ネットワーク再生の高音質化に。“独自制振素材NCFが効く”フルテックLANケーブル&空き端子挿入アイテムレビュー
フルテックのオーディオ用LANケーブル「LAN-8 NCF Plus」が発売された。メイン導体に純銀メッキα‐OCC単線素材を採用、シールドは、カテゴリ8に準拠すべく発泡ポリエチレン絶縁と綿密な三重シールドとなっている。そのサウンドを、フルテックを自宅でも愛用する角田郁雄氏が解説する。
NCF素材と単線導体を新たに採用
フルテックが独自に開発した振動と静電気を低減させるNCFは、NCF Boosterシリーズに留まらず、電源プラグやラインコネクターなど、あらゆる製品に応用され高い評価を受けている。
NCFは信号伝送ケーブルに用いると静電容量を下げる効果もあり、特にラインケーブルではその低い静電容量特性によって、広帯域特性と解像度を向上させる効果がある。もちろん導体には高品位のものが使用されることは不可欠だ。
そのフルテックから近年のハイレゾ再生やストリーミング・ミュージックに最適な「LAN‐8 NCF Plus」が発売された。
一見すると美しいパープルのジャケットやコネクターなど、外観は既発売のLANケーブル「LAN‐8 NCF」と変わらない。では、どこが進化したかというと、線材が単線に変更されたことだ。導体は超低温処理と特殊電磁界処理された純銀メッキα‐OCCケーブルであるが旧モデルは撚り線構造であった。単線の採用に伴いケーブル本体の直径が若干増している。
LANケーブルには、高い周波数の信号を流すことでデータを高速伝搬するが、その対応スピードは、カテゴリ別に区分されていて、本ケーブルはカテゴリ8(Cat8)に準拠している。つまり、30m以内、最大40Gbps、最大周波数2,000MHzの通信を可能にしている。また、高周波信号は導体の表面を流れるため、高速伝搬に寄与する銀メッキは効果的。同社では撚り線と単線を比較したところ、音質が明らかに向上したため、単線を採用することに踏み切ったそうだ。
両端末には、LANコネクターのカバーに静電気を低減するNCF素材が採用されている。Cat8仕様はCat7仕様よりも、クロストークとノイズ特性が厳しい仕様だ。そのために本ケーブルでは、8芯導体を2本ずつペアとし、その2本をツイストさせている(全体で4ペア)。
そして、静電気と電磁波輻射を低減させるため、その2本の導体を導電性アルミ箔でシールドし、4ペア全体も同材でシールドしている。その上に振動低減のためのシースで覆い、さらにパープルのナイロン・シースで覆っている。実にしなやかで取り回しのしやすいケーブルだ。
空間描写性が高く、弱音も美しい
フルテックは音源に内包する空間描写性を大切にしているが、本ケーブルにおいても、高い空間描写性と優れたシールド特性により、高周波輻射が抑えられ、弱音が美しく音に透明感や明瞭感がある。不要な色づけのない広帯域特性と高解像度を特徴としたサウンドだ。
ハブやネットワークプレーヤーとLANコネクターの嵌合もしっかりとして、脱着しやすいところも良い。この仕様でこの価格であるならば、光回線をLANに変換するインターネットモデムと無線ルーター間を始めとして、家庭内のLAN環境をすべて本ケーブルで接続できそうだ。
USBケーブルには、好評の「GT2 NCF USB‐B」を使いたい。高速伝送を実現し解像度と空間描写性が向上する。これらを併用することにより、ハイレゾダウンロードやQobuz再生の高音質化に貢献してくれることであろう。
空き端子に挿すNCF Clear Line‐LAN & USBも追加!
ここで、さらに音をアップグレードさせるため、同社のアクセサリーを用いてみる。電源を必要としないパッシブタイプのオプティマイザー「NCF Clear Line ‐ LAN」と「NCF Clear Line - USB」だ。
両製品の大きな特徴はLANやUSBの空き端子に取り付けると、静電気や不要ノイズ、不要振動が低減できることだ。外観はステンレス・ハウジングと特注のハイブリッドNCFカーボンファイバーやNCFのエンドカバーが特徴で、いかにも高級な雰囲気を漂わせている。
内部は微細振動を低減するため、半密閉型の空気質構造が採用され、音質を探求した本機専用の電解コンデンサーによってノイズを低減する。このコンデンサーは不要な高周波ノイズを低減するフィルター効果があり、入念な試聴を重ねたサウンド・チューニングが施されている。
端子にも気を使い、特別に設計した24金メッキ・コネクターによってEMIシールド効果も高めている。両製品とも、同社独自の超低温処理及び、特殊電磁界処理であるα‐プロセス処理が施されている。
解像度と空間描写性が高まる
個人的にこの両製品を使用しているがその効果は大きい。例えば、NCF Clear Line ‐ USBをオーディオサーバーのUSB端子に接続すると明らかに静寂感が高まり、解像度と空間描写性が高まる。ネットワークプレーヤーのUSB端子に設置しても、同様の効果が得られる。
これに加えて、NCF Clear Line ‐ LANをハブやオーディオサーバーの空き端子に設置すると同じ効果がさらに加わり、驚くほどの解像度と空間描写性が実現する。
試聴でも、LAN‐8 NCF Plusとの組み合わせにより、音の滑らかさや空気感が加わり、Qobuzの音の解像度が高まって音が生々しい。倍音成分が豊富になることにも魅了された。ネットワーク再生の音をアップグレードしたい方はぜひ一度、専門店で試すと良いであろう。
(提供:フルテック)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー196号』からの転載です。
