ビクター史上最高音質イヤホン「WOOD master」がさらに機能強化!「K2テクノロジー」対応アップデートの効果とは?
緻密にデザインされたエレクトリックポップス、星街すいせいさん「もうどうなってもいいや」では、オフのサウンドを確認した後にオンにして聴き始めると、まず全体の印象がシャキッとしたことに驚き。
聴きながらその印象の理由を探してみると、ひとつひとつの音の立ち上がりと輪郭がよりはっきりとしたことで、全体にも音が立った印象になったようだ。音のアタックには高周波成分が多いので、そこが復元されたことの効果かもしれない。何にせよそのおかげで、様々な音が複雑に配置されたこの楽曲の構築美が際立つのが嬉しい。
細かなところでは例えば0分45秒付近でメインボーカルのやや左側に浮かび上がる「はあ……」というため息。その浮かび上がり方がよりクリアに立体的に感じられたことも、はっとさせられたポイント。

続く部分でも、メインボーカルに対してファルセットでハーモニーを重ねる歌声、あるいは低い声で吐き捨てる台詞のように重ねる声といった要素の、まずその声自体の立体感が増しており、それによってメインボーカルとの重なり方の立体感も増している。
緻密に構築された楽曲のその緻密さの再現において、「K2テクノロジー」の効果は明らかと言えるだろう。
「K2テクノロジー」は「期待以上の効果」
なお発売直後レビューを読み返したところ、「K2」未実装/AAC環境でのレビューにおいても、筆者は「ボーカルやベースなどセンターに定位する楽器の音像がクリアさ。そしてそこがクリアになることで、その周囲の音との空間的な関係性もわかりやすくなる」と述べていた。
つまり「K2」なしでもWOOD masterの美点であった要素が「K2」でさらに伸びている!ということだ。ビクターの音作りの一貫性を感じられる。
さて一方ジュリアン・ラージさん「Double Southpaw」はアコースティックギターのウッドベースによるデュオ演奏。単純な音の数という面での情報量は多くはない。しかしだからこそひとつひとつの音の描写がより大きな意味を持つ。
この曲の場合だと筆者はやはりギターの演奏ニュアンスに耳が向きがちなのだが、ではその演奏ニュアンスとは何かというと、例えば主にピッキングによる音色のコントロール、音量的な強弱に加えて音色変化も含めてのダイナミクス表現といったところだ。そしてピッキングによる音色コントロールにおいては、倍音の出し方も大きな要素。つまりまさに「高周波成分と微小信号」が関わってくるはずの部分なので、「K2」効果を特に期待できる。
と期待しながら聴き始めると嬉しいことに期待通りの効果。特に強弱の弱、緩急の緩、抑揚の抑。音を押し出す強めのピッキングよりも、押し引きを抑える弱めのピッキングの方で、そのニュアンスがさらに引き出される印象だ。何とも繊細。
総じてその仕組みから期待される通り、あるいは期待以上の効果を確認できた。
「K2テクノロジー」以外にもアプリで様々な機能を利用可能
さてこのモデルにはビクターハイエンドモデルならではのサウンド機能が他にもいくつか搭載されている。そちらも改めてさらっと確認しておこう。
まずサウンドモード機能の一部として、ビクタースタジオのエンジニア5名による「PROFESSIONAL」サウンドモードの1から5が用意されている。どれもプロフェッショナルの仕事としての普遍的な整いを土台としつつ、そこにそれぞれの感性や個性を反映させたものとなっており、様々な楽曲にフィットしてくれそうだ。
ビクタースタジオのウェブサイトには各エンジニアがこれまでに担当した作品のディスコグラフィも掲載されているので、自分が好きな曲それ自体やそれと似た傾向の曲を担当しているエンジニアを探して、そのサウンドモードを試してみるのも面白いかもしれない。
個人個人の耳に合わせた調整を施してくれる「パーソナライズサウンド」も、一度は試してみてほしい機能。測定開始すると測定音が一回再生されて、あとはアプリ側での解析が終わるまでしばし待つだけでよい。
理屈で言うとおそらく、イヤホンの設計時に想定される「平均的な耳」とユーザー個人の耳の差異が大きい場合にこそ、パーソナライズサウンドの効果は特に大きくなるかと思われる。ということはユーザー本人が試してみないことにはどのような効果が出るかわからないので、購入後のお楽しみでぜひ試してみてほしい。
「WOOD masterの魅力はさらに高まった」
話を「K2」に戻すとその使いによって、それを含めての使いこなしの部分での面白味も増しそうだ。
例えば「K2」とLDACは排他利用となるので、ハイレゾファイル再生にはLDAC、ロッシーストリーミング再生には「K2」のような使い分けは基本技になるかもしれない。
外出時のBGMとして聴き疲れない音で長時間聴き続けたい場合などは、「K2」もLDACも使わずあえてのAACオンリー運用で、音の情報量整理と消費電力の低減を狙うのもありだろうか。
そういう工夫をいろいろ考えるのがお好きなマニアの方はそこもぜひ楽しんでほしい。
ということで「K2」の効果は抜群。iPhone/AACユーザー中心に、既存の本機ユーザーを歓喜させ、検討中の方の背中を押すに十分すぎるアップデートだ。
WOOD masterの魅力はさらに高まった。
(提供:JVCケンウッド)
