAC、AACをオプションとして用意することで、Hi-Fiオーディオに対する需要に応えた。今回の主題である「apt-X」も、A2DPで利用可能なコーデックのひとつという位置付けだ。

optionキーを押しながらメニューバー上のBluetoothボタンをクリックし、A2DPデバイスの情報を表示すると、使用しているコーデックがわかる

■apt-XがSBCより有利な理由

前述したとおり、A2DPではSBCが必須コーデックとされているが、他のコーデックに対応するかどうかはBluetoothデバイス(あるいはBluetoothチップ)のメーカー次第だ。実際、SBCのみ対応するデバイスは少なからず存在する。複数のコーデックに対応すれば製品設計は複雑になり、コスト増加要因にもつながるためだ。そして音の出力源(PCやスマートフォン)と入力先(イヤフォンやスピーカー)の両方が、同じコーデックに対応しなければならない。

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