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小型サイズに込めた各社こだわりの技術が光る

“有線イヤホン派”のマストアイテム!スマホを高音質にするスティック型DAC 11モデル一斉試聴

2023/01/02 土方久明
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スマホをもっといい音で聴きたい時に。スティック型DAC 11機種を一斉試聴



いま、ポータブルオーディオ界に1つのムーブメントが起きている。スティック型DAC(別名ドングル型DAC)と言われる、“コンパクトなDAコンバーター”が人気なのだ。

昨今大注目の「スティック型DAC」を11機種集めて一斉試聴!

いずれの製品も中指ほどのボディサイズで、重量も10-30g程度と軽量。そしてバスパワーで動くので、iPhoneのLightning端子やAndroidのUSB-C端子と手軽に接続して、ワイヤードタイプのイヤホン/ヘッドホンを高音質に楽しめる。そこで今回は、代表的な11機種を一気に試聴して、音質のクオリティチェックを敢行した。

スティック型DACは、スマホ/パソコンから出力されたデジタル音声信号をDA変換し、強力なヘッドホンアンプを介してイヤホンやヘッドホンを駆動する。なので、内部構成は一般的なUSB-DAC&ヘッドホンアンプと同様だが、コンパクトな筐体ゆえ、デジタル/アナログ回路やヘッドホンアンプ部などの集積技術や部品選定などに難しさがある。

基本の使用方法は、スマートフォンの充電ポート(LightningまたはUSB-C端子)とDACを接続し、有線のヘッドホン/イヤホンを接続して音楽再生を行う

USB-C端子を持つPCと組み合わせての試聴もできる

今回の試聴モデルは以下の11機種となる。それぞれのレビューに入る前に、筆者の見立てによる、現時点での製品選択ポイントを解説しておこう。


1.筐体サイズ/重量/デザイン
デザインは各社それぞれだが、ポイントは再生中のサンプリングレートやフォーマットのステータス情報表示部である。LEDのカラーで表示するステータスインジケーターが装備されている場合や、ディスプレイで表示できるものもある。特にAndroidスマホ/タブレットはソフトウェアやハードウェアの制限で再生できるレゾリューションに上限がある場合が多いので、DAC側で確認できると安心だ。

2.搭載されるDACの種類
DACチップについてはバラエティ豊かで、ESS Technology(ESS)、旭化成エレクトロニクス(AKM)、シーラスロジック搭載機の数が多いが、マニアックなものではR-2Rラダー型抵抗DAC搭載モデルのような独自DAC回路を搭載したモデルもある。

3.ネイティブ再生可能なフォーマットとレゾリューション
PCMとDSDでレゾリューションの上限が違うが、現時点でPCMは384kHz/32bit、DSDは22.2MHz(DSD512)が上限となっている。Amazon MusicやApple Musicを楽しむならPCM 192kHz/24bitに対応していれば問題ない。e-onkyo musicなどでダウンロードできる、よりレゾリューションの高い楽曲ファイルを再生したいなら、そのレゾリューションに対応しているモデルを選んでおいた方が良いだろう。またMQA音源のレンダラー機能やフルデコード機能に対応したモデルもある。

4.ヘッドホン端子のバリエーション(3.5mmアンバランス/4.4mmバランス)
小型筐体なので、「3.5mmアンバランス」接続端子、「4.4mmバランス」接続端子のどちらかを搭載するモデルと、両方の端子を搭載するモデルがある。

5.デジタル回路とアナログ回路の高音質化対策
ここが音質のキモだ。ボディがたいへん小型で内部のスペースが限られているので、すなわち回路設計やノイズ対策はチャレンジングかつ各ブランドの技術の見せ所となっている。

6.ヘッドホンアンプ部の音質対策と出力
デジタル/アナログ回路同様に、ヘッドホンアンプ部のスペースも限定されるので、パワーとS/Nを両立させることは難しい。S/Nが悪いと最近話題の高感度なイヤホンではホワイトノイズが目立ちがちになり、反面、インピーダンスの高いヘッドホン等では低域の駆動力を中心に違いが出てくる。こちらもメーカーの技術の見せ所となっている。

7.付属品や専用アプリの有無
スティック型DACはケーブルが脱着式のモデルと固定式のモデルがある。脱着式ではスマホ/パソコン側の端子(USB Type-C or Lightning)にあったケーブルが付属しているか、固定式のモデルでは、変換アダプターが標準で付属しているか否かを確認したい。

また、メーカーによっては端末にインストールする専用アプリが用意され、そのアプリを使用することでユーザビリティを上げるモデルもある。特にボリューム調整に気を使う(いきなり大音量になる)Android端末を利用しているユーザーは、ココに注目したい。

アンバランス・バランス対応ヘッドホンを用意して比較試聴を開始!



再生システムは、筆者所有のiPhoneをトランスポートに利用して、3.5mmのアンバランス接続にはウルトラゾーン「Signature STUDIO」を、4.4mmのバランス接続には少々の無理を承知でゼンハイザー「HD 800S」を組み合わせた。なお、純正でLightningケーブルを用意していないモデルについては、汎用のアダプタを組み合わせて試聴している。オープン価格の製品が多いが、概ね市場実勢価格の安いものから順番にテストを行った。

3.5mmのアンバランス接続にはウルトラゾーン「Signature STUDIO」を使用

4.4mmバランスではゼンハイザー「HD 800S」を組み合わせ

試聴楽曲は、「Billboard Hot 100」などのヒットチャートを参考に洋邦、女性ボーカル、クラシックから各1曲を選定。全てハイレゾファイルとした。

洋楽:エド・シーラン「Bad Habits」『=(equals)』より

44.1kHz/24bit FLAC

女性ボーカル:アデル「Easy on me」 『30』より

44.1kHz/24bit FLAC

クラシック:ジョン・ウィリアムズ&ベルフィン・フィル「帝国のマーチ」 『ライブ・イン・ベルリン』より

96kHz/24bit FLAC

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