タンノイのシンボルといえる同軸型ユニット「デュアルコンセントリック」が誕生してはや半世紀以上。その間オートグラフを頂点とする数々の名器を世に送り出してきた。近年ではその流れを引き継ぐウエストミンスター・ロイヤルやカンタベリー、スターリングなどの「プレステージシリーズ」が、栄光と伝統のサウンドを守っているのは周知の通りだ。
アイリスシリーズはそうしたトラディショナルな路線とは異なる、タンノイの現代的アプローチによって生まれた中堅シリーズ。バリバリのワイドレンジとマルチch再生を指向している。ただし構成は通常の2ウェイであった。今回の「アイリスDCシリーズ」で注目したいのは、同軸化だ。タンノイ伝統の同軸2ウェイユニットを音の中核に据えるとともに、51kHzもの高域再生能力をもつワイドバンドトゥイーターを新たに開発、搭載したのである。
いうまでもないが独自の同軸構造をもつデュアルコンセントリックの利点は、ホーントゥイーターとウーファーの音源が1点となることによる明確な定位の再現にある。
ウーファーのカーブをトゥイーターの延長上として活用するアイデアは秀逸。あのオートグラフやGRF以来のものだが、現代においても古びるどころか、最先端のアイリスDCやディメンションシリーズに活かされているのだ。 |