公開日 2016/01/13 13:59
<CES>AKMの開発担当者に聞く、新フラグシップDAC「AK4497EQ」の詳細
22.4MHz DSDや768kHz PCMに対応
旭化成エレクトロニクス(AKM)は、2016 International CESにて第3世代D/Aコンバーターの新フラグシップ「VERITA AK4497EQ」を発表した。
AKMの出展ブースにて、開発に携わった同社の木間秀明氏と、同社のオーディオマイスターである佐藤友則氏に、AK4497EQの詳細や開発過程のエピソードを伺うことができた。
まず、VERITA AK4497EQについておさらいしておこう。本機は「AK4490」の上位モデルにあたる、VELVET SOUND アーキテクチャーを採用したDAC。768kHzのPCMおよび22.4MHzのDSD入力をサポートしたことも大きな特徴だ。新規開発した自社オーディオ専用LSIプロセスにて製造を行っており、電気的な余裕度と低域ノイズの大幅改善を果たしたという。
また、IRD(Impulse Response Designed)フィルターを搭載することで、32bit処理によりきめ細やかで自然な信号波形を再現するとしている。さらに内蔵デジタルフィルターは、これまでの5種類に加え新たに「Low-dispersion short Delay Filter」を用意した。
木間氏と佐藤氏は、まず128dBという圧倒的なS/Nを実現した点に注目してほしい、と話す。従来品と比較して8dBもS/Nを下げたのである。これを実現するにあたっては、プロセス自体を刷新しトランジスターの低ノイズ化も実現したとのこと。
「特にMOSトランジスターは、低域に1/fの傾きを持ったノイズをそもそも持っていますが、これを大幅に低減することが可能となりました。また物量投入もノイズ低減に寄与するので、トランジスタのサイズを大型化し、電流も大量に供給することでノイズ低減を図ったのです。コストを度外視して優れた特性を追求しました」(木間氏)。
特性面を追求する一方で、AK4497EQは音質を向上させるという点にも配慮したという。上述の「自社オーディオ専用LSIプロセス」もその一環だ。
「音質面については、MOSトランジスターの低ノイズ化も貢献していますが、自社オーディオ専用LSIプロセスによる製造によって、“LSIの作り方”という部分でも大きなアップデートを実現しました。簡単に説明すれば、これまでのAKMがDAC開発で培ってきた“音が良い回路の線の引き方”のノウハウをAK4497EQに導入したということです。この点は特に音質に効いています」(佐藤氏)。
同社はDACを開発するにあたって、まず試作機を作って音質を確認した後、製品版となるバージョンを作成するのだという。これは音質を重視する旭化成ならではのアプローチだ。
22.2MHz DSDに対応した点も注目を集めている。この数値はLSIとして限界に近づいているのだという。通常では22.2MHzまでいくと発熱の問題もあって特性が取れなくなってしまい、様々な問題が生じる。「デジタルでスペックが倍になるということは、電流も倍になるということですからね」(佐藤)。
しかし旭化成は、これまでのDACで培ってきたアーキテクチャーを活かして、消費電力を抑えつつ、22.2MHz DSDの処理に対応することを実現した。なお、現時点で22.2MHzの楽曲は販売されていないが、これはあくまで「将来を見越しての」対応とのこと。
デジタルフィルターが追加されたこともポイントだ。従来の4つのフィルターに加えて「Low-dispersion Short Delay Filter」が追加された。ちなみに“Low dispersion”とは低分散を意味するのだという。
このフィルターの特徴は、ディレイ(音が出てくる時間)は短くしつつ、優れた位相特性を維持するというものという。従来の「Short Delay Sharp Roll-off」フィルターの場合、音が出てくるまでの時間の短さ(インパルス応答)については優れているのだが、位相の遅れが生じてしまっていた。この位相のずれによって「録音時と定位が変わる」と感じる録音エンジニアもいたのだという。一方で「Short Delay Slow Roll-off」フィルターの場合、位相の遅れは解決できたが、周波数特性に問題が出るという短所を持っていた。
そこで今回の「Low-dispersion Short Delay Filter」では、インパルス応答、位相特性、周波数特性をバランスさせることを実現させたのだという。「お客様に聴いていただいたところ、これは面白いという評価をすでにいただいています。このフィルターについては、これまでの旭化成の音の傾向とは少し違うという感想もいただきました」(佐藤氏)。
VERITA AK4497EQは2016年夏の量産が予定されているのだが、新プロセスを採用しているため、生産上のチェックも従来以上に大変なのだという。また、すでにこのAK4497EQで開発された仕様を、ミドルクラス以下のD/Aコンバーターへ継承していく計画も進められているとのことだ。VERITA AK4497EQが搭載されたオーディオ製品はどのようなサウンドを鳴らしてくれるのか、今から期待が膨らむ。
