公開日 2025/01/28 12:07

悲壮感漂う現場。幅も投写距離も足りない部屋に120インチスクリーンを入れる? /コール徳島店

思わず「ギョッ!」としたホームシアター施工苦労話
編集部:竹内 純
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■物理的に無理。どうやれば入れられるのか…

一口にホームシアターを導入すると言っても、設置する環境や施主の要望はまさに十人十色。インストーラーにとっては腕の見せ所とも言えるわけだが、正直、そこには様々な苦労話が絶えないようだ。

数百件に及ぶホームシアターを導入してきた実績を誇るコール徳島店の野田博之店長に、もっとも苦労した施工事例について伺うと、「もうこれですよ。本当に苦労しまくりで、弊社の建築部門も巻き込んで大騒動となりました」と紹介してくれたのは、お客様が希望する120インチのスクリーンを設置するには部屋の幅が少し足りない、さらにはプロジェクターを投写する距離もまったくとれない。そんな物理的には不可能な環境へ、見事に120インチスクリーンを収めて希望を叶えたという嘘のような話。

コール徳島店 野田博之店長

「物理的に部屋の幅が足りないわけですからず、致命的です。120インチスクリーンはどう考えても設置しようがない。しかし、『今の100インチのスクリーンじゃモノ足りない。どうしても120インチにしたい!』と話す施主様の熱い想いになんとか応えたくて…」。

はたして、どう解決したのか。

問題解決へ。まずは特殊な家具を製作

「120インチのスクリーンが納められない、120インチの投写距離が稼げないというのであれば、もう部屋を広げるしかないですよ」。スクリーンを設置する面の左右両脇の壁と、プロジェクターを設置する部屋の後方の壁に穴を空けて部屋を拡張。専用に設えた特殊な家具をそこに設置してスクリーンとプロジェクターを納めることで、不可能を可能に変えてしまったのだという。

スクリーンを設置する面の左右両脇の壁に穴を開けて拡張。家具を入れ、不可能だった120インチのスクリーンを見事に設置

道のりは決して平坦ではなかった。「既存住宅ということもあって問題が山積みでした。家具工事、大工工事、クロス工事、電気工事等々、様々なトラブルが次々に押し寄せてきて…。しかもその1つ1つのトラブルが細かすぎるんですよ」と四苦八苦。

プロジェクターも同様に壁に穴を空けて家具を納めて設置。投写距離を稼ぐことができた

しかし、そこはさすがに百戦錬磨の兵だ。「壁に穴を空けたついでですから、露出配線だったスピーカーケーブル類もきれいに隠蔽配線し、スッキリと美しくなりました。工期はがっつり2日間、最終日も夜10時過ぎまでかかりましたが…」と記憶に残る施工となった。

■75V型のブラビアが通れるはずなんだけど…

もうひとつ挙げてくれたのは、「これも大変でした。お客様自ら搬入ルートを採寸され、余裕をもって75V型の液晶テレビを2階へ設置できるはずだったのですが…」という一件。

10年前に2階の個室に施工した100インチスクリーンと55V型ブラビアによる2wayシアター。ポスターはじめ様々な映画グッズやフィギュアが並ぶ猛烈なシアターファンというオーナーから、55V型のブラビアを75V型にグレードアップしたいという話が舞い込んだ。

大型テレビを導入する上で、最大のネックとなるのは“搬入”だ。搬入口となる玄関ドアの内寸はもちろん、今回のように2階に設置する場合には、利用する階段および踊り場の幅や天井高などの条件により、搬入できないケースがある。「10年前は確か、55V型でぎりぎり通れたような…」とよぎった不安がまさに的中。「現場に行くと、どうやっても案内された室内の搬入ルートでは通れないんですよ」。

搬入後に空箱を使って再現した様子

しかし、運が味方をしてくれた。「たまたま、お客様のお宅が弊社の倉庫から近かったんです。2段はしごを急遽2本用意しまして、室内の階段からではなく、はしごを使ってベランダから搬入しました」。

これまでに何度も、75V型よりさらに大きい85V型のブラビアを同様な方法で搬入してきた経験があり、後は手慣れたもの。10分足らずで搬入を完了させたという。「さすがに通常搬入の2名体制とはいかず、3名体制になりましたが…」。

同時にAVアンプもソニー「TA-DA5700ES」からデノン「AVR-X2700H」へ入れ替えて、Dolby Atmosも楽しめるホームシアターシステムへと進化した。


「先代である父(今も元気です 笑)の口癖は『終わらない現場はない』。電気&ITの私と、建築の弟がタッグを組んで、お客様からのハードなミッションをこれからも完遂していきたいと思います」と力を込める野田店長。お客様からの無理難題に正面から向き合い、解決の道を探ってくれる頼もしい存在だ。

■店舗概要
コール徳島店

〒770-8052 徳島県徳島市沖浜2-30 コール徳島2F
TEL 088-655-1210
FAX 088-655-1208
営業時間 10:00〜20:00
定休日 火曜日・第1水曜日(※祝祭日は営業)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 ビックカメラ、実店舗での「2026年新春福箱」は元日10時から。約250万円おトクなホームシアター福箱も
2 レコードプレーヤーが好調持続。デノン「DP-3000NE」が圧倒的存在感<販売店の声・売れ筋ランキング11月>
3 SOUNDPEATS、「福袋2026」販売開始。「ハイエンド機とランダム1機種ずつ」「完全ランダムで2機種」の2タイプ
4 ビクター、最上位完全ワイヤレス「WOOD master」にK2テクノロジー対応アップデート
5 メタリック・レッドのアクセントがクール。AKGの銘ヘッドホン「K240」の日本限定版、プロ機の高性能健在!
6 4K UHD BD『28年後...』、恐怖と静寂のコントラストが際立つ、没入感たっぷりの立体音響
7 Qobuz、ドイツ・グラモフォン/デッカのDSDが最大33%オフの「クラシックDSDホリデーセール」
8 「オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ 2026」、2/14 - 15に開催。名古屋コンベンションホールにて
9 【年末特別企画】ニュース記事アクセスランキングで振り返る2025年<上半期編>
10 j5create、小型のUSB-C to HDMI ワイヤレス送受信機など2機種
12/26 10:53 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
アナログ Vol.90 2025 WINTER
季刊・アナログ
最新号
Vol.90
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX