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PR「HA-FW1000T」からの進化点をチェック

【新旧フラグシップ対決】聴き比べてわかった、ビクター「WOOD master」真の実力。「完璧以上に期待へ応える」新旗艦機、堂々誕生!

公開日 2025/11/18 06:30 高橋 敦
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音質レビュー(1):「音のフォーカスがビシッと決まっている」

ではいよいよ実機の音の印象を述べていこう。主にはiPhoneとのAAC接続、ノイズキャンセリングをオン、他機能はオフにてチェックした。

はじめに述べたいのはボーカルやベースなどセンターに定位する楽器の音像のクリアさ。フォーカスがビシッと決まっており、小柄すぎず大柄すぎずの適正な音像をくっきりと描き出してくれる。そしてそこがクリアになることで、その周囲の音との空間的な関係性もわかりやすくなる。

星街すいせいさん「もうどうなってもいいや」のサビでは、メインボーカルがそのようにくっきりクリアに浮かび上がることで、その歌声に周囲からフェイクが絡みついてくる様子までも含めた一連の光景の立体感が強まった。心中に様々な叫びや思いが渦巻く有様の表現がより鮮やかになったわけだ。

特徴的な音色で存在感を発揮するシンセベースについても好ましい描き出し方をしてくれる。ローミッドの膨らみやローエンドの広がりを強調しすぎない穏当にまとまった音像でありつつ、物足りなさはなし。

量感も十分でシンセベース独特の肉感や弾力の表現も充実しており、それが前述のようにビシッと浮かび上がるのだから大満足だ。

アコースティックギターとウッドベースのデュオ曲、ジュリアン・ラージさん「Double Southpaw」でも印象は共通。ギターとベースそれぞれの音色や両者の絡みの立体感、空間の広がりなどを豊かに表現してくれた。

演奏ニュアンスについても、ピッキングで音を立てたり逆に丸めたりなど、撥弦楽器ならではのコントロールもしっかり届けてくれる。アタック成分への応答の良さや乱れのなさなど、新ウッド振動板の優秀さを素直に感じられる部分だ。

音質機能では空間オーディオ機能によるスピーカーリスニング空間の再現に特に感心させられた。筆者の耳や頭部形状との相性が良かったのかもしれないが、この手の機能の中でも特に自然な印象。

その空間オーディオにも関係するかもしれないが、本機のセンター音像や空間表現の明瞭さについては、新ウッド振動板の恩恵が特に大きいかもしれない。

大小のローズウッド細片を振動板全体に散らすことで全体としての特性を平均化するという手法は、量産時の製造誤差の低減、すなわち左右のドライバー特性のずれの低減によるステレオ再生精度の向上にもつながると思えるからだ。推測が当たっていればだが、その点も新ウッド振動板の明確な強みかもしれない。

いずれにせよここからさらにK2テクノロジーやLDAC接続による音質向上という余力も残されているわけで、楽しみは尽きない。

音質レビュー(2):HA-FW1000Tとの違いは?

さて音質面ではHA-FW1000Tと比べての違いも気になるところだろう。設定をおおよそ揃えた上で確認してみた。

空間表現については、HA-FW1000Tも優秀だが、WOOD masterのそれを体験した後となるとそれには一歩届かない印象。しかしHA-FW1000Tのやや大柄なセンター音像や低音の響きの豊かさといったおおらかな表現は、従来的なウッド振動板らしい鳴りっぷりとしてイメージされるそれであり、魅力的な個性でもある。

HA-FW1000TユーザーがWOOD masterも購入したとしても、サウンド面では両機の使い分けも成立しそうだ。とはいえ使いやすさの面ではWOOD masterが圧倒するので、メイン機はWOOD masterになるだろうが。

最後に、WOOD masterに戻ってそのノイキャン性能についても実地確認。駅前の人混みや普通の電車内程度の環境では不満を感じることはなし。イヤーピース挿入が浅めになりパッシブでの遮音性は多少緩くなったが、マイク性能やチップ処理の向上により、トータルでのノイキャン性能は確保されている。外音取り込みを通しての人の声もより自然でクリアな聞こえ方になった。

期待へ「完璧以上に応えてくれる」進化を遂げた堂々たるフラグシップ機

4年を経て登場した新フラグシップは果たして、その間に積もりに積もった期待に完璧以上に応えてくれる内容だった。

ならばこのWOOD masterもまた、同社完全ワイヤレスのフラグシップという座を早々に譲ることはないだろう。

堂々たる、揺るぎない、フラグシップ。完全ワイヤレスイヤホンの世界では稀有な、そう言い切れるモデルだ。

(提供:JVCケンウッド)

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