IFA2025のヘッドホン分野におけるハイライトは、Baseus(ベースアス)のInspireシリーズだった。技術面での交流も含む、Bose(ボーズ)との特別な戦略的パートナーシップを背景に、なんと3モデルを一挙に投入。Sound by Boseがリーズナブルに、しかも最先端のスペックで手に入る。2025年下半期、Inspireシリーズは、すべてのオーディオファンにとって聴き逃せないアイテムだ。
ドイツ・ベルリンにて、「Inspire」シリーズ発表会が開催された直後に、Baseus創業者でありCEOである何 世友(He Shiyou)氏にインタビューする機会を得ることができた。ここでは、その模様をお届けしたい。
何 世友(He Shiyou)氏 プロフィール
1984年、潮汕地域生まれ。広東海洋大学で電子情報工学を専攻。2006年、在学中に「深圳市时尚创展科技有限公司」(Baseus Technologyの前身)を創業し、CEOに就任。研究開発こそが競争力の基盤であると認識し、自社ブランドの立ち上げを決意。2011年にBaseusを創設し、スマートフォン関連のケースやフィルム、ケーブルなどから事業をスタート、オーディオ分野でも急成長を遂げている。
ユーザー中心の考え方は、私たちBaseus(ベースアス)の強み
——本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。何 世友(He Shiyou)さんと日本との関わりについて教えてください!
何 世友氏(以下、何氏):日本は私が最も多く訪れた国のひとつです。もう15回以上は訪れていますよ。一人だけの旅行でも、5回は訪問しています。日本のメーカーのものづくり、特に「デザインへのこだわり」と「高品質の追求」には深い敬意を持っています。
実は今年、日本の著名なオーディオ専門家(アワードの審査員)と対話し、日本市場向けに特別チューニングを行う決断をしました。本日、日本のジャーナリストのみなさんとお会いしたのも、日本市場をとても重視しているからです。
ちなみに私個人が音楽を楽しむ主な場面は、飛行機の中です。だからノイズキャンセリング性能は、プライベートでも非常に重要だと感じていました。(笑)


——なるほど、Inspireシリーズのうちの2機種はノイズキャンセリング機能付きですが、ご自身にとっても理想の製品であるわけですね。Baseusというブランドが、オーディオという領域で、他社にはない、どのような独自性を持っているか教えてください。
何氏:Baseusは幅広い製品カテゴリーを展開しているため、多様なユーザー接点を持っています。私たちが最も重視するのは消費者であり、ユーザーが製品を他人に薦めたいと思う度合いです。ユーザー中心の考え方(Base On User)は、私たちの強みです。
それから、オーディオの研究開発や品質管理に力を入れて、しかも自社で製造ができるので、迅速で信頼性のあるイノベーションが可能であることも特長です。
——製造工場を持たない、いわゆるファブレスのメーカーとは違うわけですね。さまざまなオーディオブランドが存在するなかで、なぜ、どういった経緯で、BaseusはBoseブランドと組むことになったのでしょうか?
何氏:Boseと組む前から、私たちはオーディオ分野において、すでにグローバル市場で多くの成果を上げていました。多くの国でシェアを獲得し、市場でも高い評価を得ています。
しかし次のステップに進むためには、よりプロフェッショナルなオーディオパートナーが必要でした。Boseは「プロフェッショナルオーディオ」を代表する名前であり、私たちにとって大きな誇りです。
短期的な安売りでの成功ではなく、長期的に信頼されるブランドを
——Inspireシリーズは、イヤーカフ型として世界初となるハイブリッド・ドライバーを搭載したアイテム「Baseus Inspire XC1」もあり、さまざまなニーズに応えられる磐石のラインナップになりましたね。
このInspireシリーズをきっかけに、Baseusを⾳質に優れたオーディオブランドとして認知する若年層のユーザーがとても増えると思います。もう⼀つの主⼒である充電関連製品も含めて、今後、Baseusブランドをどのように発展させていきたいと考えていらっしゃるか、未来に向けたビジョンを教えてください。
何氏:Boseとの提携は、私たちのブランドが「ミッドレンジ」から「ハイエンド」へと進化するための大きな一歩です。技術の成長と、ブランド認知の拡大、両面で大きな意味を持ちます。これは私たちの長期計画の一部です。
いま、Baseusのオーディオ製品には次の3つのラインがあります。
・エントリー(“Bassシリーズ”)
・ミッドレンジ(“Bowieシリーズ”)
・ハイエンド(“Inspireシリーズ”、Sound by Bose搭載)
この3ラインを継続的に発展させて、グローバルと日本のユーザーのニーズ、どちらにも応えていきます。
私たちは日本市場で成功を納めるために3年間の長期計画を持っており、現在はその折り返し地点にいます。短期的な安売りでの成功ではなく、長期的に信頼されるブランドを築いていきます。
——日本での発売を楽しみにしています。本日はありがとうございました!
ちなみに、Inspireシリーズ3機種それぞれの開発背景について、IFA会場の展示ブースでは技術的な視点から深掘りするインタビューも実施することができた。そちらは2025年11月に刊行予定の雑誌『プレミアムヘッドホンガイドマガジン』に掲載を予定している。まだ世の中に出ていない情報が満載の内容になっているので、ぜひ、そちらもお楽しみに!






























