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アクティブ、パッシブ、裸眼 − 複数方式が並び立つ3Dテレビのゆくえ

2011/03/25 編集部:風間雄介
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■パッシブ方式のデメリットとは

パッシブ方式にも色々な方法があるが、通常はディスプレイの表面に偏光フィルムを張り、水平ラインの奇数・偶数ラインごとに左眼用/右眼用の映像を表示する。フィルムでラインごとに円偏光の方向を変え、それをパッシブ方式メガネを通して元に戻すことで、左眼と右眼にそれぞれの映像を届ける。

これにより3D映像を表示する際に、垂直方向の解像度が半分に落ちてしまう。アクティブ方式なら簡単に実現できる「フルHD 3D」が表示できないことになるのだ。

実際、アクティブ方式を強く訴求する某国内メーカー関係者は、パッシブ方式を「偽物の3D」と表現。フルHD 3Dを実現できるアクティブこそが最上の方法と強調する。また聯合ニュースの報道によると、アクティブを推進するサムスンと、パッシブの利点を強調するLGの論争が激しさを増しているという(聯合ニュースの記事)。

■国内メーカーはどう動く?

さて、LGやVIZIOがパッシブ方式に注力していることはすでに説明したとおりだが、ほかのメーカーは今後どのように動くのだろうか。

欧州の雄、フィリップスは、アクティブとパッシブの二正面作戦を展開する。両方式のどちらもラインナップに用意し、パッシブ方式を「Easy 3D」、アクティブ方式を「Real 3D」として販売を行う。どちらを選ぶかはユーザーが決めれば良いという考え方だ。

国内市場でも追随するところが出てくるだろうか。まず、パッシブ方式の急先鋒であるLG電子は日本市場でもテレビを販売しているので、世界戦略と足並みを揃え、いずれパッシブ方式テレビを販売する可能性は考えられる。

国内メーカーも、アクティブ方式ばかりを投入し続ける保証はない。様々なメーカーに話を聞くと、「メーカーとしては3D映像においてもしっかりとした画質のものを届けたい。現時点でそれを実現できるのはアクティブ方式だ」という意見が代表的だが、ユーザーがパッシブ方式を受け入れる余地があるとわかれば、メーカーがあえて画質のハードルを高く設定し続ける理由は薄れる。

■テレビの3D方式乱立で混乱が起こる?

このように3D表示は今後、様々な方式が入り乱れることは確実な情勢だ。

だが、たとえテレビの3D表示方式が混在しても、それが大きな混乱を引き起こすとは考えにくい。

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