公開日 2020/01/08 10:51

<CES>ソニー独自の立体音響「360 Reality Audio」いよいよ商品化へ。開発陣に聞く現状と今後

家や街だけでなくクルマにも

デモルームでは映像付きのミュージックビデオなどいくつかの音源を聴くことができた。サラウンドシステムでは、360 Reality Audioの大きな特徴である、足元から押し寄せてくるような低音の臨場感が存分に味わえた。

360 Reality Audioに対応するソニーのサラウンドシステムの試作機。フロント側のサウンドバーとワイヤレスサブウーファー、リアに2本のスピーカーを配置するシステム構成としている

写真はリアスピーカーの試作機

360 Reality Audioの音源は、エンコードにオープンフォーマットのMPEG-H 3D Audioを採用している。再生時にはデコードされた音源に含まれるオブジェクトデータを解析し、スピーカーシステムの構成に合わせたレンダリング処理が行われる。今回出展されたシステムの場合、フロントに3チャンネル、上方向の反射に2チャンネル、リアに2チャンネルとサブウーファーのオブジェクト信号を再配置し、豊かな臨場感を再現していた。

映像付きの360 Reality Audio対応コンテンツを視聴した

ドルビーアトモスやDTS:Xなど他フォーマットへの対応なども気になるところだが、今回の取材時点では、こちらのプロトタイプについても詳細は明らかにされなかった。ただし、従来のサウンドバーと同じレイアウトでも360 Reality Audioコンテンツが楽しめるよう、技術検討が進められていると岡田氏は話していた。

クルマの中にも360 Reality Audio体験が広がる

両製品のデモを体験し、待望のソニー自身による360 Reality Audio対応ホームオーディオの誕生が迫っていることを感じさせられた。そして今後、360 Reality Audioが楽しめる空間はクルマの中にも広がりそうだ。

ソニーは今年のCESで新たなモビリティサービスの取り組み「VISION-S(ビジョン エス)」を発表し、エンターテインメントスペースとしての自動運転車のコンセプトモデルを公開した。

ソニーが提案する「VISION-S」のコンセプトカー

「VISION-S」には360 Reality Audioによる没入型オーディオ体験を組み込むことも想定されている

このデモカーでも、複数個のスピーカーユニットを組み込んだ360 Reality Audioの体験デモを行っている。ソニーの佐々木氏は、ホームオーディオやヘッドホンによるポータブルリスニングとは異なる、車内空間にとって最適なチューニングをこれから別途追い込んでいく必要があると前置きし、今後、ソニーのモビリティサービスの特徴として、360 Reality Audioをひとつの柱に育てていく考えを語ってくれた。

日本国内では、まだ360 Reality Audioを体験できるサービスや環境が限られているが、2020年には、いよいよ生みの親であるソニーがリードし、新たな音楽体験スタイルが広まっていきそうだ。そして、Amazon Musicに続き、360 Reality Audioの音楽配信についても、ぜひソニーグループで実現させてほしい。

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