公開日 2007/12/10 17:55

DVDによる新たなサービスの拡大に高まる期待 − RWPPIが第45回定例会議を開催

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RWプロダクツ・プロモーション・イニシアティブ(略称 RWPPI)は、2007年最後の開催となる第45回定例会議をシャープ(株)幕張ビルにおいて開催した。


RWPPI代表 相澤氏
始めに壇上に上ったRWPPI代表の相澤宏紀氏は「市場では赤色記録のDVDを軸としたビジネスが充実し、最近では新しい提案も出てきている。このように記録型DVDのビジネスがいっそうの安定期を迎えてきていることは、RWPPIに参加する各企業の努力のたまものであり、アクティビティが有効に作用していることの表れだろう」と語り、活動の成果について言及した。一方、市場ではブルーレイディスクをはじめとしたハイビジョン記録用のディスクが市場を拡大する中で、「青のシステムでも、RWPPIの記録・再生互換性の検証を行うラウンドロビンテストのような活動がしっかりと行われなければ、市場での品質向上が困難になるであろう」と指摘した。


RWPPI副代表 千葉氏
相澤氏の次に、副代表であるシャープ(株)千葉滋氏より挨拶が行われた。冒頭より12月1日に行われた「デジタル放送の日」について触れた千葉氏は、「アナログ放送の終了まで残す期間も3年8ヶ月となった。送信側の整備は着々と進み、今や世帯カバー率が92%にまで達したが、実はこれからが正念場。電波の送信が難しいエリアをどうカバーして行けるのかという課題に取り組む段階がやってきた。一方では受信環境の整備も課題であり、より幅広いユーザーニーズに応えるため、メーカーは安価機種も含めた多種多彩なチューナーを供給していく必要にも迫られている。これからの数年はますます慌ただしくなるだろうが、家電メーカーとしてユーザーの視点にたった製品開発を今後も徹底していくべき」と述べた。

続いてRWPPI事務局の森下氏より、DVD-RW/Rへのハイビジョン記録に関わるディスクパッケージ表記についての確認が行われた。本件は9月開催の第44回定期ミーティングでも議題に上げられ、参加メーカーに呼びかけられたテーマである(関連ニュース)。


RWPPI事務局長 森下氏
「AVCREC」や「HD Rec」など、DVDへの記録が可能なHDフォーマットが登場してきたことにより、ユーザーの利便性向上を目的として、該当製品にはそれぞれの規格に対応するディスクであることがわかるよう、メディアのパッケージとディスクへの表記を行っていこうというものである。森下氏は本提案について「強制力を持つものではないが、各社それぞれで検討して、商品化の際にはユーザーの利便性のためできる限り提案に沿って欲しい」と希望を述べ、各メーカーが同様の表記で商品を展開していけるよう、今後も具体的な検討の機会をつくっていく考えを明らかにした。


RWPPI事務局 斉藤氏
代わって登壇したRWPPI事務局の斉藤氏からは、2008年に開催が予定されているラウンドロビンテストセミナーの実施計画が発表された。RWPPIが主催するラウンドロビンテスト(RRT)では、今期DVD-RW/Rに関連するハードとメディアの記録・再生状況を検証する「Stage7」(詳細)を実施してきたが、その検証結果が取りまとめられ、来年の2月をめどに国内・海外でそれぞれ公式に発表される予定だ。

先行して国内で開催されるのは、今回5回目の開催となる「東京JRTセミナー」だ。前回開催のセミナーでは「Stage6」の内容についてRWPPIとRDVDCによる共同発表が行われたが(関連ニュース)、次回も同様の最新結果報告が執り行われる。また同月には、こちらも5回目となる「台湾セミナー」が控えている。期間中には合わせてRRTテクニカルセミナーも実施される予定であり、いずれも台湾の台北エリアにてRWPPIの活動を紹介する機会が設けられる予定だ。

斉藤氏からは今年の10月に実施された中国音像協会の来日報告も合わせて行われた。期間中は同協会に向けて、RWPPIのRRTを中心とした活動内容の報告が行われる機会もあり、日本の技術を学び、国内に「品質重視」の考え方を浸透させようと意気込む協会スタッフに、大変好評であったと斉藤氏は振り返った。

続いて台湾記録メディア工業会(TRIA)より来日したJohn Wu氏がスピーチを行った。Wu氏はTRIAがこれまでRWPPIとともに行ってきた活動の内容と、2008年の活動計画を紹介した。


台湾記録メディア工業会(TRIA) Wu氏
Wu氏は「TRIAは活動の発足当時からRWPPIと深い関係を築いてきた。2005年には初めてRRTミーティングが台北で開催され、以後も2007年3月までに4回目の台湾セミナーが催されてきた。互いの活動内容と、参加者どうしの有益な情報交換の場としても、セミナーはとても大きな成果を上げている」と語り、台湾セミナーの活動に支持を表明した。間もなく開催される予定の、第5回目の台湾セミナーについもWu氏は「これを私たちの記憶に深く残るようなものにできるよう、成功を収めたい」と抱負を語った。

続いてゲストスピーカーとして招かれたKDDI(株)の大槻健一郎氏からは、同社が本年の9月27日よりサービスインしている「DVD Burning」の概要が紹介された。


KDDI(株) 大槻氏
「DVD Burning」はブロードバンド回線を通じ、映画やアニメなどの映像コンテンツを、PCのDVDドライブを使ってDVD-RW/RAMディスクに、CPRM技術を利用して書き込むことができる映像配信サービスだ。(関連ニュース)。大槻氏はサービスの概要とともに、簡単なデモを交えてDVD Burningの楽しみ方を紹介した。

大槻氏によればサービスの開始後、現在まで順調に利用者も拡大しており、「当初に予想していた年齢30代前後のオンライン層・コアファン層だけでなく、40代・50代のユーザーにも積極的な支持をいただいている」のだという。

同社はワーナーをはじめとしたコンテンツプロバイダーとパートナーシップを組み「DVDとの同時発売」を積極的に展開している。「欲しいときだけに自宅にPCと対応メディアがあれば、手軽にDVDビデオを手に入れることができるようになる」というメリットをアピールしつつ、今後も積極的なプロモーション展開を推し進めていく考えを大槻氏は示した。

また今後の展開については、現在PCに限られているサービスのプラットフォームは、来年5月をめどにDVDレコーダーにも展開される模様だ。大槻氏は最後に「次はDVDバーニングのハイビジョン版も実現する必要性を感じている。ただその時期については、次世代ディスクの普及がもう少し進んだ後ではないかと考えている」と語った。


BOC(Holdings)Ltd. 小松氏
本日の定例会議の最後に登壇したBOC(Holdings)Ltd.代表取締役社長の小松知彦氏からは、「光ストレージ業界の現状と将来展望」について、DVDメディアを軸に考察した特別講演が行われた。

小松氏は光ディスクにHDDやフラッシュメモリー等、他の記録媒体を含めた市場分析データを示しながら、光ディスクの特徴について「アーカイブ性」「互換性」「デュプリケーション性」「汎用性」などのメリットを指摘した。その上で、赤色レーザーを用いたDVDディスクの今後の可能性を「その技術自体がこれからも進化する余地を残している。一方で多くのユーザーのスタンダードとなったDVDは、次世代アプリケーションでもカバーを求められるメディアであるゆえに、その重要性が変化することはしばらくないだろう」とした。

今後光ディスクがメインストレージとして期待されるアプリケーションについて小松氏は、「パーソナルカムコーダーや、HDDカムコーダーに撮り貯めた映像を光ディスクにアーカイブするための外付けディスクバーナーが成長していくだろう」と予測。その普及拡大のカギを握るメディアは2層タイプのDLディスクであると語った。

また本日の定例会議でも議題に上がった「映像コンテンツのダウンロードビジネス」については、ブロードバンドの普及拡大やハードウェアの対応など幾つかの課題を指摘しながらも、「ユーザーが享受できるメリットが大きいサービス」と評価し、記録型DVDの新たな可能性を開くサービスモデルとして注目していると小松氏は語る。また「DVDへのハイビジョン記録技術」についても、国内・海外ともにハイビジョンニーズは急速に高まってくだろうと予測しつつ、「その際にコストパフォーマンスの高いDVDが果たす役割は大きい」とし、光メディアを使った新しいサービスの成長に期待を寄せた。


(Phile-web編集部)

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