公開日 2025/02/20 10:17

ヨドバシAkibaのテレビ売り場に“超”大型サイズがズラリ。115V型を筆頭に70V型以上が47台

テレビとの同時購入が3割を占める2つの相棒に注力
編集部・竹内 純
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■売れ筋メインは65V型、Mini LEDが有機ELを上回る



大型家電量販店のテレビコーナーへ足を運ぶと、そこで目を奪われるのが画面サイズのさらなる大型化だ。ヨドバシカメラの旗艦店「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」(東京都千代田区)では、実に70V型以上のテレビ47台が展示されている。そのうち80V型以上が21台、115V型を筆頭にした100V型クラスも4台あり、まさに目を丸くする光景が広がっている。

100V型クラスが3台並ぶ様はまさに壮観。左からレグザ「110Z990R」、LGエレクトロニクス「OLED97M3PJA」、TCL「115X955MAX」


1台1台が存在感を放つ70V型以上のテレビの展示は実に47台を数える

そんな超大型サイズが実際にどれくらい売れているのか。さすがに “飛ぶように” とはいかないが、同店副店長・太田雄介氏は「商品知識の深さや接客対応力などから、『この人から買いたい』とお客様からご信頼をいただいており、富裕層のお客様が多いこともあり、実売も堅調に推移しています」と話す。

(株)ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba 副店長・太田雄介氏

なかには100V型を購入したものの、マンションのエレベータに収まらなかったために止む無く搬入を断念。ひと回り小さなサイズに選び替えた例もあるという。「地方に比べると、都内では特にマンションでこうしたケースが少なくありません。搬入見積もりには特に気を配っています」。

エスカレータとエレベータの乗り場に囲まれたスペースに、背中合わせで計4台のビッグサイズが林立。お客様も思わず足を止め、引き寄せられる。左がTCL「98C655」、右がLGエレクトロニクス「OLED88Z3PJA」


背中合わせに配置された左がTCL「98X955」、右がハイセンス「100U7N」

売れ筋のボリュームゾーンは、かつての55V型から65V型へと移行。販売台数の3〜4割を占め、画面サイズ別の展示台数でも最多の40台となる(※2月上旬取材時。以下同)。タイプ別にはMini LEDと有機ELを合わせると6割を超え、大画面化・高精細化が加速。なお、Mini LEDと有機ELの販売台数の比較では、メーカーがより力を入れてきていることなどを背景にMini LEDが伸長し、約1年前より有機ELを上回っている。

ズラリと並んだ65V型の展示は40台。55V型の36台を上回り、サイズ別では最多の台数となる


かつての主役サイズだった55V型や50V型は、一部65V型を交えて上下2段で展示

昨年のテレビ市場の動向は、「販売台数では前年をやや下回っているものの、金額ベースでは伸長しています」と高付加価値化が大きく寄与。ヨドバシカメラ全店で同様な傾向が見受けられるという。

一時、テレビ離れが指摘された若年層について伺うと、「テレビは必要ないという方ももちろんいらっしゃいますが、動画配信サービスの視聴を動機に購入される例も数多く見られます。まだテレビの映像美や大画面の臨場感を未体験の人にお気づきいただくのも大切なこと」と訴える。

春の新生活需要のテレビと言えば中小型サイズをイメージするが、「PCやスマホではなく、テレビを選択するわけですから、55V型でも10万円前後からと価格も安くなっていますし、大型のテレビを選択するケースも決して珍しくありません」とここにも大型化の波が押し寄せている。

■レコーダーに代わる2つの必須アイテム。テレビとの同時購入はいずれも約3割



テレビ販売においては、お客様の購入目的、予算、設置する部屋に適したサイズ、有機EL/Mini LED/液晶の画質比較、どんなジャンルのコンテンツを主に楽しまれるのかなどをまずは前提条件に、お薦めのテレビを絞り込んでいくと話す太田副店長。

Mini LED、量子ドット有機EL(QD-OLED)、有機EL、LEDの違いを確認しやすいように、同じ映像を4分割して映し出す


ゲーム体験も大型テレビで別次元に

さらに、大型化・高精細化の流れを受け止め、満足度を高める2つの “相棒” の提案に力を入れている。テレビとの同時購入および後付けの購入を合わせると、いずれも約3割にのぼるという。

一つ目は、サウンドバーをはじめとする「スピーカー」だ。「高画質化や大画面化など映像の進化に比例して、テレビに搭載されているスピーカーの性能も進化しているのかとなると疑問符がつかざるを得ません。大画面化・高画質化するテレビの映像に匹敵する “音” を手に入れるために、スピーカーはもはや欠かせない存在です」と説明する。

「抜群の臨場感」と訴えるサウンドバーは、多数のテレビとの組み合わせのほかにも、専用のコーナーを設けて紹介


「この臨場感ある音はサウンドバーから出ています」と大型テレビには欠かせない相棒であることをアピール

お客様にはテレビにスピーカーを加える意義を説明するだけでなく、出来得る限り実際に試聴していただいており、店内に展示するテレビにも、サウンドバーをはじめとするスピーカーを組み合わせた展示が数多い。

さらに、ここに来て一歩踏み込み力を入れるのが「リアスピーカー」の提案だ。「サウンドバーにリアスピーカーを加えた立体感を是非ご体感いただきたい」と大画面に負けない音の臨場感の訴求に力を入れる。

レグザブランドコーナーの正面には2つ100V型がデンと鎮座。ここでも左の「100Z770N」はSONOS、右の「100Z970M」はBOSEのそれぞれサウンドバー&サブウーファー&リアスピーカーを組み合わせる


ソニーBRAVIAコーナーの手前では、リビングにも溶け込むスマートなデザインのワイヤレスホームシアターシステム「HT-A9M2」を「K-75XR70」に組み合わせ。ソファを用意してお客様の関心を引き寄せる

リアスピーカーを構えるためのスペースが必要となるが、体験スペースは今後さらに拡充していく構え。なお、ご年配のお客様からは、サウンドバーまで手が届かなくても、手軽に導入することができる “お手元スピーカー” も人気を集めている。

ソニー「K-75XR90」を、サウンドバー「HT-A8000」+サブウーファー「SA-SW3」+リアスピーカー「SA-RS3S」と、同「HT-A9000」+「SA-SW5」+「SA-RS5」の2つの組み合わせで体験できる


年配のお客様からの支持が高いお手元スピーカー

そして、もうひとつの相棒が「壁寄せスタンド」だ。「大きなテレビをできるだけ省スペースに導入したい」「部屋を広く使いたい」といった要望に応えるもので、展示するテレビも多くが壁寄せスタンドと組み合わせられ、「壁寄せスタンドコーナー」にはズラリと商品が並べられている。

「壁寄せスタンド」を大きく展開してアピールする


壁寄せスタンドにするメリットや快適なテレビの“高さ”をわかりやすく解説

「壁掛け」にする選択肢もあり、もちろん対応しているが、「お客様からは壁掛けの要望ももちろんあります。しかし、壁に穴を空けたり、補強したりする工事の内容や取り付ける金具、料金などを説明していくと、最終的に壁寄せスタンドに落ち着くケースが多くなっています」と説明する。

目立つように島展示でも「壁寄せスタンドで理想のリビングスタイル」とアピール


展示する70V型超のテレビの多くが壁寄せスタンドと組み合わせてあり、随所に「ヨドバシオススメ!壁寄せラックセット」と訴える

「テレビを購入するのと同じタイミングで購入していただけば、設置も一度に済ますことができます」と同時購入をお薦め。同時購入で割引やポイントアップになる施策も随時実施されている。

壁寄せスタンドに隣接して壁掛けの展示も充実


関連アイテムはテレビとの同時購入がお得!

一方、かつてはテレビにとっては欠かせない相棒だった「BDレコーダー」、さらには外付けHDDの売り上げは減少傾向にある。テレビの購入動機として多くの人の背中を押す役割を果たす動画配信サービスは、同時に、わざわざ録画する手間が省けることから、これらアイテムの購入理由を引き下げている。サウンドバーや壁寄せスタンドは、レコーダー関連の需要減少による客単価ダウンをカバーする、貴重な商材としても位置付けられる。

■テレビが秘める可能性。売り場から伝えることはまだまだある



これからのテレビ市場を、太田副店長はどのように展望しているのか。目下の超大画面化の流れについては、「価格が安くなればある程度、裾野は広がると想像されますが、さすがに70V型を超えるサイズになってくると相応の部屋の広さも必要となります。ご使用する環境に合わせた適切なサイズがありますから」との見通しを示した。

スマホやPCがテレビに及ぼす影響は小さくなく、「 “次” が見えない状態が続いていますね。ある意味で、ひとつの壁にぶつかっているのは紛れもない事実。しかし同時に、販売店がやるべきこと・できることが、まだまだ残されています」と新しい可能性に着目する。

LGエレクトロニクスの“曲がる”4K有機ELテレビ「42LX3QPJA」。太田副店長は「未来を感じ取ることができる」とその提案を高く評価する


アンテナ線の位置に縛られていたテレビの場所を自由にするパナソニックのレイアウトフリーテレビ「TH-43LF1L」

例えば、テレビで楽しむ人が増えたYouTubeひとつとっても、パナソニックVIERAなら、専用アプリ「テレビシェア」で、手元のスマホからサクサク動画を選んでサッと大画面へ。YouTubeのレッスン動画やレクチャー動画を家族みんなで楽しむことができる。

シャープAQUOSに搭載する「リビングカメラ」は、接続した別売のWEBカメラで、テレビをミラー代わりに使ったり、写真撮影やショートムービーを撮ったりすることができる。ミラーとYouTubeの同時表示に対応するので、ヨガのインストラクターの動画を大画面で視聴しながら、自身のポーズやフォームの確認ができる。

ソニーBRAVIAの「消画」機能は、好きなアーティストのYouTube動画のテレビ画面を消して、ラジオ感覚で音だけで楽しむことが可能だ。各社からはアイデアを凝らしたこうした多彩な機能が盛り込まれているが、それを使いこなしているユーザーはほんの一握りに限られているのが実情ではないだろうか。

「メーカーの内覧会に出席して色々と説明を受けると、『テレビでこんなこともできるのか』とハッとさせられることがよくあります。しかし、店頭ではそれを十分にお客様にお伝えできていません。メーカーと一緒になって、テレビはもっとこんな使い方もできるんですよとアピールしていくことができます。テレビは単にコンテンツを見るだけのものではありません」と力を込める。

「先日も、『テレビでYouTubeが見たいんだけど』というお客様がいらっしゃいました。生活スタイルが年々変化していくなか、それぞれのお客様がどのような目的でテレビをお求めに売り場まで来られているのか。情報を収集し、要望に応えられる売り場づくりとして反映、提案していかなければなりません。ただの大画面だけでは時代に乗り遅れてしまいます。何よりお客様の声が一番。その声にお応えしてどんどん仕掛けていきます」と力強く語る太田副店長。

テレビの “今” と “これから” を率先して魅せるヨドバシカメラ マルチメディアAkiba。お客様に “気づき” を発信する、進化する売り場から今後も目が離せない。


店舗情報
ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
東京都千代田区神田花岡町1-1

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