AKMの出展ブースにて、開発に携わった同社の木間秀明氏と、同社のオーディオマイスターである佐藤友則氏に、AK4497EQの詳細や開発過程のエピソードを伺うことができた。
まず、VERITA AK4497EQについておさらいしておこう。本機は「AK4490」の上位モデルにあたる、VELVET SOUND アーキテクチャーを採用したDAC。768kHzのPCMおよび22.4MHzのDSD入力をサポートしたことも大きな特徴だ。新規開発した自社オーディオ専用LSIプロセスにて製造を行っており、電気的な余裕度と低域ノイズの大幅改善を果たしたという。
また、IRD(Impulse Response Designed)フィルターを搭載することで、32bit処理によりきめ細やかで自然な信号波形を再現するとしている。さらに内蔵デジタルフィルターは、これまでの5種類に加え新たに「Low-dispersion short Delay Filter」を用意した。
木間氏と佐藤氏は、まず128dBという圧倒的なS/Nを実現した点に注目してほしい、と話す。従来品と比較して8dBもS/Nを下げたのである。これを実現するにあたっては、プロセス自体を刷新しトランジスターの低ノイズ化も実現したとのこと。
「特にMOSトランジスターは、低域に1/fの傾きを持ったノイズをそもそも持っていますが、これを大幅に低減することが可能となりました。また物量投入もノイズ低減に寄与するので、トランジスタのサイズを大型化し、電流も大量に供給することでノイズ低減を図ったのです。コストを度外視して優れた特性を追求しました」(木間氏)。
特性面を追求する一方で、AK4497EQは音質を向上させるという点にも配慮したという。上述の「自社オーディオ専用LSIプロセス」もその一環だ。
「音質面については、MOSトランジスターの低ノイズ化も貢献していますが、自社オーディオ専用LSIプロセスによる製造によって、“LSIの作り方”という部分でも大きなアップデートを実現しました。簡単に説明すれば、これまでのAKMがDAC開発で培ってきた“音が良い回路の線の引き方”のノウハウをAK4497EQに導入したということです。この点は特に音質に効いています」(佐藤氏)。
同社はDACを開発するにあたって、まず試作機を作って音質を確認した後、製品版となるバージョンを作成するのだという。これは音質を重視する旭化成ならではのアプローチだ。
22.2MHz DSDに対応した点も注目を集めている。この数値はLSIとして限界に近づいているのだという。通常では22.2MHzまでいくと発熱の問題もあって特性が取れなくなってしまい、様々な問題が生じる。「デジタルでスペックが倍になるということは、電流も倍になるということですからね」(佐藤)。
しかし旭化成は、これまでのDACで培ってきたアーキテクチャーを活かして、消費電力を抑えつつ、22.2MHz DSDの処理に対応することを実現した。なお、現時点で22.2MHzの楽曲は販売されていないが、これはあくまで「将来を見越しての」対応とのこと。
デジタルフィルターが追加されたこともポイントだ。従来の4つのフィルターに加えて「Low-dispersion Short Delay Filter」が追加された。ちなみに“Low dispersion”とは低分散を意味するのだという。
このフィルターの特徴は、ディレイ(音が出てくる時間)は短くしつつ、優れた位相特性を維持するというものという。従来の「Short Delay Sharp Roll-off」フィルターの場合、音が出てくるまでの時間の短さ(インパルス応答)については優れているのだが、位相の遅れが生じてしまっていた。この位相のずれによって「録音時と定位が変わる」と感じる録音エンジニアもいたのだという。一方で「Short Delay Slow Roll-off」フィルターの場合、位相の遅れは解決できたが、周波数特性に問題が出るという短所を持っていた。
そこで今回の「Low-dispersion Short Delay Filter」では、インパルス応答、位相特性、周波数特性をバランスさせることを実現させたのだという。「お客様に聴いていただいたところ、これは面白いという評価をすでにいただいています。このフィルターについては、これまでの旭化成の音の傾向とは少し違うという感想もいただきました」(佐藤氏)。
VERITA AK4497EQは2016年夏の量産が予定されているのだが、新プロセスを採用しているため、生産上のチェックも従来以上に大変なのだという。また、すでにこのAK4497EQで開発された仕様を、ミドルクラス以下のD/Aコンバーターへ継承していく計画も進められているとのことだ。VERITA AK4497EQが搭載されたオーディオ製品はどのようなサウンドを鳴らしてくれるのか、今から期待が膨らむ。
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