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PRCDからストリーミング、Bluetoothまで徹底試聴

マランツ「MCR60n」を聴く。小さなボディ、洗練されたデザインが奏でる進化した“一体型”の音

公開日 2026/09/16 09:00 土方久明
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日本の総合オーディオブランド、マランツから、一体型オーディオ「M-CR612」の上位モデル「MCR60n」が登場した。

CD再生をはじめ、ストリーミングサービス、ハイレゾファイル再生、Bluetooth、FM/AMラジオ、テレビとのHDMI ARC接続、レコード再生用のMMフォノ入力、そしてスピーカーを駆動するアンプまでを1台に凝縮した、HEOS対応の一体型オーディオ機器だ。

marantz「MCR60n」

自宅に届いた試聴機の箱を開け、本体を包んでいるウレタンフォームを外していく。レビュー時のいつもの作業のはずだった。ところが、筐体がちらりと見えた瞬間、思わず手が止まった。

「なんて高級感のあるシャーシなんだ。これは小さな『MODEL 10』(マランツの最上位プリメインアンプ)じゃないか」思わず、そう口にしていた。

幅280mm×高さ111mmという小型筐体は、奥行き以外はM-CR612とほぼ同サイズ。シルバーに近いシャンパンゴールドのボディと、天面を覆う繊細なメッシュが目を引く。とにかくデザインが洗練されている。

シャンパンゴールドに加えブラックカラーの2色展開

一体型オーディオ機器の魅力は明快だ。プレーヤーとアンプを何台も並べなくても、好きなスピーカーをつなげばシステムが完成する。「良い音で音楽を楽しみたい」と思いつき、オーディオ製品を探したとき、シンプルなシステム構成を好むユーザーも増えている中だが、何といっても、世界には大きさも形もサウンドキャラクターもまったく異なるスピーカーが数多く存在し、その中から自分好みの一組を選ぶことができる。これは、あらかじめスピーカーまで組み合わされた完成済みのミニコンポでは叶わない魅力だ。

しかし、小さな筐体に多くの回路を詰め込めば、それだけ設計は難しくなる。電源、デジタル回路、ネットワークモジュール、CDメカ、プリアンプ、パワーアンプが近接するため、ノイズや熱への対策も必要だ。

筆者はこれまでの試聴経験から、小型多機能機が簡単に良い音を出せるわけではないことを知っている。この記事を読んでいるオーディオファンの中にも、同じように考える方は多いだろう。だからこそ、MCR60nの姿に惹かれながらも、その音に対しては別の意味で緊張感を抱いていた。

ただし、マランツは1953年にソウル・B・マランツが米国で創業したオーディオブランドで、現在もアンプは製品群の中核を担っている。「その技術を、小さな一体型モデルへどう落とし込んだのか」ここが今回の焦点になりそうだ。

さっそく設置。コンパクトながら高級感あふれる佇まい

開封後、MCR60nを1階の試聴室へ運び、クアドラスパイアのラックに置いた。小型ながら、オーディオ機器としての存在感を失っていないところがいい。先ほど書いた通り、MCR60nの天面から受ける印象は、最上位プリメインアンプMODEL 10や、筆者が使用している「MODEL M1」を思わせる。

凹凸が特徴的な天面のメッシュが高級感を演出する

非磁性ステンレスを用いた「Waved Top Mesh」は、放熱に必要な開口を確保すると同時に、開放的な空間表現を狙った構造だ。シャンパンゴールドの質感は、金属筐体を採用するMODEL 10に近い。

一方、コストを抑えるため、MCR60nの筐体は一体型の樹脂製となっている。それでも色味は驚くほどよく似ている。担当者によれば、塗料メーカーに足繁く通い「パール素材を使った塗装の配合を繰り返し、MODEL 10に近い色調まで追い込んだ」という。

操作ボタンにもこだわりを感じた。天板に配置された電源や音量などのボタンには、ブラインドタッチが可能な物理キーを採用。機器や画面を見なくても、指先の感触だけで確実に操作できる。タッチパネルとは違い、押した感触が指に返ってくる。なんと、かつてのiPhoneのホームボタンをイメージしたという。

直感的な操作感の物理ボタン

音楽を聴きながら再生や音量調整、入力の呼び出しを直感的に行えるほか、部屋を暗くした状態でも扱いやすい。さらに、シャーシとボタンのクリアランスも小さく、精密感がある。総じてMCR60nには、一体型モデルにありがちなデザイン上のチープさをほとんど感じない。

背面を見ると、この小さなボディによく収めたと思うほど多くの端子が並ぶ。アナログライン入力、光デジタル入力、USB-A、ネットワーク端子、FM/AMアンテナ、アナログ音声出力、サブウーファー出力、A/B二組のスピーカー端子を装備。前面には3.5mmヘッドホン端子も備えている。そのうえで、M-CR612からのアップグレードとして、MMフォノ入力とHDMI ARC端子が追加された。

フォノ回路は、ノイズ源となりやすいスイッチング電源やHEOSモジュールから離れた位置に配置され、さらにシールドケースも設けるなど、音質にも十分配慮されている。HDMI ARCを搭載したことでテレビ(ARC端子搭載モデル)とHDMIケーブル1本で繋ぎ、テレビの音を根本的に向上させることができる。対応テレビのリモコンから電源や音量も操作可能。音楽だけの機器ではなく、リビングで映画や番組を見る際にもMCR60nが主役になれるのだ。

背面の端子部分

デジタル系の音楽ソースについても、新旧さまざまな音源に対応する。まず、CDドライブを搭載していることは大きなアドバンテージだ。さらにネットワーク再生機能は、統合型ネットワーク再生ソリューション「HEOS」に対応。HEOS経由でNASやUSBメモリーなどに保存した楽曲ファイルを再生できるほか、ストリーミングではAmazon Music Unlimited、Spotify Connect、Qobuz Connectなども利用できる。

Bluetoothは受信だけでなく、ワイヤレスヘッドホンなどへの送信にも対応するようになった。FM/AM用アンテナも付属する。CD、配信、テレビ、レコード、スマートフォン、ラジオ。MCR60nは、むしろ「つなげられないもの」を探す方が難しい。

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