<香港ショウ>音を良くする“ネズミの置物”の効果はいかに!? お持ち帰りして自宅で検証!
海外のオーディオショウには、日本で見かけないオーディオアイテムが多数販売している。その中のひとつが、本稿で取り上げる黒いネズミの置物だ。見た目のインパクトもさることながら、何やら電磁波を吸収するとかしないとか。気になったら最後、買うしかない。ということで購入し、日本に持ち込むことにした。
仮想アースで知られたEntreqの“黒ネズミ”
出逢いは1年前の上海オーディオショウに遡る。場内を巡っている時、Franco Serblinの小型スピーカーである「Accordo」の上、何やら黒い物体が置かれているではないか。日本でこのようなアイテムは見たことがない。気にならない方がオカシイというものだ。
製造しているのはスウェーデンのEntreq(エントレック)。我が国では、木製の箱に入ったグラウンドボックス(仮想アース)で人気を集めたブランドだ。残念ながら現在Entreqは日本での取り扱いはなく、グラウンドボックスの姿を店頭で見ることもなくなった。
英語も中国語も話すことができない不肖は、スマホのGoogle翻訳を使って担当者に聞いたところ、ネズミの名前は「Vibbeater」(ヴィブイーター)。2007年から販売しているそうで、革製のネズミの中身は銅をベースにした砂状の金属粉が封入されているとのこと。
このVibbeaterをオーディオコンポーネントの上に置くことで、機器が発生する振動を熱に変換して吸収・消滅させるほか、オーディオ機器周辺の有害な不必要な磁場や電磁界を吸収・低減する効果があるとか何とか……。
ちなみに大きさは4種類あり、コンポーネントの重さで選んで欲しいという。中国では人気のアイテムなのだそうだが、上海ショウの会場では展示のみとのことで、購入することはできなかった。もっとも購入したところで、持ち物検査にキビシイ上海国際空港の税関で、「この怪しい物は何だ」と問い詰められても困るわけだが。
「プリーズ、チューチュー」でディスカウントに成功
それから1年と少し経ち、電磁波吸収ネズミのことはすっかり頭から消え去っていた。
だが、まさか香港ショウの会場で再会するとは、夢にも思わなかった。さらに上海ショウで会った担当者も不肖のことを覚えていたようで、知らない言葉で話しかけてきた。それはそうだ。スマホ片手にネズミについてあれこれ尋ねる日本人なんて、そうそういないのだから。
しかも香港ショウの会場で購入できるというではないか。価格は最も小さいネズミで1350香港ドル。日本円にして2万7000円ほどだ。ちなみに同じ大きさで、中にタングステンが入っているアポロモデルがあり、こちらは5万4000円とのこと。効果のほどがわからぬ電磁波吸収ネズミに2万7000円を支払うのは流石に勇気がいるが、その時は好奇心が勝ってしまった。
気づけば「プリーズ、チューチュー」と意味不明なことを言いながらカードを差し出し、あまつさえ「プリーズ、ディスカウント」とも。1200香港ドル(約2万4000円)でお迎えした。
電磁波吸収ネズミの重量は約1kg。これをもって会場を歩くのはシンドイので、すぐにホテルに戻ることにした。白箱にシールだけ貼られた簡易梱包。買ったらスグに中身が見たくなるのは、子供の頃からの悪癖だ。セロテープを剥がして箱を開けた。
中には取扱説明書が1枚。効能やら置き場所などについて説明が書かれている。英語は全く読めないが、販売店員によると「トランスの上あたりに置くのがよい」とのことだ。
電磁波吸収ネズミは、やや灰色がかったプチプチにくるまれていた。丁寧にセロテープを剥がすと、可愛らしいネズミが姿を現した。赤い紐は別梱包に入っており、自分で首にかけてあげる形だ。傷などがないことを確認し、再び梱包。
香港国際空港の税関で怪しまれることなく、飛行機に持ち込むことに成功。こうして電磁波吸収ネズミは日本の地に降り立った。
小さなネズミが音楽に勢いを与えてくれる
話が長くなったが、果たしてその効果はいかほどか。まずは不肖がサブシステムとして使っているLINNのネットワークプレーヤー「MAJIK DSM/4」で実験することにした。
だが、いざ置こうにも困ってしまった。MAJIK DSM/4の電源回路はスイッチング方式のダイナミックパワーサプライ。とりあえず放熱口を避けて、アンプ回路側、電源端子側、フロントパネル右側と置いてみたのだが、これが面白いくらいに変わるではないか。個人的には電源端子付近が最も好ましいように思えた。
色々と聴いたが、ポップスとの相性が良い傾向であると感じた。オーディオファイルの間で広く知られるリヴィングストン・テイラーの「Isn’t She Lovely」は、LINN製品特有の華やかな高域の色付けと拡がりは抑えられるものの、より静寂で丁寧な歌声、落ち着いた雰囲気に心が奪われた。
気を良くして、メインシステムでも試した。拙宅のaurender「A1000」には、フロントパネル付近に3基の電源トランスを搭載しているので、そのあたりに電磁波吸収ネズミを座らせて試聴した。
イヴァン・フィッシャー指揮の『ラフマニノフ交響曲第2番』は、より疾走感のある演奏となりノリノリ。それはロシアの大地を疾走するスポーツカーに乗っているかのようだ。S/N向上も確認できたが、それは些末な問題と言いたくなるほど、音楽に勢いを与えてくれたことが嬉しかった。これらの変化が電磁波吸収の効果なのか、それとも振動を熱に変換して……の効果なのかはワカラナイ。だが変わることは確かだ。
無機質になりがちなオーディオ機器の上に、ちょっと可愛いアイテムとして電磁波吸収ネズミを置くのは大いにアリだ。海外のオーディオショウに行かれる方は、お土産として買って帰ると喜ばれるかもしれない。
ちなみにネズミの置物は、子孫繁栄や金運、仕事運を高める縁起物だそうだ。

