技術と音楽的感性の結晶。aurenderの“戦略モデル” 最新ネットワークプレーヤー「A1000」を聴く
内蔵ストレージとストリーミングを自由に行き来できる(小原由夫)
2010年に韓国で創業したオーレンダーは、ネットワークオーディオ草創期から今日まで市場をリードする存在として一目置かれている。ハイエンドオーディオ市場でいち早くネットワークオーディオ製品を定着させ、しかもそれが音質のみならず、操作性においても革新をもたらしたからである。
そんなオーレンダーの製品群で目下話題沸騰中なのが、ネットワークプレーヤー「A1000」だ。これまでの同社製品の中で、最もコンビニエントかつ多機能なモデルといってよい。今回はそのパフォーマンスをじっくり味読した。
A1000のアルミを主とした筐体とそのデザインは、オーレンダーの意匠の流儀に沿ったもの。側面に黒アルマイト仕上げのヒートシンクを配し、全体は梨地処理。前面には6.9インチのフルカラーLCDディスプレイを備える。ここでメタデータやアルバムアートワークを確認することができる。一方、背面には最大8TBまでの容量に対応した2.5インチのSSDストレージベイを搭載する。
内蔵DACチップは旭化成AKM4490REQ。左右独立構成で、設計時期のやや古いチップを敢えて使っているところに音質的こだわりが見て取れる。
本機のセールスポイントは(これは同社のネットワーク機器全体に共通した真骨頂でもある)、120GBのキャッシュメモリの内蔵だ。
伝送されたストリーミングデータや内蔵ストレージ等からの音楽データを一旦ここに取込み、ノイズ等をトリートメントした後に再生を行なうのだ。
これにより、音楽を常にノイズレス状態のリフレッシュされたコンディションで楽しむことができるのである。
専用の再生アプリ「aurender conductor」の使いやすさも特筆したい。プレイリスト/キューの表示がわかりやすく、検索や再生もスムーズ。何より重宝するのは、内蔵ストレージの楽曲とストリーミング楽曲をひとつのリスト内で自由に行き来できること。
私は自宅システムで同社のネットワークトランスポートW20を長年愛用しているが、このアプリの使い勝手のよさに日々感心しているところだ。本体設定等もこのアプリでまったくのストレスレスで行なうことができるのが大いにありがたい。
ここぞというときに活用したいクリティカル・リスニング・モード
まずはストレージからの再生音の印象を。S/Nが高く、ステレオイメージの奥行き、パースペクティブがひじょうに見通しよい。これこそがフラッシュメモリによる大きな効果だろう。
ヴォーカルは滑らかでしっとりとした質感と温度感が感じられる。抑揚やイントネーションのニュアンスも精妙な再現だ。
ジャズではタイトなビートが力強く押し出され、ソロ楽器の音像が克明に屹立する。トランジェントも抜群によい。オーケストラでは重厚さとスケール感が3次元的に展開された。
Qobuzによるストリーミング再生の印象も概ね同様だが、ここでより厳密な再生モードとなる「クリティカル・リスニング・モード」を試してみた。
前面パネルの表示が消え、最小限の回路への電源供給のみとなる同モードでは、音がより研ぎ澄まされ、透明度とダイナミックレンジが高まる感じだ。メタデータ等の情報が本体表示されなくなるが、アプリで確認できるので支障はない。
ここぞという音楽鑑賞時には、このモードを存分に活用したいところだ。
操作アプリがアップデート!UPnP対応&Qobuz自動DL機能(編集部)
2025年12月11日、aurenderの操作アプリ「Aurender Conductor」が最新バージョン「5.1」にアップデートされた(iOS/Android対応)。
今回のアップデートでは、新たにaurender製品をUPnPレンダラーとして使用できるようになる。つまりサードパーティ製のUPnP/DLNA対応操作アプリからaurenderが操作できることとなる。
もうひとつ注目のトピックはQobuzからの自動ダウンロード機能。Qobuzはストリーミングだけではなくダウンロード販売も行っているが、購入した音源を、自動的にストレージにダウンロードして保存することができる。
そのほかメタデータ編集機能、NASのバックアップ機能、USB・NASスキャン機能なども新規に搭載。機能面でのアップデートはもちろん、直感的でわかりやすい操作性をさらに洗練した最新バージョンとなっている。
(提供:エミライ)
