PRデノン/マランツ/B&Wのアイテムを横並びで聴き比べ
立体音響を叶える高級サウンドバーvsコンパクトでも本格派のHi-Fiシステム、テレビと組み合わせるならどっち!?
■DENON HOME AMP、フルデジタルアンプ&高品質パーツを細部に採用
217W×86H×242Dmmのコンパクトなボディが魅力的な “ワイヤレス・ストリーミング・アンプ” のDENON HOME AMPには、定格出力125W+125W(4Ω負荷)のAxign社製フルデジタルアンプを搭載している。デジタル信号は、スピーカー出力直前のフィルター回路まで純粋にデジタル信号で伝送されるほか、専用のカスタムコンデンサなど、高品位パーツが細部にまで採用されている。
eARC対応のHDMIを搭載し、Dolby Digital Plusの再生にも対応し、オリジナルの「Virtual」 モードも搭載する。ワイヤレス機能はHEOSが採用されているため、Amazon MusicやSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスをカバーし、PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHz/1bitのハイレゾ再生に対応、BluetoothはSBCまで。試聴では、DALIのラインナップでミドルクラスに位置する“OPTICONシリーズ”から、ブックシェルフ型スピーカー「OPTICON 2 MK2」を組み合わせている。
「歌声を鮮明で粒立ち良く描き、奥行き感と濃密さを兼備したサウンド」
『トップガン マーヴェリック』の格納庫シーンは、戦闘機のエンジン音や背景の環境音が非常にクリアで、サウンドバーでは得られない音の細かさを体験できる。BGMの弦楽器のリズムでは、音の粒立ちとリアルさが際立っていた。高さ方向や背後への広がり感がないが、ステレオならではの前後の奥行き感や音の濃密さがサウンドバーと一線を画す。声の再現も秀逸で、トム・クルーズのセリフは強調感がなく自然で、声の定位も正確。低域の再生は、サブウーファーのような迫力はないのだが、質感の描写に優れているのが好印象だ。
『推しの子』は、DALIのスピーカーの持ち味をDENON HOME AMPが盛大に引き出し、音の特徴が一気に際立った感触だ。ライブシーンでは、アイドルたちの声が鮮明で粒立ち良く再現され、解像感の高さをダイレクトに感じることができる。そして各アイドルの声色の違いがしっかりと感じ取れ、ライブ会場の音場も音楽的な要素が強い状態で楽しめる。
ドラマパートになっても、ルビーやアクアのセリフが非常にクリアで描かれ、声から伝わる感情表現を丁寧に再現してくれる。背景音も適度な広がりを持ちながら、声が前面に出るような表現になっており、ドラマの世界に没頭できる音作りと言える。
■MODEL M1、回路設計と厳選した高品質パーツでサウンドを追い込んだ
MODEL M1も、217W×84H×239Dmmというプリメインアンプとして非常にコンパクトなボディで、一見アンプとは思えないシンプルなデザインが特徴的だ。Axign社と共同開発したClass Dアンプを搭載し、定格出力が100W+100W(8Ω)/125W+125W(8Ω負荷)のアンプを実装する。回路設計術をはじめ、Bevenbi社のメタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサーを採用するなど、本モデルならではのサウンドチューニングを実現している。
MODEL M1のHDMIもeARC対応、併せてDolby Digital Plusの再生もカバーし、オリジナルの「Virtual」 モードも搭載する。もちろん独自ネットワーク機能のHEOSに対応しており、Amazon Musicをはじめ、AWA、Spotify、SoundCloudなどの音楽配信サービスをフォロー。ハイレゾ再生は、PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHz/1bitに対応しており、BluetoothはSBCのオーディオコーデックが再生可能だ。試聴では、B&Wのエントリークラス・ブックシェルフ型スピーカー「606 S3」を組み合わせている。
「調和の取れた音場と極めて自然な質感で他を寄せ付けない完成度」
『トップガン マーヴェリック』で一聴すると、スピーカーの存在が消えるような洗練されたサウンドを実感できる。格納庫シーンでは、戦闘機のエンジン音や環境音が極めて自然に再生され、左右方向の音場が極めて広く、各音がスムーズに繋がり空間を作り出す。特にBGMの再生が秀逸で、オーケストラの音が全体として滑らかで聴き疲れせず、映画のスケールを越えたオーケストラに聴き惚れる。トム・クルーズの声は鮮明で質感も丁寧。低域の轟音は、パワーよりも見通しのよい空気感を演出する。
『推しの子』のライブシーンでは、アイドルたちの声が驚くほどクリアに分離され、各メンバーの声色が個々に浮かび上がる。その情報量の多さと精緻な表現力は、まさにHi-Fiクオリティだ。ドラマパートでは、ルビーやアクアの声の質感が自然であり、スピーカーの存在感を徹底的に消し去っている。スピーカーから鳴っている感覚が一切なく、音が空間全体に溶け込んでいるのだ。
「やはり」と言ってしまうところではあるが、MODEL M1と606 S3の組み合わせは、音質の完成度において他を寄せ付けない印象だ。「派手さ」や「迫力」という要素はないが、空間上の音の調和と自然さを求めるなら、このセットは究極の選択肢だ。
■映画的な臨場感を求めるか、ステレオ再生ならではの音場の調和を追求するか
今回試聴した4モデルは、それぞれが異なるアプローチで「テレビの音質アップ」というテーマに挑んだが、どのモデルも魅力的であり、簡単には答えを出すことはできない。
DENON HOME SOUND BAR 550 SURROUND SETは、最もスタンダードなハリウッド映画型であり、サラウンドの広がりは映画館のような臨場感を楽しめる。一方、B&WのPanorama 3は、サウンドバーでありながらHi-Fiオーディオの匂いと呼ぶべきか、ワンボディで調和の取れた音場を描き、音の緻密さで映画や音楽の質を引き上げ、映画への没入を生み出す。
HDMI搭載プリメインアンプとブックシェルフ型スピーカーの組み合わせでは、デノンとマランツで異なる音の世界を体感できた。DENON HOME AMPは、Hi-Fiオーディオを鳴らす趣味性を楽しませてくれる。MODEL M1は、スピーカーの存在を消し去るほど完璧な音場の調和を実現していた。この両モデルの音場は、ステレオ再生でなければ味わうことはできないだろう。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)