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【特別企画】“音のよい部屋づくり”とは?

音量とオーディオの魅力は相関するのか? 「第18回Acoustic Audio Forum」で分かった防音のポイント

2015/05/28 編集部:小野佳希
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音楽家やオーディオ/ホームシアターファンのための防音工事専門会社、アコースティックデザインシステムが毎月開催している試聴会「Acoustic Audio Forum」。『ハイレゾ最前線オーディオとオーディオルームの防音について』をテーマにした最新回「第18回Acoustic Audio Forum」が開催された。2日間、3講演に熱心なオーディオファンが多数詰めかけた同イベントでは、どのようなデモが行われたのか? 編集部記者が取材を敢行した。


■人気集中で開催枠を急遽増設

「Acoustic Audio Forum」は、オーディオやホームシアターを楽しむ上で、部屋がいかに大きな役割を果たしているかを体験できるイベント。過去のイベントレポートでも度々紹介しているように、同社は「部屋は再生装置」「オーディオは機器と部屋の特性で聴くもの」という考えを持っており、その思想をより具体的な形で実感できるよう、毎回様々な観点からのデモを行っている。

最初に改めておさらいしておくと、アンプやスピーカーといったハード類の性能を十分に引き出すためには、その音を響かせる部屋の環境にも配慮すべきであることは過去にもレポートしてきたとおり。音楽の心地よさは部屋の響きに大きく影響を受けるのだ。

こうした前提の下、アコースティックデザインシステムが執り行っている本イベント。最新回となった第18回のテーマは「これまで長いことやってきたが、こういう直球のテーマにしたのは初めて」(同社代表取締役 鈴木泰之氏)という『防音』。「オーディオ機器は進化しているのに、部屋はあまり進化していないのではないか。音楽を好きな音量で楽しめている方がどれくらいいるのだろうか疑問にも思った」からのテーマ設定だという。昨今の大きなトレンドであるハイレゾ音源を始めとした音楽を思う存分楽しむためには、どのような点に留意すればよいのかを体験できる回となった。

アコースティックデザインシステム 鈴木氏

なお、今回は「金曜・夜」「土曜・午前」「土曜・午後」と、のべ3回のイベントを用意。初回となる金曜夜のイベントは九段下にある同社のショールーム、土曜日の2回はネットワークオーディオプレーヤー等のメーカーであるスフォルツァートの試聴室が会場となった。しかも、元々は土曜日は午後からの1回のみ開催の予定だったが申し込みが殺到し、急遽、午前中の回も増枠するという人気を集めた。

2日目の会場となったスフォルツァートの事務所兼試聴室

そしてイベントのデモ機材には、予価が約300万円というスフォルツァートのハイエンドな最新ネットワークオーディオプレーヤー「DSP-01」を使用。本体、電源ともアルミブロック削り出しで、クロックもあえて内蔵ではなく超高級クロックを外付けで使用するなど、同社が「究極のネットワークプレーヤー」と表現する同モデルを、正式発表に先駆けていち早く体験できる場ともなった。

スフォルツァートのネットワークオーディオプレーヤー「DSP-01」。DSD 11.2MHz再生に加え、発売後のアップデートでPCM 384kHzにも対応予定。「現状で販売されている音源にはすべて対応する。チップの性能的にはもっと上にも対応できるので長く使ってもらえる製品になるだろう」(スフォルツァート小俣氏)という

■「響きのよい部屋なら小音量でも音楽の魅力を感じられる」

鈴木氏はまず、生演奏においてはオーケストラで110dB以上、バンドでは120dB以上の音量が出るのに対し、レコードやCDなどを楽しむ際には「オーディオマニアであっても85dBくらいが最大だろう」とコメント。「オーディオでは、実際の楽器の演奏より小さい音で聴いていることがほとんどということだ」と言葉を続ける。

大音量でオーディオを楽しんだとしても、だいたいの場合には楽器の生演奏の音量のほうが大きい

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