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【特別企画】アコースティックデザインシステムによる試聴イベントに編集部記者が参加

「防音工事をすると音が良くなる!」理由とは? 試聴イベント「Acoustic Audio Forum」取材レポート

公開日 2015/07/15 10:54 編集部:小野佳希
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続けて、「次は、一曲のなかでの音量差のあるものを」ということで、マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団による「ブルックナー 交響曲第4番」を再生。「音が小さな冒頭部で不満を感じてボリュームを上げて、最大音量になる部分で慌ててボリュームを絞る人も多いかもしれない」と、オーディオ趣味における音量の扱いの難しさにも触れる。

デシベル数の測定データ。最小で約58dB、最大で約94dBと、一曲のなかでも大きく落差があることを紹介

なお、初日にはiPhoneアプリでデシベル数を測定する参加者の姿も。2日目も参加者から頻繁に質問が飛び出るなど、どのセッションも非常に熱量が高いものとなったことが印象的だった。

2日間とも多数の来場者が詰めかけた

そしてイベントでは、ドアや窓などになるべく隙間をつくらないこと、壁や天井、床などを二重構造するべきであることなど、防音の基礎知識をレクチャー。「特に、低音は重い材料でないと遮れないのだが、現代建築の表面材は限りなく軽くなってる。これは木造でもコンクリート住宅でも同じだ」「建築空間もこの30年でガラッと変わった。オーディオ的には悪い方向にきてしまっている」と、現代の住宅事情がオーディオ趣味には少々逆風であることも紹介する。

防音についての基礎知識をレクチャー

現代住宅の下地構造は共振構造になっている

また一例として、コンクリート構造のマンションにおける一般的なD-50という性能においては、オーディオをある程度の音量で愉しもうとすると、隣家からクレームが来る可能性を指摘。同社では、そうした問題に対処できる「D-65」等級での防音工事が可能なこと、「D-70〜75」といったさらに高度な防音を可能にするノウハウも持っていると説明した。

戸建ての場合の防音等級の違いについての説明

もちろんこの防音工事は、オーディオや楽器演奏を楽しむための部屋の響きに配慮した上でのもの。「地下室を掘ったりしなくても、実用充分な防音工事が可能だし、ちゃんと配慮して設計すれば音も良くなる」と説明する。

なお、同社がオーディオルームを設計する際には「床を一番重要視する」という。鈴木氏はその理由を「スピーカースタンドでオーディオの音質が変わるように、床の構造によって部屋の響きは大きく変わる。オーディオ機器や楽器など、音が出るものが乗るという点で床は非常に重要だ」と解説した。

■「防音工事をすると部屋の響きがハッキリ出る」

また、吸音カーペットや遮音カーテンなどのアイテムについても言及。「吸音することで雑味成分が減るなどの効果はあるが、外部への音漏れ対策としてはほとんど意味が無い」と紹介する。

吸音カーペットや遮音カーテンは外部への音漏れ対策のためのアイテムにはならないと説明

そのほかにも、床の重ね貼り工法なども防音性能向上にはつながらないことなど、間違った音響知識について指摘

そして壁に貼り付けるタイプの吸音アイテムなどについては「繊維質の吸音材は中高音域をよく吸音するが、低音域には効果が薄い。これをベタベタと設置し過ぎると低音だけが強調され、それが直接音と混ざって独特な音になる」とコメント。調音目的でそうしたアイテムを使う際にも気をつけるべきポイントがあることを説明した。

さらに、一般的な間仕切り壁にピンクノイズを放射して壁の振動の大きさを測定したデータも紹介。全周波数帯のエネルギーが均等に壁へ当たっていても特定の周波数での振動が大きいことを示し、「振動しているということは、壁が特定の周波数の音を吸って、それ以外の周波数の音は反射させているということだ」とし、我々はオーディオ機器からの直接音だけでなく、壁や天井などで反射した間接音も一緒に聴いていることに改めて触れる。

オーディオ機器からの直接音に加えて壁や天井などからの反射音もミックスされた音を聴いているため、部屋の響きが最終的な音質へ大きく影響してくる

振動測定のグラフ。縦軸が振動の大きさを、横軸が周波数を示している。材料の厚さや重さで、振動の大きさや周波数帯が異なることがわかる

次ページ「部屋づくりもオーディオも基本思想は同じ」

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